日常
言えない言葉、言ってない言葉、省略しちゃった諸々が()の中をさまよっておりますが、ご承知の上、お先にお進みください。(案内人鈴乱より)
白灰:初めましてー、こんにちはー! いらっしゃいませに、おはようさーん。太陽の申し子、白灰でぇす!! ……あいたっ!
黒灰:こらこら。初対面で大げさな口上を言うでない。
白灰:ええ~、だって、初めて会うんだよ? 出来るだけ、僕をアピールしておかないと!
黒灰:そんなにアピールしなくても、ある程度は伝わるから落ち着け。
白灰:いやいや、第一印象は大事だよ! 僕にその後も会ってもらえるかどうかの、瀬戸際なんだよ!?
黒灰:なんで、お前はそんなギリギリを生きているんだ……。ほれ、これでもやるから、好きな所に行ってこい。
白灰:えっ……。こ、これは!
黒灰:どうだ、いいだろう。あの、行列の出来る店の! 割引券だ!
白灰:うっわ~! すっごーい! ……って、ねぇ、ちょっと? (お金がないって方向で)僕のこと、おちょくってるよね?
黒灰:(割引券も)何にもないよりゃ、良いだろ?
白灰:そりゃ、そうだけど……好きなとこって言いながら、行き先1コに決定してんじゃん……。(僕の)好きな所って言ったくせに~……。
黒灰:だって、お前、方向音痴じゃん(だから、これが適切だろ)。家から真っ直ぐのスーパーですら、たどり着けないんだから。
白灰:うっ……。そりゃ、そうだけど……。
黒灰:(お前の)行き先がきまっていれば、俺もみんなも、お前を探すのに手間取らないし、お前は安く美味しいもんが食えて、万々歳。ほら、誰も損してないだろ?
白灰:僕が、微妙に損してる気がするんだけど……。(別に飲食店好きじゃないし)
黒灰:ほら、そのくらいは、こうだ。
白灰:何それ。下手なウインク?
黒灰:ちげーよ。目をつぶる、ってこと。
白灰:……僕は、目を開いて生きていきたいんだけど……。転ぶの嫌だし。
黒灰:たとえだろぉ? まぁ、じゃあ、ホントはこっち。はい。
白灰:(どうせ、ろくなもんじゃ……)えっ!? 何、この大金……!
黒灰:そんなに大金じゃないだろ?
白灰:いや、大金だよ! こ、こんなの、小さなチョコが山のように買えるよ!? それに、僕の好きなお菓子だって、何袋も買えちゃう……! ど、どうして、こんな大金を僕に!?
黒灰:いや、その……菓子じゃなくて、もう少し、健康に気を遣った食生活をだな……。
白灰:そのへんはだいじょーぶ! 食って、寝て、起きて、動けば、それで健康!
黒灰:……いやいやいやいや。高熱出てても、お前割と動ける方じゃん。(俺は)変な病気もらってきても全然気づかない方じゃん……! 少ねぇけど、これやるから、な? もうちょっと、自分の体に投資というか、なんというか……。
白灰:大丈夫だって! 僕、案外身体強い方だよ! ちゃんと鍛えてるし!
黒灰:うう~ん。そうかもしれんが、年齢のことも……
白灰:なんか言った?(圧)
黒灰:いえ、何でも。
白灰:返事はいつでも?
黒灰:サー、イエッサー!
白灰:よろしい。じゃ、あと、お願い! 僕、急用頼まれてて、実は忙しいんだ!
黒灰:え……。あぁ、そうなんですか。それは……、気づきませんで……。
白灰:いいのいいの! 気づかなくっても、いいんだよ。聞いてくれれば、答えるから!
黒灰:えっと……
白灰:じゃ、僕、行ってくるね! また会えるのは、数日後! また連絡する! じゃね!
黒灰:あ、はい。承知しました。
(飛ぶように出かけていく白灰と、それを見送る黒灰)
黒灰:……あー……。言いてぇことが、あったんだけど……、まぁいっか。また、今度会った時で……。