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序章 プロローグ  作者: 鈴乱
始まり
2/12

日常

言えない言葉、言ってない言葉、省略しちゃった諸々が()の中をさまよっておりますが、ご承知の上、お先にお進みください。(案内人鈴乱より)


白灰(しろはい):初めましてー、こんにちはー! いらっしゃいませに、おはようさーん。太陽の申し子、白灰(しろはい)でぇす!! ……あいたっ!


黒灰(くろはい):こらこら。初対面で大げさな口上を言うでない。


白灰(しろはい):ええ~、だって、初めて会うんだよ? 出来るだけ、僕をアピールしておかないと!


黒灰(くろはい):そんなにアピールしなくても、ある程度は伝わるから落ち着け。


白灰(しろはい):いやいや、第一印象は大事だよ! 僕にその後も会ってもらえるかどうかの、瀬戸際なんだよ!?


黒灰(くろはい):なんで、お前はそんなギリギリを生きているんだ……。ほれ、これでもやるから、好きな所に行ってこい。


白灰(しろはい):えっ……。こ、これは!


黒灰(くろはい):どうだ、いいだろう。あの、行列の出来る店の! 割引券だ!


白灰(しろはい):うっわ~! すっごーい! ……って、ねぇ、ちょっと? (お金がないって方向で)僕のこと、おちょくってるよね?


黒灰(くろはい):(割引券も)何にもないよりゃ、良いだろ?


白灰(しろはい):そりゃ、そうだけど……好きなとこって言いながら、行き先1コに決定してんじゃん……。(僕の)好きな所って言ったくせに~……。


黒灰(くろはい):だって、お前、方向音痴じゃん(だから、これが適切だろ)。家から真っ直ぐのスーパーですら、たどり着けないんだから。


白灰(しろはい):うっ……。そりゃ、そうだけど……。


黒灰(くろはい):(お前の)行き先がきまっていれば、俺もみんなも、お前を探すのに手間取らないし、お前は安く美味しいもんが食えて、万々歳。ほら、誰も損してないだろ?


白灰(しろはい):僕が、微妙に損してる気がするんだけど……。(別に飲食店好きじゃないし)


黒灰(くろはい):ほら、そのくらいは、こうだ。


白灰(しろはい):何それ。下手なウインク?


黒灰(くろはい):ちげーよ。目をつぶる、ってこと。


白灰(しろはい):……僕は、目を開いて生きていきたいんだけど……。転ぶの嫌だし。


黒灰(くろはい):たとえだろぉ? まぁ、じゃあ、ホントはこっち。はい。


白灰(しろはい):(どうせ、ろくなもんじゃ……)えっ!? 何、この大金……!


黒灰(くろはい):そんなに大金じゃないだろ?


白灰(しろはい):いや、大金だよ! こ、こんなの、小さなチョコが山のように買えるよ!? それに、僕の好きなお菓子だって、何袋も買えちゃう……! ど、どうして、こんな大金を僕に!?


黒灰(くろはい):いや、その……菓子じゃなくて、もう少し、健康に気を遣った食生活をだな……。


白灰(しろはい):そのへんはだいじょーぶ! 食って、寝て、起きて、動けば、それで健康!


黒灰(くろはい):……いやいやいやいや。高熱出てても、お前割と動ける方じゃん。(俺は)変な病気もらってきても全然気づかない方じゃん……! 少ねぇけど、これやるから、な? もうちょっと、自分の体に投資というか、なんというか……。


白灰(しろはい):大丈夫だって! 僕、案外身体強い方だよ! ちゃんと鍛えてるし!


黒灰(くろはい):うう~ん。そうかもしれんが、年齢のことも……


白灰(しろはい):なんか言った?(圧)


黒灰(くろはい):いえ、何でも。


白灰(しろはい):返事はいつでも?


黒灰(くろはい):サー、イエッサー!


白灰(しろはい):よろしい。じゃ、あと、お願い! 僕、急用頼まれてて、実は忙しいんだ!


黒灰(くろはい):え……。あぁ、そうなんですか。それは……、気づきませんで……。


白灰(しろはい):いいのいいの! 気づかなくっても、いいんだよ。聞いてくれれば、答えるから!


黒灰(くろはい):えっと……


白灰(しろはい):じゃ、僕、行ってくるね! また会えるのは、数日後! また連絡する! じゃね!


黒灰(くろはい):あ、はい。承知しました。


(飛ぶように出かけていく白灰と、それを見送る黒灰)


黒灰:……あー……。言いてぇことが、あったんだけど……、まぁいっか。また、今度会った時で……。

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