第92話:惑星ガンマへの旅立ち
第92話として、ルミナス艦橋でのミーティングから惑星ガンマへの到着、着陸船での説明までを、緊張感とワクワク感を交えた描写としました。
【出撃前のミーティング】
朝の艦橋には、清々しい緊張感と、遠足前のようなわずかな高揚が漂っていた。
円形のミーティングテーブルに全員が揃い、貴志が艦長席から穏やかに視線を巡らせる。
「おはよう、みんな。今日はいよいよ惑星ガンマへの出発だ。準備はいいか?」
ルナが真っ先に片手を上げ、ドローンコンソールにぴょんと跳ねて向かう。
「お兄ちゃん、準備バッチリだよー! 私の超小型ドローン、“アルファくん”と“ベータちゃん”、遺跡で超活躍するからねー!」
キャスが自信満々に自分の小型ブラスターをくるくる回して、軽く天井に向けて構えた…が、
「キャス、それ安全装置が解除され、射撃モードになってる!!」
アスの冷静な声が飛ぶ。
「えっ、ええっ!?」
キャスが慌てて構えを解くが、その瞬間。
ビィィンッッ!
ブラスターから青白いレーザーが発射され、天井の照明にピシッと小さなひびが入った。
「ひぃぃぃ!? またやっちゃったーーー!!」
「……キャス、昨日の訓練、何を学んだんですか?」
アスが眉間に皺を寄せる。貴志が苦笑しながら割って入った。
「まあまあ、照明一個くらいで済んだなら、いい勉強になったろ。な、キャス?」
「は、はいぃ……ごめんなさーい……」
ルミが静かに手を挙げて、提案する。
「艦長、照明は後で私が修理しておくよ。キャスちゃん、次は安全装置、ちゃんと確認しようね」
「ルミー、女神さまだー…!」
【ステラ、正式な初参加】
そのやり取りの横で、ステラは緊張した面持ちで座っていた。
昨日は皆に支えられながらも、今日は自分も「メンバー」としてここにいる。
そんな空気を感じてか、貴志がふと目を向け、優しく語りかける。
「ステラ、きみも今日から本格的な参加だな。不安もあるだろうけど、大丈夫。みんながいる」
ステラは一瞬戸惑い、しかし頷いた。
「……はい。私、まだ分からないことばかりですけど……が、がんばります」
「うん、それでいい。それが一番大事だ」
アスも短く言葉を添える。
「ステラ、訓練の成果は出ていました。後は、現場での落ち着きです」
キャスが手を上げ、からかうように加勢した。
「わたしよりは上手だと思うよー? ねー、ルナ?」
「キャス、それフォローになってないからー!」
ルミはくすくすと笑いながら、お茶を湯沸かし器に仕掛けた。
【出発、惑星ガンマへ】
「アス、航路確認。ルナ、センサー起動。キャスは艦から降りるまでブラスター収納。ルミ、お茶ありがとう」
「はい、艦長」
「了解でーす!」
「ブラスター、ちゃんと収納しまーす!」
ルミナスの艦体が軽やかに補給ドックを離れ、加速モードに移行。
青白い宇宙がフロントビューウィンドウに広がり、航行が始まる。
「目的地、惑星ガンマ遺跡群へ。所要時間、約6時間」
アスの冷静な声が響く。
「出発だ、ルミナス隊。未知の遺跡が俺たちを待ってる。行こう!」
貴志の宣言に、艦内の空気が一気に引き締まった。
【ちょっとしたアクシデントも】
10分ほど航行が進んだ頃。センサーに微細な異常が。
「艦長、航路上にマイクロデブリ帯が発見されました。衝突の危険は小ですが、回避行動推奨です」
アスが即座に報告。
「任せてー! ドローン隊でデブリの軌道をリアルタイム監視するよー!」
ルナのドローン隊が高速で射出され、艦の前方に展開。
「すごい、これが本番の連携……」
ステラが呟き、画面を見つめる。
「ルナ、デブリA-3、進路4度左へ修正を。ステラ、補助操縦席で左スラスター操作、頼めるか?」
貴志の言葉に、ステラが一瞬驚く。
「……はいっ、やってみます!」
おずおずと補助席に座り、操作レバーに手を添える。アスが補助的に指示を出す。
「ステラ、右手で操作。スラスターは小刻みに。そう、今……」
「っ……はい、できました!」
軌道がほんの少し修正され、ウィンドウ越しのデブリが艦の右舷をかすめて流れていった。
「……やった……!」
「ステラ、よくやったな」
貴志が小さくガッツポーズを見せる。
ステラは、ほんの少し顔を赤らめた。
「ありがとう、艦長……私……ちゃんと役に立てた、かも」
【ティータイム】
静かな航行が再開される中、ルミがティーセットを持って現れた。
「みんな、休憩しよう? カモミールティーと焼き菓子、持ってきたよ」
キャスがうれしそうに飛びつく。
「わーい! 甘いものだー! デブリ回避で神経を使っちゃってお腹減ったよー!」
ステラもティーカップを受け取り、小さな声で呟く。
「……あったかい……」
ルナが笑顔で肩を叩いた。
「ねー、ステラ! あと3時間、がんばろー!」
「……うん。がんばろう」
宇宙の静寂を背景に、ルミナス号の冒険の幕が、本格的に上がった。
【惑星ガンマ、衛星軌道上】
ルミナスが静かに軌道制御を終え、青と緑の宝石のような惑星ガンマが、ディスプレイ一面に映し出された。
「すげえな……これが惑星ガンマか。綺麗だな」
貴志が自然と声を漏らす。
視界の彼方には、湖のように広がる湿地帯と、断崖に囲まれた緑の大地。そこには古代遺跡と思しき建造物の影もかすかに見えた。
「環境は温暖、大気はほぼ地球に近く、酸素含有量も良好。ですが地表には未知の生物が確認されており、警戒は必要です」
アスが立ち上がり、ホログラムに地形データを表示する。
「艦長、みなさん。ルミナスは大気圏内突入できる装備がない為、直接降下することはできません。また、遺跡周辺は不安定な磁場があります。今回は着陸船を使い、惑星地表面に降下します」
【準備開始とキャス】
「持ち出す装備は、軽量武器、エネルギーパック、食料、非常信号装置。特に……キャス、貴方が一番心配です」
「えー! 私、ちゃんと準備したよー! 見て見て!」
キャスが胸を張ってポーチを開け、ドヤ顔でエネルギーパックを取り出す。
……が、それは空のパックだった。
「……キャス」
アスが静かに上を向き、深いため息をついた。
「それ、空ですよ。遺跡でどうするつもりですか?」
「えっ!? ひゃああ! ご、ごめんアス! 失敗しちゃったー!」
貴志が笑いをこらえてアスに視線を送る。
「アス、予備あるだろ? 渡してやってくれ」
「……はい。これが最後の予備です」
アスがそっとパックを手渡し、ジト目で釘を刺す。
「次は、自分で確認してください。戦場では命に関わります」
「はーい……うぅ、反省してまーす……」
【ルナとステラ、初コンビ】
一方、ルナとステラは装備室で小型ドローンとセンサーパックの最終チェックをしていた。
「ステラ、これが私の“アルファくん”と“ベータちゃん”。探知も攻撃もできるスゴいやつなんだよー!」
「す、すごいですね……あの、でも、ここの配線……逆では?」
「あっ、ほんとだ!? ステラ、すごーい! 助かったぁ!」
初めての二人の連携。お互いにぎこちなくも、少しずつ信頼の芽が育ち始めていた。
「私、まだ全然だけど……ルナさんと一緒にできて、少し安心しました」
「えへへ、私もステラと組むの、なんかワクワクするよー!」
【着陸船〈アルゴー〉の準備】
機体格納庫では、白と青の着陸船「アルゴー」が降下シーケンスのために整備されていた。
艦内モニターに、ルミのサブAIが現れ、落ち着いた声で報告する。
「艦長、アルゴーの出撃準備、完了です。燃料充填完了、ナビゲーション系統も問題なし」
貴志が頷く。
「よし。ステラ、今回の降下で副操縦を頼む」
「わ、私が……ですか?」
「訓練でも安定してたしな。横にアスがつく。落ち着いてやれば大丈夫だ」
「……はい、ありがとうございます……頑張ります」
【出発前の一息と緊張感】
降下準備までの20分、艦橋に戻った貴志たちは最後のブリーフィングを行う。
「着陸ポイントは遺跡北側の草原。データによれば、地盤は安定。だが生物反応が複数確認されている」
「ルナとキャスは索敵と前方警戒。ルミとアスは支援とセンサーデータの解析。ステラは俺と着陸船を。全員、離れる時は通信維持を最優先だ」
「了解!」×全員
ふと、キャスがポツリと呟く。
「ねえ、でも……遺跡って本当にお宝あるのかなぁ? なんか、ワクワクするけどちょっとドキドキだよね」
「あるさ。たぶんお宝以上の、何かが」
貴志がウィンドウ越しに惑星を見ながら答えた。
「それを確かめに行くんだ。俺たちの足でな」
ルミが静かに紅茶のカップを配りながら、優しく囁いた。
「じゃあ、まずは落ち着いて。お茶を飲んで、心を整えていこう」
こうして、緊張と期待が入り混じる中、ルミナスの探索チームは惑星ガンマへの着陸準備を整えていった。
艦橋での出発準備を明るく描き、衛星軌道上でのキャスの失敗とアスの説明を緊張感とユーモアで描写し、着陸船での詳しい説明と地表面への降下をワクワク感たっぷりに描きました。
次話では、遺跡探索が始まります。
ご期待ください。




