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第8話:海賊との初戦闘

第8話として、海賊の襲来による初戦闘を緊迫感ある展開で描きつつ、貴志とアストラリスの活躍、他の傭兵艦との連携、そして任務完遂までを描写しています。戦闘のスリルと成長する貴志の姿をお楽しみください。

※一部読み辛い箇所がありましたので、改行等の修正を行いました。また、表題を章から話に変更しました。

カルナック〜リガル航路の護衛任務は、順調に進んでいるかに見えた。

輸送船の前に軽巡洋艦『サラマンダー』、アストラリスと駆逐艦『ヴェガ』が左右をガードする様に陣形を組み、静かな宇宙を進んでいた。


貴志は艦橋でアスと軽い会話を交わしながら、初めての任務に慣れつつあった、その瞬間であった。

突然、けたたましい爆発音が響き渡った。

「艦長! 輸送船の側面で爆発を確認!」


アスの声が鋭く響き、スクリーンに映し出された映像では、輸送船の左舷から火花と破片が飛び散っていた。直後、緊急無線が飛び込んできた。


「こちら『サラマンダー』! 宙雷(海賊が輸送船等の行き足を止めるために使用する。現代で言うところの『機雷』)だ! 輸送船がやられたぞ!」


ダリオの叫び声に続き、リナの冷静な報告が重なる。

「『ヴェガ』より確認。輸送船の機関部に損傷、航行不能だ。海賊が来るよ、みんな気をつけて!」


貴志は一瞬息を止め、艦長席で身を固くした。アスが即座に指示を出した。

「艦長、慌てないでください。宙域の索敵を強化します。可動中のパッシブレーダーを含め、全センサー起動、敵の位置を特定します!」


アストラリスのアクティブレーダーが作動し、周辺宙域をスキャン、すると、スクリーンに敵影が浮かび上がった。

画像を解析すると、小型の高速ミサイル艦(ソニック級)3隻が猛スピードで接近し、その後方に略奪物資を運ぶための支援艦(武装輸送艦)が控えているようだった。


貴志は震える声で確認した。

「ミサイル艦3隻と支援艦…こいつらが海賊か。アス、どうする!?」


アスは冷静な声で回答した。

「敵の意図は、私達護衛艦の排除です。ミサイル艦を優先して撃破しましょう。私が戦闘をサポートします。対空砲と主砲を準備してください!」


「アクティブレーダーに感あり、敵艦から小型物体が分離、急速に接近しつつあります」と言った瞬間。高速ミサイル艦が一斉に攻撃を開始したようで、鋭い光の尾を引くミサイルが、アストラリスと他の傭兵艦に向かって殺到するのがディスプレイに表示された。

「『サラマンダー』、迎撃態勢! 新入り、頑張れよ!」


ダリオの軽巡洋艦が主砲のレーザー砲を放ち、ミサイルの一部を迎撃した。

リナの『ヴェガ』も対空パルスレーザー砲で応戦するが、敵ミサイルの数が多く、一発が『ヴィガ』の機関部に直撃。


「こちら『ヴェガ』、被弾! 機関部損傷、航行不能だ…!」

リナの声に焦りが混じる中、アストラリスにもミサイルが迫った。


貴志は反射的に叫んだ。

「アス、やられるぞ!」

「大丈夫です、艦長。対空パルスレーザー砲、一斉射開始!」


アスの指示で、アストラリスの8門のパルスレーザーが火を噴き、飛来するミサイルを次々と迎撃した。爆発が艦の周囲で連続し、衝撃波が艦橋を揺らす。貴志は歯を食いしばりながらコンソールを握った。

「迎撃成功! 今度はこちらから攻撃します。艦長ご指示願います。」


「アス、主砲を敵1番艦に照準!」

「承知しました。主砲、レーザー砲4門、敵ミサイル艦1番艦を捕捉!」


アスが冷静に指示を出し、貴志が発射ボタンを押す。青白いレーザー光が宇宙を切り裂き、ミサイル艦の1隻に直撃。敵艦は爆発とともにバラバラになり、残骸が漂う。

「おおっ! 当たった! アス、すげえ!」

「艦長のタイミングが完璧でした。残り2隻も追います!」


戦闘は激しさを増した。サラマンダーがもう1隻のミサイル艦を仕留める一方、アストラリスは執拗な攻撃を受け続けた。シールドがミサイルの直撃を防ぎつつも、エネルギー残量が徐々に減っていく。アスが警告を発した。

「シールド残量70%です。敵の弾薬が尽きるのを待つか、海賊側の旗艦と思われる支援艦を狙って一気に決着をつけますか?」


貴志は一瞬迷ったが、他の艦の状況を思い出し、決断した。

「このまま耐えて、敵が退くのを待とう。ヴェガが動けないんだ、俺たちまでやられたら終わりだ!」

「了解しました。対空防御優先で対応します」


海賊の攻撃はさらに数分続いたが、やがてミサイルの数が減り始め、高速ミサイル艦と支援艦が後退を始めた。どうやら弾薬が尽きたらしい。ダリオが通信で叫んだ。

「逃げやがった! 新入り、よく耐えたぞ!」


リナも安堵の声を上げた。

「貴志、助かったよ。アストラリスの火力がなかったら、もっとやばかった」


貴志は汗だくの額を拭い、アスに目をやった。

「アス、俺たちやったな…」

「はい、艦長。初戦闘、見事に乗り切りました。私も誇らしいです」

アスが微笑むと、貴志は疲れと達成感が入り混じった笑顔を返した。


戦闘後、輸送船と航行不能となった『ヴェガ』を、アストラリスと『サラマンダー』で牽引することになった。

アストラリスの強力なエンジンが役立ち、ゆっくりながらもリガル宙域へ向けて進んだ。その後の航路では海賊の襲撃もなく、無事に任務を終えた。


リガル到着後、輸送船の船長から感謝の言葉を受け、傭兵酒場のカウンターで護衛任務報酬を受け取り、貴志は他の傭兵艦の艦長たちと別れを告げた。

「新入り、また一緒に仕事しようぜ。アストラリス、頼りになる艦だな」


ダリオが笑い、リナも頷いた。

「貴志、次はもっと余裕で戦えるよ。成長が楽しみだ」


艦橋に戻った貴志は、アスと顔を見合わせた。

「初戦闘、怖かったけど…何とかやれたな。アス、ありがとう」

「艦長の勇気があってこそです。これからも一緒に戦いましょうね」


貴志は頷き、初めての護衛任務を終えた充実感に浸った。傭兵としての道はまだ始まったばかりだが、アストラリスと共になら、どんな試練も乗り越えられる気がした。

貴志の初戦闘、緊張感と勝利の喜びで描き、アスや他の傭兵との絆を深めました。任務終了後の成長をお楽しみいただければと思います。次話では、新たな依頼や休息の場面を描こうと思います。



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