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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第69話:作戦の裏側と司令部の暗雲

第69話として、連合軍第一艦隊司令部でのファーエル少将の作戦会議と、その裏側で進む政治的な動きを、彼女の性格や立場を反映しつつ、緊張感と策略が交錯する雰囲気で描きました。

※表題を章から話に変更しました。

【ファーエルの思索】

「連合軍第一艦隊司令部作戦室」

今回の海賊掃討作戦の司令を務めるファーエル少将は、デスクに座り、目の前の作戦ファイルを見つめていた。

連合軍士官学校出身の若い女性士官である彼女は、鋭い目つきと凛とした姿勢で知られ、信賞必罰を掲げる公平な判断が評価されていた。しかし、今、彼女の心には疑問と苛立ちが渦巻いていた。

「海賊要塞一つの撃破が目的か…作戦自体はそれほど大掛かりじゃない。私の直属部隊、旗艦の空母『メディス』、戦艦『デミス』以下6隻。アレス大佐の第1分艦隊8隻、ブラウン大佐の第3分艦隊8隻、そして傭兵艦3隻。合計25隻だ。戦力的には何も問題ないはず…」


ファーエルがファイルを閉じ、背もたれに(もた)れて呟いた。

「今回の海賊要塞掃討作戦では、なぜ私の直轄部隊が中心に動員されたんだろう?」


彼女は目を細め、連合軍内の状況を考え始めた。

「連合軍は一枚岩じゃない。私、副艦隊司令の立場だけど、艦隊司令部とは特に仲が良いわけじゃない。作戦参謀や高級幹部とも折り合いが悪いし…私の作戦方針を肯定してくれる第2分艦隊司令のイーリス准将は、なぜか今回の作戦から外されてる。第1分艦隊のアレス大佐、第3艦隊のブラウン大佐は第一艦隊司令部の子飼いの部隊だと言うし、意図的なものを感じるな…」


ファーエルの公平さを重んじる性格が、司令部内の不透明な動きに敏感に反応していた。

彼女は唇を噛み、デスクを軽く叩いた。

「何か裏がある、しかも嫌な、予感もする。だが、作戦は確実に遂行しなきゃいけない。午後からの作戦会議では、各分艦隊司令やバックの第一艦隊司令部の裏の意図を暴ければ良いな」


【作戦会議での孤立】

第一艦隊司令部の会議室ては、ファーエル少将が中央に立ち、各分艦隊司令や作戦参謀、高級士官が円卓を囲んだ。


彼女がファイルを手に持つと、鋭い声で会議を始めた。

「今回の海賊掃討作戦の目的は、海賊要塞一つの撃破だ。私の直属部隊と第1、第3分艦隊、傭兵艦を含む25隻で臨む。戦力的には問題がないと思われる。偵察艦の報告結果から推定すると、敵の要塞は巡洋艦以上の艦船、高度に要塞化された上に、隠匿(かく)された要塞砲の武装を持つ可能性がある。全員、私の指揮に従い、確実に作戦を成功させてもらいたい。意見は?」


アレス大佐が腕を組み、やる気のない口調で応じた。

「ファーエル少将の指揮に従いますよ。それでいいでしょう?」


ブラウン大佐が渋い顔で頷き、言葉を継いだ。

「分かりました。少将の指示通り動きます。以上です」


二人の態度に、ファーエルは眉をひそめた。やる気のなさが明らかだったが、それ以上に第一艦隊本隊の作戦参謀や高級士官の沈黙が気になった。

会議室に重い空気が流れ、ファーエルが視線を参謀席に移すと、第一艦隊本隊の作戦参謀のロセス准将が一言だけ発した。

「今回の作戦では、第一艦隊本隊の支援はありません」


ファーエルが目を鋭くして聞き返した。

「何? おかしいじゃないか。今回の作戦ではなぜ本隊の支援がないんだ?兵站線へいたんせん、後方支援や物資補給の仕組みはどうなっているんだ」


ロセス准将が冷たく答えた。

「あの程度の海賊要塞、優秀なファーエル少将の指揮下で今回の動員兵力であれば、数日で掃討出来るはず。よって兵站線は不要。第一艦隊司令、クロノス大将からのお言葉です。これは第一艦隊司令部全体の総意ですよ」


ファーエルが苦虫を噛み潰したような顔で唇を歪めた。彼女の公平さを求める信念が、この理不尽さに反発していたが、感情を抑えて冷静に返した。

「…分かりました。精一杯頑張らせていただきます。補給路の確保や戦場での判断は私の指示に従っていただきます。それでいいですね?」


アレス大佐とブラウン大佐が揃って頷き、気のない声で応じた。

「分かりました」


作戦参謀や高級士官も無表情で「承知した」とだけ言い、会議は終了した。ファーエルは内心で苛立ちを募らせながらも、作戦遂行への決意を固めた。


【裏側の策略】

会議後、ファーエルと各分艦隊司令たちが退出した会議室に、ロセス准将と第一艦隊司令部の高級士官数名が残った。

ロセス准将が椅子に凭れ、冷笑を浮かべて呟いた。

(うるさ)い小娘だ。今回の作戦で失敗でもすれば、失脚させられる。ちょうどいい機会だな」


高級士官の一人が、ロセスの隣に立ち、低い声で尋ねた。

「各分艦隊司令には連絡済みか?」


作戦参謀付きの副官が無感情に頷いた。

「はい、アレス大佐とブラウン大佐には事前に伝えてあります。ファーエル少将の指揮に従うふりはしますが、戦闘支援は最小限に留めると。彼女が孤立するよう仕向けます」


高級士官が目を細めて笑った。

「クロノス大将の意向通りだ。ファーエルが勝手に暴走して失敗すれば、司令部の責任も問われない。動員された傭兵艦も巻き込まれるだろうが、知ったことじゃない」


ロセス准将がファイルを手に持つと、静かに締めた。

「全てはクロノス閣下の思惑通りだ。ファーエルがしくじれば、我々の思う通りになる。それまで見物といこう」


会議室に冷たい空気が漂い、ルミナスが参加する作戦の裏側では、連合軍内の政治的な策略が静かに進んでいた。

ファーエル少将の公平さと鋭い洞察力、そして司令部内の策略を緊張感ある雰囲気で描きました。

次話では作戦開始に向け、ルミナスの様子を描いていきます。

ご期待ください。

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