第68話:訓練の教訓と作戦前日の講義
第68話として、訓練後の和気あいあいとした艦橋での様子と、翌日の作戦前日におけるアスとルミによる講義を、各キャラクターの性格を反映しつつ、学校の講義風に楽しく描きました。
※表題を章から話に変更しました。
【訓練後のひととき】
午前中の訓練を終え、オルテガ・フロンティアの補給ドックに帰還したルミナスの艦橋では、キャスの失敗から得た教訓を胸に、和気あいあいとした空気が流れていた。
貴志が艦長席に座り、みんなを見渡して優しく声をかけた。
「よし、訓練は撃沈判定だったけど、いい教訓になったな。キャス、お前、どうだ?」
キャスが少し照れながら、明るく笑って応じた。
「貴志さん、私、今回は失敗しちゃったけど…ルナやルミさんに頼るの大事だって分かったよ! 次はちゃんと仲間頼るから、特務曹長の名に恥じないように頑張るね!」
ルナがドローンコンソールを叩き、元気よく飛び跳ねた。
「お兄ちゃん、私、キャスお姉ちゃんのこと次はちゃんと守るよ! ドローン隊でバンバンやっつけるからね!」
ルミがセンサー席で微笑み、穏やかに言った。
「艦長、キャス、ルナ、みんなで戦えば大丈夫だよ。私も今日の訓練で、もっとみんなと連携しようって思った。明日からも頑張ろうね」
アスがコンソールから目を上げ、冷静に、しかし優しく締めた。
「艦長、貴方の指導のおかげでキャスも成長しました。私も今日の訓練を見て、みんなの結束が強くなったと思います。作戦まであと2日、全力で準備しましょう」
貴志が全員を見て、力強く笑った。
「お前ら、最高のチームだよ。今日は休息して、明日から作戦に備えようぜ。気持ち整理して、意気込んでいこうな!」
キャスが拳を握り、ルナが手を叩き、ルミが頷き、アスが微笑む中、艦橋は和やかな笑い声に包まれた。その後、各自休息へと向かい、翌日の準備に備えた。
【作戦前日の講義】
作戦前日を迎えたルミナスは、補給と艦の整備を終え、一段落した艦橋に全員が集まった。
アスとルミが艦橋ディスプレイの前に立ち、アスが指示棒を手に持って全員を見渡した。
「これから明日の海賊掃討作戦に向け、海賊側の戦術や心理状態を説明します。作戦の成功には、敵を知り、己を知ることが不可欠です。今日は一日講習会とします。しっかり聞いてください」
ルミが隣で優しく微笑み、補足した。
「私もルミナスでの戦闘経験があるから、海賊の戦い方を教えるよ。みんな、よく聞いて習得してね。明日の作戦、成功させよう!」
キャスが席に座り、顔をしかめて呟いた。
「うぇ…勉強かぁ。苦手なんだよなぁ…」
アスが指示棒を軽く振り、鋭い声でキャスに注意した。
「そこ、しっかり聞きなさい。キャス貴方、特務曹長でしょう?」
さらにアスがノリノリで付け加えた。
「今日は私のことは『先生』と呼びなさい。分かったら返事してください」
ルナが目を輝かせ、元気よく手を挙げた。
「アス先生、よろしくお願いしまーす!」
キャスが拗ねた顔で小声でぼやいた。
「何が先生だよー…アスさんが偉そうに…」
アスが指示棒でキャスの頭を軽くコツンと叩き、厳しく言った。
「キャス、『アス先生、お願いします』は?」
キャスが慌てて立ち上がり、渋々敬礼した。
「分かりました…アス先生、お願いします!」
そのやり取りを見ていた貴志が微笑んでいたが、アスが貴志に目を向けて一言。
「艦長、貴方も今日は生徒です。『アス先生』は?」
貴志が目を丸くして驚いた。
「えっ、俺まで!?」
アスが指示棒を軽く振り、にこやかに待った。貴志が苦笑いして応じた。
「アス先生、お願いします…」
アスが満足そうに頷き、講義を始めた。
「よろしい。それじゃ、これから始めます。みんな、メモを取ってくださいね」
【アス先生とルミの講義】
アスがディスプレイに海賊艦の動きを示す図を表示し、指示棒で指しながら説明を始めた。
「海賊は主に高速艦での一撃離脱戦法を得意とします。私が以前、別の艦で遭遇した時、高速艇がミサイルを撃ち込んで即座に離脱する動きを見ました。でも今回はこちらから攻撃する掃討作戦なので、海賊は死に物狂いで反撃してくる可能性があります。特に逃走中の艦は、予測不能な動きで抵抗してきますよ」
キャスがメモを取りながら呟いた。
「アス先生、死に物狂いって怖いなぁ…」
アスが冷静に続け、ディスプレイを切り替えた。
「ただし、海賊は基本的に一匹狼が多く、連携が取れません。私が昔、海賊の小艦隊と戦った時、彼らはバラバラに動いて自滅しました。そこが狙い目です。しかし、基地に立てこもった海賊は別です。海賊の頭を中心に指揮命令系統が確立され、一筋縄ではいきません」
ルナが手を挙げ、元気よく質問した。
「アス先生、基地の海賊って強いんですか?」
アスが頷き、基地の図を表示した。
「はい、ルナ。基地の海賊は巡洋艦以上の艦船を持っている情報があります。過去のデータから計算すると、ルミナスでは正面からでは太刀打ち出来ないと推定されます。また、基地自体が要塞化している可能性があり、36cmレーザー砲やマーベルのような長距離対艦ミサイルを備えています。一部の要塞はエネルギーシールドも展開してる可能性があります」
キャスが顔をしかめて呟いた。
「エネルギーシールド…ルミナスには無いのに…」
アスが微笑み、安心させるように言った。
「心配しないでください。事前情報では、ルミナスは要塞攻撃には参加せず、連合軍の攻撃から逃走した海賊艦の捕捉と攻撃が主任務です。日頃の訓練を元に、全力を尽くしてください」
ルミが前に出て、補足を始めた。
「アス先生の言う通りだよ。私からも経験談を話すね。昔、海賊の基地を攻撃したことがあったんだ。その時は、基地の要塞砲、36cmレーザー砲で捕捉され、回避しようと急速旋回したところに、隠れていた海賊巡洋艦にミサイル攻撃をされて、艦橋に直撃しちゃったんだ。幸い人的被害はなかったんだけど、逃走艦を追う時も気を抜かないでね。連携が苦手でも、追い詰められた海賊は怖いよ」
貴志が真剣に頷き、質問した。
「アス先生、ルミ、逃走艦の動きって予測できるんですか?」
アスが指示棒で図を指し、答えた。
「艦長…いえ、貴志生徒、いい質問です。私が過去に見た逃走艦は、高速でジグザグに動いてミサイルを避けようとします。でも、パターンが単純なので、ルミの索敵と私の制御で捕捉できますよ」
ルミが笑顔で付け加えた。
「うん、私がレーダーで見つけて、みんなで連携すれば大丈夫だよ。訓練の教訓活かそうね、キャス!」
キャスが少し照れて応じた。
「アス先生、ルミ、了解です…勉強は苦手だけど頑張ります!」
アスが講義を締め、指示棒を置いた。
「以上です。敵を知り、己を知れば、作戦は成功します。今日は一日講習会でしたが、明日、全力で戦いましょう。解散!」
艦橋に笑い声が響き、貴志が微笑みながら呟いた。
「アス先生、ルミ、いい講義だったよ。明日、みんなで勝とうぜ」
作戦前日の講義は、アスとルミの経験を基にチームの意気込みを高め、戦いへの準備を整えた。
訓練後の和やかな艦橋と、アスとルミによる講義を学校風に、アスのノリノリな先生ぶり、キャスの拗ねた反応、ルナの元気、ルミの経験談を踏まえて描きました。
次話は、海賊掃討作戦の裏側で進む政治的な動きを描きました。
ご期待ください。




