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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第67話:教訓と信念の道中

第67話として、訓練を終えたルミナスが補給ドックに戻る道中でのキャスの反省と、ルナ、貴志、アス、ルミによる教訓と信念の伝達を、ルミの過去の経験談を織り交ぜて描きました。

※表題を章から話に変更しました。

【補給ドックへの帰路】

午前中の標的艦と標的ドローンを用いた実戦訓練を終えたルミナスは、補給と整備のためオルテガ・フロンティアの補給ドックへ戻る航路を取っていた。


艦橋では、貴志が艦長席に座り、アスがコンソールを操作して艦を制御していた。訓練での撃沈判定が響いたキャスは、艦長席の横に立ち、唸りながら頭を抱えていた。

「うーん…何がいけなかったんだろう…私、ちゃんとやったはずなのにやられちゃって…」


その様子を見かねたルナが、ドローンコンソールから飛び降りてキャスの前に立ち、元気よく一言放った。

「キャスお姉ちゃん、一人で戦ってたんだよ! 私もルミお姉ちゃんも、キャスお姉ちゃんの仲間だよっ! 相談してほしいし、頼るところは頼らないと、周りが見えなくなっちゃうよ!」


ルナの大きな瞳が真っ直ぐキャスを見つめ、純粋で力強い言葉が艦橋に響いた。

キャスが目を丸くしてルナを見返し、少し戸惑った。

「ルナ…そ、そうかぁ…私が一人でやろうとしすぎたのかな…」


貴志が立ち上がり、キャスの肩に手を置いて優しくフォローに入った。

「ルナが凄く良いこと言ってくれたな。キャス、今回の敗因は、何でも一人でこなそうとして対応しきれなくなったことだ。周囲への警戒レベルが下がって、奇襲を食らった。仲間を信じろ、仲間を頼れ。でも、自分の信念だけは曲げるな」


キャスが首をかしげて、ちょっと難しい顔で呟いた。

「貴志さん…仲間を頼れ、でも信念は曲げるな? うーん、ちょっと分からないよ…」


貴志がキャスの困惑を見て、優しく笑いながらさらに説明した。

「難しい話かもしれないけどさ、艦長になると、『いざ』って判断を求められる時がある。艦や仲間に危害があっても、少しでも生存確率が高い方を選ばなきゃいけない時が来る。情に流されて思考が硬直して、結果的に全滅するような判断はしてほしくないんだ。俺だって、そういう時は辛いけど、信念を持って決める。それが艦長の責任だよ」


貴志の声は優しく穏やかだったが、その言葉には信念と重みが込められていた。

アスが横で貴志を見つめ、静かに微笑んでいた。彼女の目には、貴志の成長とリーダーシップへの信頼が映っていた。


【ルミの過去と教訓】

キャスが貴志の言葉をじっと聞いて、少し考え込む中、ルミがセンサー席から立ち上がり、穏やかに口を開いた。

「キャス、私の昔の話していいかな? 貴志さんの言うことが、もっと分かるかもしれないよ」


キャスがルミに目を向け、ルナも興味津々で近づいた。貴志がルミに頷き、アスも静かに耳を傾けた。ルミが少し遠くを見るような目で話し始めた。

「昔、私がエリカ艦長の退艦後に、別の艦長の元で戦ってた時、その時の艦長だった人の話しだけど。その人は、ベテランの艦長で経験はあるけど、仲間を頼るのが苦手でね。ある日、海賊の奇襲を受けた時、その艦長は一人で全部やろうとして…私や他の仲間に指示を出すのが遅れた。結果、敵のミサイルが艦橋に直撃して、当時の若い航海長以外みんな死んじゃったよ。私は、重傷を負った航海長を励まして、戦闘宙域から辛うじてルミナスを退避させたんだ…」

ルミの声が少し震え、目を伏せたが、すぐに顔を上げてキャスに優しく微笑んだ。


「だから、キャス、貴志さんの言う通りだよ。仲間を信じて、頼るのは大事。私、あの時もっと艦長に『頼ってください』って言えたらって、今でも思うんだ。でも、自分の信念は持っててね。私、あの戦闘以後『もう二度と仲間を失わない』って決めた。それが私の信念だよ」


キャスが目を潤ませ、ルミに近づいて呟いた。

「ルミさん…そんな辛いことがあったんだね。私、訓練で失敗しただけなのに、仲間を頼るの忘れてたなんて…ごめんね」


ルナがルミに飛びつき、元気よく言った。

「ルミお姉ちゃん、私、キャスお姉ちゃんのことちゃんと助けるよ! 仲間だもん!」


【信念と絆の確認】

貴志がみんなを見渡し、力強く締めた。

「キャス、ルミの話聞いて分かっただろ? 仲間を頼るのは弱さじゃない。俺たちみんなで強くなるんだ。信念は、自分の心の中でしっかり持ってればいい。キャスならできるよ」


キャスが涙を拭い、明るく笑って頷いた。

「貴志さん、ルミさん、ルナ、ありがとう! 私、特務曹長なんだから、ちゃんと仲間頼るよ。でも、私の信念は…うーん、『みんなを守る』かな! そうだね、決めた!」


アスがキャスに近づき、穏やかに微笑んで言った。

「キャス、いい信念ですよ。私も貴方の成長が嬉しいです。艦長の言う通り、仲間を頼ることで私たちは強くなれます。私も貴方を支えますよ」


貴志がアスを見て笑い、付け加えた。

「アス、お前が微笑んでるの珍しいな。キャス、いい教訓になっただろ。次はもっとうまくやれるさ」


ルナが手を叩いて元気よく叫んだ。

「次は私、ドローン隊でキャスお姉ちゃん守るよ! 一人で戦わせないからね!」


ルミがみんなを見て、優しく笑った。

「私もだよ、キャス。みんなで戦えば、私の信念も叶うからね」


艦橋に温かい空気が流れ、キャスの失敗が教訓となり、貴志の優しさ、ルナの純粋さ、アスの穏やかさ、ルミの経験と信念が一つになった。

補給ドックへ向かうルミナスは、仲間への信頼とそれぞれの信念を胸に、次の戦いへと準備を進めていた。

キャスの反省をルナの純粋な指摘、貴志の優しい指導、ルミの過去の経験談で深め、チームの絆と信念を描きました。

次話では、海賊対策としてアスが講義を行います。

アス先生の登場です。

ご期待ください。

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