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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第60話:連合軍内の確執

本日は投稿が遅くなり申し訳ありません。

第60話として、第一艦隊司令所でのブラウン大佐とファーエル少将のやり取りを、彼らの裏側の性格を反映しながら描きました。

※表題を章から話に変更しました。

【サイド:第一艦隊司令所】

ここはオルテガ・フロンティアの第一艦隊司令所。

第一艦隊第3分艦隊司令のブラウン大佐は、執務室の重厚な木製デスクに座り、ルミナスの戦果報告書を手にしていた。分厚い紙束をパラパラとめくり終えると、彼は眉間に深い皺を寄せ、苦々しく呟いた。

「廃棄寸前の駆逐艦を特務の傭兵に与えたら、作戦前に戦果を挙げやがった…。ったく、面倒なことになったもんだ」


ブラウン大佐は自分中心の男で、面倒ごとや特にならないことは徹底的に避ける性格だった。

彼にとって、ルミナスの活躍は自分の管理不足を問われるリスクを孕む厄介な案件でしかなかった。苛立ちを隠さず、報告書を雑にデスクに投げ捨てると、パサッと乾いた音が執務室に響いた。


隣に立つ副官のライザー大尉が、冷静に口を開いた。彼女は大佐の気性をよく理解しつつ、実務的な視点で補佐する現実主義者だった。

「大佐、まあ今回の戦果なら、勲章程度でいいんじゃないですか。軍の輸送船を海賊から救って、海賊巡洋艦を撃破しただけですし。ルミナスなんて、連合軍じゃ退役間近の旧式駆逐艦扱いです。そこまで大ごとじゃないですよ」


ブラウン大佐が椅子に凭れ、渋い顔で唸った。

「いや、勲章だけじゃ上層部から何を言われるか分からん。本来なら護衛をつけるべき輸送船を単艦で航行させてるんだからな。俺の責任を問われかねんぞ。艦隊副司令のファーエル少将、あの女は煩いからなぁ…」


大佐は自分の保身を第一に考える癖があり、公平すぎる上官を疎ましく思っていた。

特にファーエル少将の信賞必罰の姿勢は、彼にとって扱いづらい存在だった。ライザー大尉が少し呆れた顔で大佐を見つつ、提案しようとしたその時、執務室のドアが勢いよく開いた。


入ってきたのは、艦隊副司令のファーエル少将とその副官マール大尉だった。

ファーエル少将は士官学校出身の若い女性士官で、鋭い目つきと凛とした姿勢が印象的だった。


彼女は公平なジャッジで知られ、信賞必罰を掲げる厳格さと情熱を併せ持つ人物だ。後ろに控えるマール大尉は、少将の補佐として冷静かつ忠実に動く若手士官だった。


ブラウン大佐とライザー大尉が慌てて立ち上がり、敬礼をすると、ファーエル少将が軽く敬礼を返した。


彼女は一歩進み出て、デスクに投げ捨てられた報告書に目をやり、第一声を発した。

「ルミナス、貴志中尉への褒賞は決まったかな、大佐。大佐が捨て置いた駆逐艦で戦果を挙げたんだから、それなりに評価しなきゃね」

その言葉には、釘を刺すような鋭さが込められていた。


ブラウン大佐が苦虫を噛み潰したような顔で応じた。

「現在協議中です、閣下。しかし、たかが輸送船1隻を救っただけで…」


言いかけたところで、ファーエル少将が冷たく遮った。

「貴官はその1隻すら守れなかったのでは? だから、ちゃんと評価しないと。分かるよね、大佐」

彼女の声には、公平さを求める信念と、大佐への軽い皮肉が混じっていた。


【ブラウン大佐の思惑】

ファーエル少将はそれ以上言わず、マール大尉を連れて執務室から退出した。ドアが閉まる音が響き、ブラウン大佐が頭を抱えて椅子に崩れ落ちた。

「くそっ…あの女、いつもこうだ。貴志中尉に勲章だけじゃ、何を言われるか分からんぞ…」


ライザー大尉が冷静に状況を整理し、提案した。

「大佐、それならこうするのはどうでしょう。貴志中尉には無官の傭兵がいます。確かキャスという名前だったかと。彼女を昇進させることにすれば、褒賞として丸く収まると思いますよ」


ブラウン大佐が顔を上げ、少し考えるように目を細めた。

「キャス、か…准士官待遇の特務曹長くらいでいいか? 特務なら実態は下士官クラスの兵曹レベルだ。ファーエルもこれなら文句は言わんだろう」


ライザー大尉が頷き、補足した。

「はい、大佐。貴志中尉に勲章、キャスに昇進を与えれば、信賞必罰も満たせますし、上層部の目も誤魔化せます。ルミナスの戦果は認めつつ、大佐の責任問題も回避できますよ」


ブラウン大佐が渋々ながら頷いた。

「よし、それでいくか。面倒だが、これで済むならまあいい。ライザー、書類を準備しろ。さっさと片付けしまおう」


ライザー大尉が淡々と応じた。

「了解しました、大佐。すぐに手配します」

執務室には、ブラウン大佐の保身とファーエル少将の公平さがぶつかり合う空気が残った。


貴志、アス、キャスがいないところで、彼らの戦果に対する褒賞が決まっていく。

ルミナスの活躍は、司令所での政治的な駆け引きを経て、貴志に勲章とキャスの昇進という形で報われることになった。

ブラウン大佐の保身重視の性格と、ファーエル少将の公平さを求める姿勢が対比され、ライザー大尉の実務的な提案で議論が収束する様子を描きました。

次話では、戦闘後のルミナスの点検を和気あいあいと描き、貴志やキャスへの褒賞が授与されます。

ご期待ください。

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