第55話:シーウェイを懸けた攻防
第55話として、シーウェイ救援中のルミナスが敵巡洋艦との戦闘に挑み、ルミの直接誘導によるミサイル攻撃と、海賊側の自信満々な思惑を緊張感満載で描きました。
※表題を章から話に変更しました。
【ルミナスサイド:緊迫の作戦】
ルミナスは最大宇宙速度でシーウェイ救援に向かっていたが、遠距離ミサイル攻撃が失敗し、敵艦からのミサイルを辛くも撃退したばかりだった。
ディスプレイには、シーウェイが敵の攻撃で速度を落とし、危険な状況が続いている様子が映し出されている。
艦橋に緊張が漂う中、ルミが貴志に一言警告を発した。
「艦長、これ以上接近すると、敵巡洋艦のレーザー砲の射程圏内に入る可能性があるよ」
貴志が眉をひそめ、聞き直した。
「レーザー砲の射程圏内? ルミ、詳しく教えてくれ。どうなるんだ?」
ルミが過去の経験を思い出しながら、冷静に説明した。
「私の経験から言うと、あの敵艦、20cm程度のレーザー砲を搭載してる可能性が高いよ。これ以上近づくと、一方的に撃たれる危険がある。ルミナスは防御シールドがないから、1回くらいの直撃なら耐えられるけど、主機関に被弾して航行不能になると、一方的にやられちゃう。
こっちの12.7cmレーザー砲じゃ射程が足りなくて届かないしね」
貴志が拳を握り、悔しそうに呟いた。
「くそっ…このままシーウェイがやられるのを黙って見てるわけにはいかないよ。ルミ、何か手はないのか?」
ルミが貴志を真っ直ぐ見て、自信を持って提案した。
「艦長、焦らないで。先ほどのミサイル攻撃は、終末誘導をレーダーに任せきりだったから失敗したの。だから、私が直接誘導するよ。これなら敵艦の防御システムを抜けるから、絶対当たる!」
貴志が一瞬考え、優しくも力強い声で決断した。
「分かった、ルミ。それで行こう。アス、キャス、ルミの支援に回ってくれ。ルミ、ミサイル発射準備だ」
ルミが目を輝かせ、力強く応じた。
「艦長、承知しました! 必ず当てるからね!」
ルミがコンソールに手を置き、指示を出した。
「敵艦の座標確認完了。アスさん、キャスさん、支援お願いします!」
アスが冷静にコンソールを操作し、応じた。
「了解しました、ルミ。ミサイルの初期レーダー誘導を私が制御します」
キャスが緊張しながらも気合いを入れて答えた。
「了解、ルミさん! 座標の微調整、私がサポートするよ!」
ルミがミサイルシステムにアクセスし、準備を進めた。
「ミサイルへのコンタクト開始…コンタクト完了。メイン誘導はレーダーで、終末誘導は私が直接制御します。ミサイル発射準備完了。艦長、指示をお願いします!」
貴志がディスプレイを睨み、力強く号令をかけた。
「ルミ、対艦ミサイル全発射管開け、ミサイル4発、発射!」
ルミがスイッチを押すと、ルミナスの対艦ミサイル発射管から4発のミサイルが白い煙を引いて飛び出した。ディスプレイに映るミサイルの軌跡が敵巡洋艦に向かって突進していく。
アスが初期レーダー誘導を調整し、キャスが座標を微修正する中、ルミが終末の直接誘導に全神経を集中させた。
「ミサイル、敵艦に接近中…レーダー誘導を解除し、私が直接誘導するよ。チャフもフレアも抜いてみせる!」
艦橋に緊張感が張り詰め、貴志がディスプレイを見つめながら呟いた。
「頼むぞ、ルミ…シーウェイを救うんだ」
【海賊巡洋艦サイド:油断と自信】
一方、海賊側の巡洋艦の艦橋では、異なる空気が流れていた。
暗い照明の中、親分と呼ばれる海賊の艦長ドルガがシーウェイの状況を眺め、満足げに笑っていた。
「輸送船、もうまもなく落ちるな。たんまり金やレアメタルを積んでればいいねぇ。副官、どうだ?」
メイザーがニヤリと笑い、自信満々に答えた。
「親分、当たり前ですよ。持ってないわけがない。事前に積み荷と航路を調べ上げたんだから、間違いありません。このシーウェイの積荷は、俺たちの獲物です」
ドルガがディスプレイに映るルミナスを見て、嘲るように言った。
「それにしても、あの連合軍の駆逐艦、単艦で突っ込んできたけど、どうってことねえな。先のミサイルも迎撃したし、20cmレーザー主砲の射程に入れば宇宙の藻屑だ。副官、主砲の準備はどうだ?」
メイザーがコンソールを叩き、報告した。
「主砲準備完了です、親分! 20cmレーザー砲、いつでも撃てます。あいつらが近づいてきたら、一撃で仕留めてやりますよ」
ドルガが椅子の背に寄りかかり、余裕たっぷりに笑った。
「そうだな。一撃で沈めてやる。さーて、近づいてこいよ、ちっぽけな駆逐艦。俺たちの獲物を邪魔するなんて、いい度胸だぜ」
海賊の艦橋に笑い声が響き、彼らはルミナスを軽く見て油断していた。ディスプレイには、シーウェイが攻撃を受け続け、煙を上げながら速度を落とす姿が映っている。メイザーがさらに付け加えた。
「親分、あの駆逐艦、ミサイルしか撃ってこねえみたいです。レーザー砲の射程外でウロウロしてるだけ。脅威じゃねえですよ」
ドルガが目を細め、命令した。
「なら、主砲で仕留める準備を進めろ。シーウェイを落とす前にあいつを片付けてやる」
【ルミナスサイド:反撃】
ルミナスの艦橋では、ルミの直接誘導によるミサイルが敵巡洋艦に迫っていた。
ディスプレイに映るミサイルの軌跡が敵艦に近づく中、ルミが叫んだ。
「敵艦、チャフとフレア展開してきた! でも、私の誘導なら抜けるよ…今だ!」
ルミがコンソールを操作し、ミサイルの終末誘導を手動で微調整。敵の防御システムが放つチャフとフレアを巧みに避け、ミサイルが敵巡洋艦の側面に迫った。アスが報告した。
「艦長、ミサイル、敵艦に接触目前です!」
次の瞬間、ディスプレイに爆発の閃光が映り、敵巡洋艦の側面から炎が噴き出した。キャスが歓声を上げた。
「当たった! 貴志さん、ルミさん、やったよ!」
ルミが勝利の笑みを浮かべ、貴志に報告した。
「艦長、直撃だよ! 敵艦のエンジン付近に命中! これで動きが鈍るはず!」
貴志が全員を見渡し、優しくも力強い声で言った。
「よくやった、ルミ、アス、キャス! シーウェイにまだ時間はある。敵が動揺してる今がチャンスだ。全員、次の一手を準備しろ!」
ルミナスのミサイルが敵巡洋艦にダメージを与え、海賊側の油断が崩れ始めた。
シーウェイを救うための戦いは、まだ終わっていなかった。
艦橋には貴志の決断力、アスの冷静さ、キャスの成長、ルミの経験、そしてルナの待機する勢いが響き合い、緊迫した戦闘が続いていた。
ルミの直接誘導によるミサイル攻撃が成功し、海賊側の油断と対比しながら戦闘の緊張感を描きました。
次話では、海賊艦は混乱に拍車がかかり、ルミナスが追い詰めていきます。
ご期待ください。




