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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第49話:ルミナスの再統合と新たな約束

第49話として、ルミナスの再統合がアスの能力強化に繋がりました。また、ルミナス(AI)が実体化AIとして残り、アストラリスに同行することも決まりました。

2人の提案が、ルミナスの希望に繋がっていきます。

※表題を章から話に変更しました。

【ルミナスの再統合】

艦橋に集まった貴志、アス、そしてルミナス(AI)は、再統合の方針を話し合うことにした。アスがコンソールに手を置き、冷静に提案を始めた。


「艦長、ルミナス(AI)の再統合ですが、彼女の知識と経験を私のシステムに統合し、ルミナス(艦)へのリンクを強化する形にします。これで私の制御能力が上がり、戦力が大幅に高まります。ただ、ルミナス(AI)自体は統合せず、実体化AIとして残ります。

艦橋の仲間として、私たちと一緒に戦ってもらいます」


貴志が目を輝かせて頷いた。

「アス、それならルミナス(AI)も一緒に戦えるんだな。いい案だよ。お前が強くなって、ルミナス(AI)も俺たちの仲間になるなんて、最高じゃないか」


アスが微笑み、具体的な利点を補足した。

「ええ、艦長。ルミナス(AI)がいることで、当初2日かかる予定だった訓練が1日で済みます。彼女の経験は素晴らしいですよ。この艦の癖や戦い方を熟知してるから、私がルミナスのシステムにリンクし、安定するのも早いです。そして、私たちがアストラリスに戻った後、この知識と経験を活かせれば、さらに戦力アップに繋がります」


貴志が満足そうに笑った。

「なるほどな。アストラリスに帰っても、ルミナス(AI)の力が活きるのか。俺たちの艦がもっと強くなるってわけだ。ルミナス(AI)、お前のおかげだな」

だが、その言葉を聞いたルミナス(AI)が暗い顔をして呟いた。


【ルミナスとの約束と希望】

「やっぱり…帰っちゃうんだね…」


貴志が驚いて聞き直した。

「ルミナス(AI)、どうしたんだ? 何か気になることでもあんのか?」


ルミナス(AI)が目を伏せ、泣きそうな声で答えた。

「この艦…ルミナス(艦)は、この海賊掃討作戦が終わったら、廃棄されるかもしれないんだ。元々用途がなくなってドックに繋がれてた訳だし、艦齢もそれなりだから…私、今回の作戦で貴方たちと戦えるのは嬉しいけど、この艦自体がなくなっちゃうなんて…」


貴志とアスが同時に声を揃えて叫んだ。

「そんなのおかしい!」


二人の声がハモり、艦橋に響いた。

貴志が憤慨しながら続けた。

「ルミナス(艦)を廃棄するなんてありえないだろ! お前が愛してきた艦だぞ。俺たちだって、こんな短い時間でも分かるよ。この艦、立派に戦えるって!」


アスが冷静に、しかし感情を込めて同意した。

「艦長の言う通りです。ルミナス(艦)はまだ十分戦えます。軍の判断が杜撰すぎます。ルミナス(AI)、貴官がそんな気分でも、私たちは納得しませんよ」


ルミナス(AI)が涙目で二人を見上げた。

「貴方たち…私の艦をそんな風に思ってくれるの?」


その時、アスが突然提案した。

「じゃあ、ルミナス(AI)、一緒にアストラリスに行きましょう」


貴志が目を丸くしてアスに聞き直した。

「アス、そんなことできるのか? 本気かよ?」


アスが自信を持って説明した。

「簡単ではないですが、可能です。私たちがルミナス(艦)を退艦する時、ルミナス(AI)をアストラリスのサブシステムに退避させます。その後、アストラリスで再起動すれば、ルミナス(艦)とのリンクが切れて、正式にアストラリスのサブAIとして制御できます。私と一緒にアストラリスを支えられるんですよ。しかも、ルミナス(艦)とルミナス(AI)のリンクが切れた時点で、ルミナス(艦)を小惑星帯にも隠せば、廃棄された艦として軍には登録されます」


貴志が驚きと喜びで笑った。

「マジかよ、アス! きみは頭いいな! それならルミナス(艦)が廃棄される心配もないし、ルミナス(AI)も俺たちとずっと一緒にいられるじゃないか!」


貴志がルミナス(AI)の方を向き、手を前に差し出して優しく、しかし力強く言った。

「ルミナス、一緒に来ないか? お前がこの艦を愛してたみたいに、俺たちもアストラリスを愛してる。お前なら、アストラリスでも輝けるよ。俺たちと一緒に戦おうぜ」


ルミナス(AI)の顔が一瞬曇り、小さく呟いた。

「寂しいな…一時的でもこの艦と離れるのは...」


だが、次の瞬間、彼女が目を上げ、貴志の手を見つめた。そして、ゆっくりと笑顔が広がり、嬉しそうに言った。

「でも…貴志さんやアスさんと一緒に戦えるなら、私、嬉しいよ。アストラリスでも、私、頑張るから!そして、また、ルミナス(艦)が活躍出来る希望があれば!」


ルミナス(AI)が貴志の手を取り、しっかりと握手を交わした。貴志が笑顔で応じた。

「よし、決まりだな! ルミナス、お前が仲間になってくれるなら、俺たちの未来は明るいぜ。アス、ルミナス(AI)、これからよろしくな!」


アスが微笑みながら締めた。

「艦長、ルミナス(AI)、私も嬉しいです。今夜中に再統合を始めます。ルミナス(AI)の経験を私に統合して、明日の訓練を完璧にしましょう。そして、アストラリスでの新しいスタートを一緒に迎えます」


ルミナス(AI)が目を潤ませ、明るい声で答えた。

「ありがとう、貴志さん、アスさん。私、この艦と別れるのは寂しいけど、貴方たちと一緒なら、新しい家でも幸せになれる気がするよ」


艦橋に温かい空気が流れ、ルミナス(AI)の再統合とアストラリスへの同行が決まった瞬間だった。


彼女の知識と経験がアスに統合され、貴志たちの戦力がさらに強化される一方で、ルミナス(AI)自身も新たな希望を見出し、仲間としての第一歩を踏み出していた。

ルミナス(AI)の再統合がアスの能力強化に繋がり、彼女がアストラリスに同行していく様子を描きました。

次話は、ルミナス(AI)が自分の居場所(部屋掃除?)を確保をしていきます。

ご期待ください。



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