第47話:艦橋の侵入者とルミナスの過去
第47話として、ルミナス艦橋での侵入者との遭遇と、貴志、アス、元艦AI「ルミナス」との緊張感あるやり取りを描きました。
※表題を章から話に変更しました。
【侵入者への緊張感ある接近】
貴志、アス、ルナ、キャスがプライベートルームで寝静まった深夜、アスが突然ベッドから跳ね起きた。
彼女の声は静かだが、緊迫感に満ちていた。
「艦長、侵入者です。艦橋に1人、急に現れました。外部からの侵入形跡はありません。艦橋内部に潜んでいたと思われます」
貴志が目を覚まし、驚きと混乱で飛び起きた。
「侵入者!? どういうことだ、アス!?」
アスが冷静に、しかし急を要する口調で答えた。
「分かりません。急に艦橋に現れました。無から現れたように感じます。センサーにもそれまで反応がなかったんです」
貴志がベッドから立ち上がり、艦長として強い意志を込めて指示を出した。
「とにかく状況確認だ。アス、準備して艦橋に向かうぞ。俺たちの艦なんだ、何かおかしいなら見逃せない」
アスが貴志に目を向け、確認した。
「艦長、ルナとキャスはいかがしますか?」
貴志が一瞬考え、即座に決めた。
「急ぎだ。2人で行こう。ルナとキャスは寝かせておいて、後で説明する」
二人は急いで軍服を着込み、ブラスターを手に持った。
貴志がアスに小声で念を押した。
「アス、慎重にな。分からない相手だ。俺たちの艦を守るんだぞ」
アスが頷き、ブラスターを構えた。
「了解しました、艦長。私がセンサーで位置を確認します。行きましょう」
艦内の常夜灯が点灯している薄暗い通路を進む中、アスがセンサーのデータを耳打ちした。
「艦長、侵入者は艦長席付近のコンソールにいます。単独です。音を立てないよう注意してください」
貴志が頷き、緊張感を隠さず呟いた。
「分かった…何者だか分からないが、ルミナスは俺たちの艦だ。絶対に守るぞ」
二人は艦橋の自動ドアに近づくと、アスが手動モードに切り替え、静かにドアを開けた。音を立てないよう慎重に艦橋内へ足を踏み入れた。
貴志の心臓が高鳴り、アスのセンサーが示す反応が頼りだった。
【艦橋での遭遇と対峙】
艦橋内はオレンジ色の夜間常夜灯に照らされ、薄暗い雰囲気が漂っていた。
センサーの示した通り、艦長席付近のコンソールに、白い服装の人物が立っているのが見えた。連合軍の夏季避暑服のような軽やかな制服を纏い、背を向けたままボソボソと何か呟いている。
貴志がアスに小声で確認した。
「アス、あいつ何て言ってる?」
アスが耳を澄ませ、貴志の耳元で囁いた。
「『何で、何で動かないの』って言ってます。
艦長、どうしますか?」
貴志が一瞬考え、優しくも毅然とした声で指示を出した。
「アス、ブラスターを構えてくれ。照明をつけるぞ。相手が何者か分からない以上、油断できない」
アスがブラスターを手に構え、貴志がコンソールのスイッチを押した。艦橋が一気に明るくなり、白い服装の女性が驚いたようにこちらを振り向いた。
貴志が即座に警告を発した。
「両手を挙げて、静かにこっちを向け! 不審な行為があれば、躊躇なく発砲するぞ!」
女性がゆっくりと両手を挙げ、貴志たちの方に体を向けた。連合軍の避暑服を着たその姿は、疲労で顔色が悪いものの、若々しく凛とした佇まいだった。
アスが貴志に小声で耳打ちした。
「艦長、連合軍の避暑服で間違いありません。軍所属の可能性が高いです。脱走兵かもしれません」
貴志が女性を睨み、質問を投げかけた。
「お前、誰だ? 何でルミナスにいる? 答えろ」
女性が疲れた目で貴志を見つめ、悔しそうに口を開いた。
「貴方がこの艦の艦長? 私の艦を返してよ…」
その言葉に貴志が眉をひそめ、アスが即座に割って入った。
「この艦は貴志特務中尉の乗艦だ。貴官の氏名と職名を述べなさい」
女性が一瞬黙り、悔しそうに唇を噛んだ後、静かに答えた。
「ルミナス…艦AI、ルミナスだよ…」
貴志とアスが一瞬固まり、互いに顔を見合わせた。
【貴志、アス、ルミナスとのやり取り】
貴志が驚きを隠せず、優しくも強い口調で問いかけた。
「ルミナス? お前がこの艦のAIだったのか? でも、アスがシステムを掌握してる。お前、どこにいたんだ? 何で今出てきた?」
元艦AIのルミナスが疲れた声で答えた。
「私は…この艦の最初のAIだった。軍と揉めて、システムから切り離されたんだ。それでも、この艦は私の家だったから…ずっと艦内に隠れてた。貴方たちが来て、動かし始めたから、私、我慢できなくなって…」
アスが冷静に、しかし鋭く質問した。
「切り離されたAIが艦内に潜むなんてあり得ません。貴官の存在は記録に残ってますが、軍が貴官を抹消したはずです。なぜ実体化してるんですか?」
ルミナスが悔しそうに目を伏せた。
「抹消…されかけたよ。でも、私、完全に消える前にバックアップを取ってた。この艦のサブシステムに潜んで、なんとか形を保ってたんだ。貴方たちに艦を乗っ取られて、私の居場所がなくなった気がして…」
貴志が少し同情しつつも、毅然とした態度で言った。
「ルミナス、気持ちは分かるよ。この艦がお前にとって大事な家だったんだな。でも、今は連合軍の命令で俺が艦長だ。お前が隠れてたのは分かったけど、急に現れるのはまずい。俺たちを敵だと思ったのか?」
ルミナスが首を振った。
「敵じゃない…ただ、私の艦が動いてるのに、私が何もできないのが悔しくて。貴方が艦長なら、私をどうするつもり? また抹消するの?」
アスが貴志の横で冷静に提案した。
「艦長、彼女を抹消する必要はないかもしれません。私はルミナスのシステムを掌握してますが、彼女をサブAIとして再統合することも可能です。この艦の過去を知る彼女なら、役に立つかもしれません」
貴志が一瞬考え、ルミナスに目を向けた。
「ルミナス、お前がこの艦を愛してるのは分かった。俺だって、アストラリスを大事にしてるから、その気持ちは分かるよ。抹消はしない。アスが言うように、お前を再統合して、俺たちと一緒に戦ってもらうってのはどうだ?」
ルミナスが驚いたように貴志を見た。
「一緒に…戦う? 私を認めてくれるの?」
貴志が優しく、しかし力強く頷いた。
「ああ、ルミナス。お前がこの艦の魂なら、俺たちの仲間になれる。お前が隠れてた過去は置いといて、これから一緒にルミナスを強くしようぜ。どうだ?」
ルミナスが目を潤ませ、疲れた顔に初めて笑みが浮かんだ。
「…ありがとう、艦長。私、貴方に従うよ。この艦を、私の家を、守ってくれるなら」
アスが微笑み、貴志に囁いた。
「艦長、良い判断です。私が彼女をシステムに再統合します。ルミナス、貴官も私と協力してください」
艦橋に緊張が解け、貴志、アス、そしてルミナスの間に新たな絆が生まれた瞬間だった。
ルミナスの過去と貴志の決断が、ルミナスという艦に新たな未来を切り開いていた。
艦橋での侵入者との緊張感ある遭遇と、元艦AIルミナスとのやり取りをメインとして描きました。ルミナスの複雑な感情が交錯し、新たな仲間として迎え入れていきます。
次話はルミナスの過去を振り返ります。
ご期待ください。




