表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
模型から始まる転移  作者: 昆布


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/347

第34話:混沌の戦場

第34話として、アストラリスが護衛任務で初戦闘を続ける中、キャスの緊張と成長、そして戦場の混沌が描いています。貴志の冷静な指揮とチームの連携が試される展開を、戦闘の臨場感と共に描写しています。

※表題を章から話に変更しました。

アストラリスは新たな仲間キャスを加え、高級クルーズ船の護衛任務で初戦闘に突入していた。

護衛陣形は指揮艦の重巡洋艦が先頭、駆逐艦2隻が左右、アストラリスが最後尾を守る形で進んでいたが、海賊の襲撃により戦場は一気に混乱に包まれた。キャスは緊張の中、貴志やアス、ルナと共に実戦を学び始めていた。


艦橋の有視界モニターに映る戦場は、まるで花火のような光景だった。重巡洋艦からのレーザー攻撃が宙を切り裂き、駆逐艦のミサイルが敵艦に着弾と共に爆発の花を咲かせ、一つ一つの閃光が煌びやかに輝いていた。だが、貴志はその美しさに目を奪われることなく、現実を見つめた。

爆発の先には、敵艦が被弾し、腕や足を失った乗員が漂い、ミサイルの熱線に焼かれた者が命を落としている。この華やかな光景は、本物の戦場そのものだった。貴志は襟を正し、隣に目をやった。


キャスは気丈に振る舞い、コンソールを操作していたが、よく見ると彼女の手が震えているのが分かった。初めての戦闘に緊張と恐怖が隠しきれていない。貴志は優しく、しかし力強く声をかけた。


「キャス、大丈夫だ。アストラリスは強い艦だよ。アスやルナをよく見てみろ。あんな複数のミサイルを迎撃して、レーザー攻撃を避けてる。俺たちも頑張らないとな」


アスは艦巧みに操り、取舵、面舵の転舵と共にチャフ、フレアを展開しミサイルやレーザー攻撃から回避を行い。ルナは、ドローン隊を駆使し、ミサイルの迎撃、敵艦にパルスレーザーを射撃するなど行い、敵艦を翻弄しているようだった。

艦内の機械合成音声は、BGMのようにミサイルの接近、敵艦との相対距離などを淡々と通告していた。


キャスは貴志の方を見て、震える手で握り返しながら頷いた。

「うん…貴志さん、ありがとう。私、頑張るよ。アスさん、ルナちゃんみたいに強くなりたい」


アスが冷静に状況を報告しながら応じた。

「キャス、貴志さんの言う通りです。私とルナがサポートします。レーザー砲を準備して、私の指示で撃ってください」


ルナが元気よく叫んだ。

「キャスお姉ちゃん、あたしのドローン隊が敵をやっつけるよ! 一緒に戦おうね!」

キャスの表情に少しだけ笑みが戻り、コンソールを握る手に力がこもった。


しかし、戦場はさらに混沌としていった。海賊の高速ミサイル艦2隻と大型支援艦だと思っていた艦が、アストラリスの予想を裏切る動きを見せた。


それは突然のことだった。

艦橋のディスプレイを確認していたアスが、大型支援艦から、小さな光点が分離していくのにはっと気づき、焦った様子で警告を発した。

「艦長、あの大型支援艦、違います! 艦載機が発進しました。あれは空母です! 戦力バランスが崩れます!」


スクリーンに映ったのは、小型攻撃機が次々と飛び立つ姿だった。大型支援艦ではなく、空母としての機能を隠していたのだ。貴志が歯を食いしばった。

「空母だと!? くそっ、想定外だ!」


真っ先に先頭の重巡洋艦が攻撃を受けた。敵艦載機が至近距離からミサイルを撃ち込み、重巡洋艦のエネルギーシールドが一瞬で崩壊。爆発が艦体を包み、航行不能に陥った。

艦隊指揮艦である特務大尉のベテラン艦長が率いる艦が、戦闘開始早々に機能を失うことで、艦隊指揮命令系統が消失、護衛艦隊が一気に浮足立った。


駆逐艦2隻は慌てて散開し、クルーズ船を守る陣形が崩れかけた。アストラリスは、14cmレーザー砲と近接防御火器を対空射撃に切り替え、ルナのドローン隊で艦載機を撃退しようとしたが、数が多い上に動きが素早く、対応が困難だった。アスが報告した。


「艦長、艦載機は10機以上確認。エネルギーシールドへの負荷が増加中です。このままではクルーズ船が危険です!」


貴志は瞬時に判断を下し、緊急回線で各駆逐艦に連絡した。

「こちらはアストラリスの艦長、貴志特務少尉である! 緊急事態につき、本官が臨時に指揮を執る。駆逐艦各位、クルーズ船を中心に輪形陣を組め! 対空射撃の効果を上げるんだ。バラバラじゃ持ちこたえられないぞ!」

駆逐艦の1隻が応答した。


「了解、アストラリス。輪形陣に移行する。援護頼む!」

アストラリスを先頭に駆逐艦2隻は左右に別れ、クルーズ船を中央に置いて、円形に陣形を組み直した。


貴志がキャスに指示を出した。

「キャス、レーザー砲で艦載機を狙え! アスが座標を出すから、撃つだけに集中しろ!」


キャスが震えを抑え、コンソールを操作した。

「うん、貴志さん! アスさん、座標お願い!」


アスが冷静に座標を読み上げた。

「目標、X-23、Y-15。射撃管制レーダーで敵艦載機捕捉完了。レーザー砲、発射準備完了。キャス、今です!」

キャスがトリガーを引き、レーザーが艦載機1機を貫いた。爆発が宙に広がり、キャスが驚きの声を上げた。


「やった! 当たったよ、貴志さん!」

「ナイスだ、キャス! その調子だ。ルナ、ドローン隊で残りを牽制しろ!」

「うん、お兄ちゃん! ドローンちゃんたち、行けー!」


ルナのドローン隊が艦載機に突進し、パルスレーザーの射撃で2機を撃墜。輪形陣による対空射撃が効果を発揮し始め、艦載機の数が減っていった。しかし、空母艦載機からの攻撃は止まず、高速ミサイル艦も距離を詰めてきた。戦場はまだ混沌とし、アストラリスと護衛艦隊はクルーズ船を守るため、全力を尽くしていた。


貴志がコンソールを握り締め、呟いた。

「まだ終わらない…キャス、アス、ルナ、気を抜くな。護衛任務、絶対に成功させるぞ!」

キャスの初戦闘は、予想を超える厳しさの中で続いていた。戦場の現実とチームの絆が、彼女を艦長へと成長させていく試練となっていった。

アストラリスが護衛任務で空母を含む海賊と戦い、キャスが初戦闘で成長の兆しを見せる場面を描きました。戦場の混沌と貴志の指揮が緊張感を高めています。

次話では、さらなる戦闘激化で、貴志は重大な判断に迫られていきます。

ご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ