第32話:護衛任務への準備と信念
初めに、いつもお読みいただき、真にありがとうございます。初投稿から早一ヶ月、月日が経つのもあっという間でした。今後も新たな展開、新たな仲間を迎え、進めて行きます。
ご愛読の程、何卒よろしくお願いいたします。
第32話として、キャスが傭兵試験に合格し、新たな護衛任務に向けた準備を進める中で、クルーズ船の乗客に対する感情と信念の葛藤が描かれます。貴志の言葉がキャスを導き、チームとしての目標が明確になる展開を描写しました。
※表題を章から話に変更しました。
キャスが傭兵試験に合格した喜びも束の間、アストラリスは新たな任務「商業惑星間高級クルーズ船の護衛任務」に向けて準備を始めた。
艦橋で貴志、アス、ルナと共に任務の詳細を確認する中、キャスがふと好奇心を口にした。
「高級クルーズ船かぁ…どんな人たちが乗ってるんだろうね? なんか気になるよ」
その言葉に、アスの表情が一瞬曇った。彼女はコンソールのデータを眺めつつ、静かに答えた。
「キャス、高級クルーズ船に乗るのは、惑星で成功した商人や企業家、軍の高級士官たちです。でも…大きな声では言えませんが、禁止薬物や保護動物等の密輸で儲けた者や、軍や惑星開発局の仕事を請け負い、過大予算で申請し、差額を裏金として受け取っているような人たち。また、裏の社会と関わり合いがあるような、あまり良い人たちばかりじゃないんです」
キャスは目を丸くし、次の瞬間、憤りを隠せない声で叫んだ。
「何!? そんな奴らが豪華な船に乗ってるの!? だったら略奪してやってもいいじゃない! あいつら、許せないよ!」
その感情的な発言に、貴志が冷静に割って入った。
「キャス、待て。それって海賊行為だよ。お前がレミアから学んだこと、そしてお前が無くそうとしてきたことだろ? ちょっとした感情で自分の信念を曲げちゃ駄目だ」
キャスが言葉に詰まり、貴志はさらに続けた。
「あいつらは確かに悪人かもしれない。でも、正当な法で裁いて、罰を与えるのが正しいやり方だ。それが孤児たちを減らし、平和な世界を作る方法だよ。現在のこの宙域は、力には力で返す世界だ。力を溜めるには俺たち傭兵は稼がなきゃならない。アス、ルナ、キャス、お前たちと一緒に稼いだ金で力を溜め、少しずつ変えていくんだ。アイツらにかなり不満はあるが、俺たちは俺たちの力を、正しい方向へ使って行こうぜ!」
貴志の言葉に、キャスはハッとして目を伏せた。レミアが孤児たちのために海賊行為を選んだ理由と、自分がそれを終わらせようとした決意が頭をよぎった。
「…うん、貴志さん、ごめん。私、感情に流されちゃった。海賊じゃなくて、傭兵として正しい道を進むよ。孤児たちのために、ちゃんと変えていくんだ」
アスが穏やかに微笑み、フォローした。
「キャス、その気持ちが大切です。私たちにはアストラリスがあります。護衛任務で稼いだ報酬を、貴志さんの言う通り正しい方向に使えば、きっと変わりますよ」
ルナが元気よく手を挙げた。
「お兄ちゃん、キャスお姉ちゃん、あたしも頑張るよ! ドローン隊で悪い奴らから船を守るんだから!」
キャスがルナに笑顔を返し、決意を新たにした。
「ありがとう、ルナちゃん。私、護衛任務を通して、みんなと一緒に頑張るよ。貴志さんの言う通り、稼いで変えていくんだ」
貴志はアス、キャス、ルナの気持ちがまとまったところで、任務の詳細を確認し、準備を進めた。
今回護衛するクルーズ船は、商業惑星「リガル・プリマ」から「オルテガ・フロンティア」への航路を予定しており、海賊の襲撃リスクが高い宙域を通過する。
アストラリスの14cmレーザー砲とルナのドローン隊をフル活用し、キャスには操艦と索敵の補助を任せることにした。
「キャス、今回はお前もオペレーターとして動くぞ。俺とアスが指示を出すから、実戦で学べよ。護衛任務は海賊との戦闘もあり得る。冷静に判断しろ」
「うん、貴志さん。試験の時みたいに焦らないようにするよ。アスさん、ルナちゃん、よろしくね」
アスがコンソールを操作しながら応じた。
「了解しました、キャス。私が航路と敵の動きを監視します。ルナのドローン隊と連携して、万全の態勢で臨みますよ」
アストラリスは基地を出港し、クルーズ船との合流地点へと向かった。キャスは艦橋で貴志の隣に立ち、新たな任務に臨む緊張と期待を感じていた。護衛任務は単なる仕事ではなく、彼女の信念を試し、孤児たちの未来を変える第一歩となるかもしれない。貴志、アス、ルナと共に、キャスは傭兵としての道を歩み始めた。
キャスが護衛任務の準備を通じて自身の感情と信念に向き合い、貴志の指導で正しい道を見出す場面を描きました。
次話では、キャスの初実戦を描いていきます。
ご期待ください。




