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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第30話:傭兵試験の試練

第30話として、傭兵試験でのキャスの挑戦と失敗、そして再教育への決意を描き、彼女の未熟さと成長への過程を描写しました。

※表題を章から話に変更しました。

リガル宙域の基地にある傭兵試験会場は、多様な人々で賑わっていた。屈強な男性、冷静な女性、若者から中年まで、経歴も退役軍人、戦闘経験者から新参者まで様々だ。彼らは連合軍の傭兵として適性があるかを試され、合格すれば正式な傭兵として登録される。キャスもその一人として、貴志とアスに見守られながら試験会場に足を踏み入れた。


試験の順番を待つ間、キャスは緊張で手を握り締めていた。貴志が肩を叩いて励ました。

「キャス、落ち着け。お前ならできるよ。アスがシミュレーションで教えてくれたことを思い出せ」

「うん、貴志さん…頑張るよ。私、艦長になるんだから」

アスが穏やかに補足した。

「キャス、私が補助に入ります。試験はシミュレーションですが、実戦に近い環境です。焦らずに、私の指示を聞いてくださいね」

やがて、キャスの名前が呼ばれ、彼女はシミュレーションルームへと入った。


試験は一見簡単そうに見えた。与えられた艦を操作し、敵艦を殲滅するというものだ。しかし、実際は艦の性能を理解し、操船、ウェポンシステムの操作、敵の攻撃からの回避、エネルギーシールドの展開、チャフやフレアといったデコイの使用まで求められる複雑な内容だった。経験豊富な退役軍人や戦闘経験者なら対応できるかもしれないが、実戦経験の無いキャスには難易度が高い試練だった。

シミュレーションが始まると、キャスは与えられた軽巡洋艦のコンソールを操作した。アスの声がヘッドセットから聞こえた。


「キャス、敵艦が前方3光秒に2隻。ミサイル艦と支援艦です。まずはレーザー砲でミサイル艦を狙ってください」

「うん、分かった!」

キャスはレーザー砲を起動し、ミサイル艦に照準を合わせた。レーザー砲の一斉射撃を行い、青白い光線が敵艦を命中した。キャスは喜んでいたが、命中時の角度が浅く、装甲に軽い損傷を与えた程度に留まった。しかし、敵艦が反撃に出ると、キャスは焦り始めた。


「キャス、ミサイルが接近中! 取舵で左舷に回頭しながらチャフ、フレアの発射、エネルギーシールドを展開してください!」

アスの指示に従い、キャスは取舵を取って艦を回頭させたが、回頭時に行うチャフ、フレアの展開が間に合わず、ミサイルが艦体に命中。エネルギーシールドで何とか耐えられたが、シミュレーション内の艦耐久力が大きく削られた。


そこに、敵の支援艦がレーザー砲でキャスに対し威嚇射撃を実施し、キャスは反撃しようと支援艦の逃走する方向に誘われてしまい、その動きに乗ってしまった。

「敵がこっちだ! 追うよ!」

「待って、キャス! それは罠です。敵艦から距離を取ってー!」

アスの警告が届く前に、キャスは支援艦に接近。レーザー砲で攻撃しようとした時、近くの衛星の影に隠れていたミサイル艦が現れ、ミサイルの発射を許してしまった。


艦内に流れるミサイルロックオン警報にびっくりしたキャスは、一瞬動きが止まり「あっ、ヤバ!」のひとことを発した以上のことは、何も出来なかった。


キャスの判断能力では、緊急回頭もエネルギーシールドの展開も間に合わず、敵艦からのミサイルの直撃を受けてしまい、キャスの操作するシミュレーション内の艦が大破してしまった。

画面が暗転し、「試験終了」の文字が表示された。結果は合格点に達せず、不合格だった。


キャスはシミュレーションルームから出て、肩を落とした。貴志が近づき、優しく声をかけた。

「キャス、落ち込むな。初めてじゃ難しいさ。俺も最初は苦労したよ」

アスが分析を加えた。

「キャスの失敗は、1点に集中しすぎて周囲が見えなかったことが原因です。敵の誘いに乗ってしまい、感情が高ぶって冷静さを失いました。私の補助があったとはいえ、最終判断はキャス自身が行うので、この経験は良い勉強になりますよ」

キャスは悔しさを噛み締めつつ、頷いた。


「うん…私、判断ミスで艦を沈めたんだね。自分が致命傷になるって、よく分かった。でも、傭兵にならないと先が見えないから…もう一度挑戦したい。アスさん、再教育お願いできる?」

アスが微笑んで応じた。

「もちろんです、キャス。私がシミュレーションを調整して、周囲を見渡す力と冷静な判断を鍛えます。艦長もサポートしてくれますよ」

貴志がキャスの肩を叩いた。

「当たり前だ。キャス、お前なら絶対に受かる。俺とアス、ルナで徹底的に鍛えてやるから、次は合格だぞ」

キャスは二人に励まされ、再び決意を固めた。

「ありがとう、貴志さん、アスさん。私、絶対に艦長になるよ。もう失敗しない!」


アストラリスに戻ったキャスは、アスと共に再教育プログラムに取り組み始めた。シミュレーションでの失敗を糧に、彼女は周囲を広く見る視点と冷静さを身につける訓練に励んだ。貴志はそんなキャスを見守りつつ、護衛任務に向けて準備を進めていた。傭兵試験の再挑戦が、キャスの成長の鍵となる瞬間だった。

キャスが傭兵試験で失敗するも、その原因を理解し再教育に挑む姿を描きました。貴志とアスのサポートが彼女を支え、次話でキャスは再試験に望んでいきます。

次話もご期待ください


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