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第3話:同行者と驚きの出会い

第3話は、貴志の不安とアストラリスの意外な提案、そしてその展開をユーモアと驚きを交え、アストラリスとの関係がさらに深まりつつ、異世界での冒険に新たな要素が加わるきっかけを作っていきます。

読み辛い箇所があったので、一部修正しました。

また、表題を章から話に変更しました。

アストラリスが第3ドックに無事入港すると、艦橋のスクリーンにドックの様子が映し出された。金属製の巨大なアームが艦体を固定し、エネルギー補給用のパイプが接続されていく。貴志は艦長席からその光景を眺めていたが、心の中は落ち着かなかった。


「カルナック交易区か…見た目は賑やかだけど、何が起こるか分からないな」


彼の呟きに、アストラリスが応じた。

「艦長、心拍数が通常より上昇しています。不安を感じておられるようですね。補給作業は私が管理しますので、交易区で情報収集を行うのはいかがでしょう?」

「情報収集か。確かにこの世界のことを知りたいけど…俺、一人でこんな場所に行って大丈夫かな?」


貴志の声には明らかな躊躇いが滲んでいた。地球での生活では、上司の指示に従うかデスクワークに没頭するばかりで、未知の場所を探索するなんて経験は皆無だった。ましてや、ここは異世界だ。

すると、アストラリスが少し提案するような口調で言った。

「艦長、それならば…これから私も一緒に同行したいのですが、許可をいただけますか?」

「え? 一緒にって、どういう意味だ? お前は艦のAIだろ?」


貴志は首を傾げたが、特に深く考えることもなく、気軽に答えた。

「まあ、いいよ。許可する。どうやって来るのか知らないけどさ」

「ありがとうございます、艦長。それでは、少し準備が必要です。まず、艦長の女性の好みを教えていただけますか?」


「…は?」


貴志は目を丸くした。アストラリスの質問があまりにも唐突で、頭が追いつかなかった。

「いや、待て待て。女性の好み? 何でそんな話になるんだ?」

「具体的な好みをお伺いすることで、より適切な同行形態を構築できます。お答えいただければ幸いです」


アストラリスの声は至って真剣だった。貴志は混乱しつつも、冗談半分で答えてみることにした。

「えっと…じゃあ、身長は高めで、スタイルが良くて、性格は穏やか。でも異常があれば速やかに動ける女性がいいかな。あ、あと…ハイヒールを履いててくれたらもっと嬉しいかも。こんな感じでいいか?」

「了解しました。少しお待ちください」


アストラリスがそう言うと、艦橋に静寂が戻った。貴志はコンソールを眺めながら首を振った。

「何だよこれ…AIに好みを聞かれるって、意味分かんねえな」


補給作業の進捗を示すモニターをぼんやり見ていると、背後でかすかな足音が聞こえた。カツン、カツン、ヒールの響きだ。

貴志は反射的に振り返った。そして、そこに立っていた人物を見て、思わず椅子から転げ落ちそうになった。


「うわっ!?」


目の前に現れたのは、まさに彼が口にした通りの女性だった。身長は170センチほどで、すらりとした体型に灰色の軍服がよく似合っている。

髪は肩まで伸びた黒髪で、穏やかな微笑みを浮かべた顔立ちはどこか安心感を与えた。そして足元には、確かに黒いハイヒールが光っている。

彼女は軽く会釈しながら言った。


「初めまして、艦長。私はアストラリス、実体化アバター形態です。これから同行させていただきます。どうぞよろしくお願いします」


貴志は口をぽかんと開けたまま、しばらく言葉を失っていた。目の前の女性、アストラリスは、まるで人間そのものだった。声も艦のスピーカーから聞こえていたものと同じだ。

「お、お前がアストラリス!? どうなってんだこれ!?」

「艦長のご要望に基づき、私のAIコアからホログラムと物質化技術を応用してこの姿を生成しました。交易区での移動や交渉を円滑にするためです。この形態なら、艦長のサポートもより直接的に行えます」


アストラリスは穏やかに説明したが、貴志はまだ状況を飲み込めていなかった。

「ホログラム? 物質化? いや、そんな技術あるなら最初に言えよ! びっくりするだろ!」

「驚かせてしまったなら申し訳ありません。でも、艦長の好みに合わせたことで、少しでも安心していただければと」


彼女はそう言って微笑んだ。その表情があまりにも自然で、貴志は思わず頬を赤らめた。

「ま、まあ…確かに悪くないけどさ。うん、悪くない。で、これからどうするんだ?」

「補給はあと30分で完了します。それまでに交易区の中央市場へ向かい、情報収集を始めましょう。この宙域の勢力図やエネルギー資源の取引状況を知る必要があります。艦長、私が案内しますのでご安心ください」


アストラリスはそう言って、艦橋の出口へ向かうよう促した。貴志は立ち上がり、彼女の背中を見ながら呟いた。

「異世界転移した上に、こんな美人なAIが隣にいるなんて…夢みたいだな」

「夢ではありませんよ、艦長。これは現実です。そして、これからもっと面白いことが待っています」


アストラリスが振り返って軽くウィンクすると、貴志はさらに動揺した。だが同時に、この未知の世界での旅が少し楽しみになってきたのも事実だった。


第3ドックから交易区へ続く通路を、アストラリスと共に歩き出す。貴志の心には、不安と期待が混ざり合った新たな感覚が生まれていた。

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今更かもなんだけど1話2話じゃなく章なのめちゃくちゃ違和感ある、なぜ章を...
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