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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第18話:ルナの初陣と海賊討伐

第18話として、ドローンAI「ルナ」の教育と、新たな任務としてネームド海賊討伐に挑む、貴志とアストラリスの活躍を描いています。貴志とアスの作戦の工夫、ルナの初実戦を通じて、各自の成長や戦闘の緊張感を描写しています。

※表題を章から話に変更しました。

アストラリスが新たな任務に向けて準備を進める中、貴志は艦内でルナの教育に励んでいた。幼い女の子の姿をしたドローンAI「ルナ」は、アスから戦闘プログラムの基礎を学びつつ、貴志との生活で少しずつ自我を育んでいた。ある日、艦橋でルナがドローンを操る練習をしていると、貴志が声をかけた。

「ルナ、ドローンの動き、だいぶ良くなったな。そろそろ実戦で試してみたいけど、どう思う?」

ルナは目を輝かせ、元気よく答えた。

「お兄ちゃん、あたし頑張るよ! アスお姉ちゃんに教えてもらったから、ドローンで敵をやっつけられるよ!」

アスが微笑みながら補足した。

「艦長、ルナの学習進度は順調です。5機のドローンを統括する能力も安定してきました。実戦経験を積ませれば、さらに成長しますよ」

貴志は頷き、次の任務でルナを試す決意を固めた。そのタイミングで、リガル宙域の基地から新たな依頼が届いた。アスが内容を読み上げた。

「周辺宙域を荒らし回るネームド海賊『ブラック・ファントム』の討伐任務です。報酬は現金20万クレジットとエネルギー資源10単位。連合軍からの要請です」

「ブラック・ファントム? 聞いたことないな。どんな奴なんだ?」

「神出鬼没の海賊で、高速艦を率いて輸送船を襲い、救難信号を受けて駆けつけても既に逃げた後という手練れです。尻尾を掴むのが難しい相手ですね」

貴志は少し考え込んだ。普通に追跡しても逃げられるなら、こちらから罠を仕掛ける必要がある。

「アス、囮作戦はどうだ? 輸送艦を1隻借りて、単艦で航行してるように見せかける。アストラリスが隠れてて、襲ってきたところを急襲して殲滅する」

「賢い作戦です、艦長。連合軍に輸送艦の貸し出しを依頼し、私が偽装航路を調整します。ルナのドローンも活用できますね」

「うん、ルナの初陣にもちょうどいい。準備しよう」

アストラリスは連合軍から小型輸送艦を借り受け、囮作戦の準備を整えた。


作戦当日、輸送艦は単独でリガル-オルテガ航路を進み、アストラリスは近くの小惑星帯に潜んで待機した。貴志は艦橋でスクリーンを見守り、アスが索敵を、ルナがドローンの準備を担当した。だが、数時間が経過しても「ブラック・ファントム」の影は現れなかった。貴志が苛立ちを隠せない中、アスが報告した。

「艦長、輸送艦に反応なしです。海賊側に作戦がバレている可能性があります」

「バレてる? どうしてだよ…情報が漏れたのか?」

その疑問に答えるように、突然警報が鳴り響いた。アスが急いで確認した。

「海賊艦3隻が接近中! ブラック・ファントムではないようです。小規模な別グループかと」

スクリーンに映ったのは、高速ミサイル艦2隻と支援艦1隻の編成だった。貴志は少し肩を落とした。

「大物じゃないのか…でも、アストラリスの戦力じゃ過剰なくらいだな。ルナ、ここはお前の出番だ。ドローンで片付けよう」

ルナが跳ねるように立ち上がり、元気よく叫んだ。

「やっとあたしの番だね! お兄ちゃん、見ててね!」

アスがルナをサポートしながら指示を出した。

「ルナ、ドローン5機を展開。ミサイル艦を優先して攻撃してね。私が動きを調整します」

「うん、アスお姉ちゃん! 行くよー!」

ルナが小さな手を振ると、格納庫から5機のAIドローンが飛び立った。スクリーンに映るドローンは、最初こそぎこちなかったが、ルナの命令に従い、編隊を組んで海賊艦に接近した。貴志がコンソール越しに声をかけた。

「ルナ、ミサイル艦に近づいて、レーザー砲で攻撃して!」

「うん! ドローンちゃんたち、撃ってー!」

ドローンの小型レーザー砲が一斉に発射され、ミサイル艦1隻の装甲を貫いた。爆発が起こり、敵艦が沈黙すると、ルナが歓声を上げた。

「やった! お兄ちゃん、倒したよ!」

「ナイスだ、ルナ! もう1隻も頼むぞ!」

2隻目のミサイル艦もドローンの集中攻撃で撃沈され、支援艦は逃げようとしたが、ルナが追撃を指示。ドローンが支援艦を包囲し、レーザー砲で仕留めた。戦闘は僅か5分で終わり、アストラリスに損傷はなかった。

貴志はルナの頭を撫で、アスと笑顔を交わした。

「ルナ、初陣で全滅させるとかすごいな! アス、教育の成果だよ」

「ありがとうございます、艦長。ルナの成長は目覚ましいです。これでドローンの戦闘経験も積めましたね」

ルナが得意げに胸を張った。

「あたし、強くなったよ! お兄ちゃんとアスお姉ちゃんのおかげだね!」

だが、貴志の心には「ブラック・ファントム」を仕留められなかった悔しさが残った。

「小海賊は倒したけど、本命が来なかったな。アス、次はどうする?」

「囮作戦がバレているなら、別の方法を考えましょう。周辺宙域の情報収集を強化し、海賊の動きを予測するのも一案です。ルナのドローンも索敵に使えますよ」

「そうだな。ルナが育ったし、次は本物の大物を仕留めよう」

アストラリスは小海賊を撃滅した戦果を連合軍に報告しつつ、「ブラック・ファントム」討伐の新たな策を練り始めた。ルナの初陣は成功に終わり、貴志とアスの信頼に新たな力が加わった瞬間だった。

ルナの教育が実を結び、小海賊との戦闘で初勝利を収める一方、「ブラック・ファントム」討伐への挑戦が続く展開を描いています。次話は「ブラック・ファントム」討伐に向けた情報収集、海賊討伐の続きを描いて行きます。

ご期待ください。

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