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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第14話:混乱の連鎖と離脱

第14話として、帝国軍の混乱がさらに深まる様子と、アストラリスの果敢な攻撃による戦果、そして新たな帝国軍本隊の接近という危機の中での離脱と連合軍との合流を描きました。緊迫感と戦略的な判断を強調して描いています。

※表題を章から話に変更しました。

帝国軍艦隊の艦橋では、混乱が収まるどころかさらに悪化していた。重巡洋艦『クラウゼヴィッツ』の大破により、陣形が崩れたままの艦隊に、ヴィクター少将の怒鳴り声が響き渡っていた。

「何!? 一隻やられただけでこの体たらくか! 全艦攻撃態勢を取れ、小惑星帯を叩き潰せ!」

副官のレナード大尉が冷静に進言した。

「少将閣下、損傷した『クラウゼヴィッツ』をこのまま放置すれば、他の艦の動きを妨げます。護衛艦と牽引艦を付けて退避させ、残りの艦で隊列を整えるべきかと」

だが、ヴィクターは顔を真っ赤にしてレナードを睨みつけた。

「退避だと? 敵に背を見せるつもりか! この私が負けるはずがない! 戦闘を継続しろ、全艦前進だ!」

その命令に、士官たちは渋々従った。しかし、損傷した重巡洋艦が漂流する中、他の艦がその周囲を避けようとして動きがさらに乱れた。ヴィクターの叱咤が飛び続ける。

「何をしている! もっと早く動け! 無能どもめ!」

その焦りが裏目に出た。隊列を整えようと急いだ駆逐艦が、重巡洋艦の残骸に接触。衝撃で両艦がさらに損傷し、艦隊全体が混乱の連鎖に陥った。オペレーターの悲鳴が艦橋に響く。

「駆逐艦『シュテルン』、衝突事故! 航行不能です!」

ヴィクターは言葉を失い、ただ呆然とスクリーンを見つめた。帝国軍の誇る艦隊が、敵の攻撃以上に自滅に近い状態に追い込まれていた。


一方、小惑星帯の放棄基地に潜むアストラリスでは、貴志とアスがこの混乱を好機と捉えていた。スクリーンに映る帝国軍の動きを観察しながら、貴志が興奮気味に言った。

「アス、見てみろ! 敵が勝手にぶつかり合ってるぞ。このチャンス、逃すわけにはいかないな!」

「はい、艦長。敵の隊列が崩れています。艦対艦ミサイル(トレハ)でさらに打撃を与えましょう。敵戦艦を狙います」

アスがミサイル発射管を準備し、コンソールで照準を調整した。

「敵戦艦、1番艦の座標確認完了。ミサイル発射準備を開始します!」アスは続いて、「トレハへのコンタクト開始…コンタクト完了。トレハの誘導はレーダーで行います。艦長、指示をお願いします!」

貴志がディスプレイを睨み、力強く号令をかけた。

「アス、ミサイル発射!」

「発射します!」

轟音と共に放たれたトレハが、帝国軍の戦艦『ヴァルキュリア』の艦首に直撃。強力な爆発が艦体を貫き、戦艦は瞬時に沈黙した。貴志が拳を握り、アスに笑いかけた。

「撃沈だ! アス、やったぞ!」

「まだ終わりません。次のミサイル、戦艦、2番艦に照準完了。発射します!」

2発目のミサイルが別の戦艦『ティターン』の側面に命中。装甲が吹き飛び、大破した艦が漂流を始めた。貴志は息を荒げながら戦果に驚いた。

「戦艦1隻撃沈、もう1隻大破…アス、俺たちすげえな!」

「艦長の決断と私の計算が合わさった結果です。敵の混乱に乗じた攻撃が功を奏しました」

だが、その喜びも束の間、索敵レーダーが再び警報を鳴らした。アスが急いでデータを確認し、緊迫した声で報告した。

「艦長、新たな敵影! 30隻以上の大型艦艇が接近中…帝国軍の本隊です! 距離1光分、こちらに向かっています!」

貴志の顔が一瞬で青ざめた。

「30隻以上!? マジかよ…連合軍はまだなのか!?」

「本隊に再度連絡済みですが、到着まであと15分は必要です。このままでは挟み撃ちにされます!」

貴志は瞬時に判断を下した。

「アス、放棄基地から離脱だ! 混乱に乗じて逃げて、連合軍本隊に合流するしかない!」

「了解しました。エンジン全開、小惑星帯を抜けて退避します。敵の追跡を振り切るため、ミサイルの残りを囮に使います!」

アストラリスはエンジンを唸らせ、小惑星帯の影から飛び出した。アスが残りの艦対戦ミサイルを後方に発射し、追ってくる帝国軍の目をくらませた。爆発が背後で響き、貴志はスクリーンを見つめながら祈るように呟いた。

「頼む、間に合ってくれ…」

帝国軍の追跡が一瞬遅れた隙に、アストラリスは全力で航行を続けた。そして、遠くに連合軍本隊の艦影が見えた瞬間、アスが安堵の声を上げた。

「艦長、連合軍本隊に到達しました! 合流成功です!」

通信が繋がり、連合軍司令部からの声が届いた。

「こちら第一艦隊、第1分艦隊の副官ロジェ大尉である。アストラリス、よくやった。帝国軍に打撃を与えつつ帰還とは見事だ。詳細を報告しろ」

貴志は汗を拭い、アスと顔を見合わせた。

「アス、生き抜けた…お前のおかげだよ」

「艦長の勇気があったからです。私たちなら、どんな戦場も乗り越えられます」

アストラリスは連合軍艦隊の保護下に入り、帝国軍との戦闘から一時的に解放された。戦艦撃沈と大破という戦果を手に、貴志とアスの名はさらに連合軍内に響き始めていた。しかし、30隻以上の帝国軍本隊が迫る中、この戦いが終わりではないことを、二人は強く意識していた。

帝国軍の混乱をさらに深める描写と、アストラリスの果敢な攻撃による戦果、そして帝国軍本隊の出現による危機的状況からの離脱を描きました。連合軍との合流で一息つけるものの、緊張感漂う雰囲気を残しています。今後のアストラリスの戦いをご期待ください。

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