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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第13話:帝国軍の慢心と衝撃

第13話として、帝国軍の視点から連合軍侵攻作戦への軽視と、帝国軍の艦隊司令官の無能さを描きつつ、アストラリスからの艦対艦ミサイル攻撃による衝撃的な展開を描いています。貴志とアスの行動が帝国軍に与える影響を強調し、描写しました。

※表題を章から話に変更しました。

オルテガ・フロンティアの空白宙域に展開する帝国軍艦隊。その旗艦である戦艦『インペリアル・ドーン』の艦橋では、ヴィクター・フォン・グレンツェ少将が豪奢な椅子にふんぞり返っていた。彼は貴族で、グレンツェ子爵家の当主でもあり、帝国軍内でもその財力で地位を買った男として知られていた。実戦経験は乏しく、口先だけで部下を動かす司令官だ。

「連合軍なんて腑抜けの集まりだ。海賊どもが溜め込んだ資源惑星を横から掻っ攫ってやればいい。こんな辺境で我が艦隊に敵うはずがない」

ヴィクターはワイングラスを手に、自信満々に笑った。艦隊の士官たちは彼の言葉に愛想笑いを浮かべるが、その目は冷ややかだった。10隻以上の大型艦艇――戦艦3隻、重巡洋艦5隻、駆逐艦3隻からなるこの艦隊は、確かに強力だ。しかし、司令官の慢心と無能さが士気を下げていることは、誰の目にも明らかだった。

副官のレナード大尉が控えめに進言した。

「少将閣下、連合軍が海賊を駆逐しつつあるとの報告が入っています。偵察艦が先行している可能性もあり、慎重に進めるべきかと」

「慎重だと? 笑わせるな、レナード。連合軍の艦隊なんて、海賊崩れの傭兵が少し混じった程度の烏合の衆だ。資源惑星を奪い、海賊を蹴散らして帝国の威信を示す。それでいいだろう?」

ヴィクターの傲慢な態度に、レナードは口を閉ざした。レナードはとても優秀な副官であったが、平民出身で子爵家の当主に反論出来る訳もなく、ただ事務的に従っている様子であった。また艦隊内も同様で、彼に表立って逆らう者はいなかったのは、それは戦術が素晴らしいとか、尊敬とかではなく子爵家の当主であった、ただその1点だけだった。艦隊はゆるやかにオルテガ・フロンティアへと進み、連合軍の動きを甘く見ていた。

「索敵を強化しろ。敵がいたら一気に叩き潰す。簡単な仕事だ」

ヴィクターの命令で艦隊が陣形を整えつつあったその瞬間、突如として警報が鳴り響いた。

「閣下! 右舷方向から高速物体接近! ミサイルです!」

オペレーターの叫びに、ヴィクターがワイングラスを落とした。次の瞬間、轟音と共に艦隊の右舷に位置する重巡洋艦『クラウゼヴィッツ』の側面に強烈な衝撃が走った。

「直撃確認! 『クラウゼヴィッツ』大破、航行不能です!」

スクリーンに映し出された映像では、重巡洋艦が炎と煙に包まれ、船体が大きく傾いでいた。ヴィクターは目を丸くし、震える声で叫んだ。

「何!? 何だこれは! 連合軍の攻撃なのか!?」

「ミサイルの軌跡を逆探知中…発射源は近くの小惑星帯です! 単艦からの攻撃と推測されます!」

レナードが冷静に状況を分析する中、ヴィクターは顔を真っ赤にして喚いた。

「単艦だと? たった一隻で我が艦隊を!? ふざけるな、すぐさま反撃しろ! 全艦で小惑星帯を攻撃だ!」

だが、その命令に士官たちは一瞬躊躇した。敵の位置が特定できていない中での無秩序な攻撃は、資源と時間を無駄にするだけだ。しかし、ヴィクターの怒鳴り声に押され、艦隊は慌ただしく動き始めた。

一方、小惑星帯の放棄基地に潜むアストラリスでは、貴志とアスが息を潜めて戦況を見守っていた。艦対艦ミサイル(トレハ)の初弾が見事に命中し、敵艦隊に混乱をもたらした瞬間だ。貴志はコンソールを握り、興奮気味にアスに言った。

「当たった! アス、やったぞ! 大型艦が一発でやられた!」

「はい、艦長。トレハの威力は予想以上です。敵は重巡洋艦を失い、陣形が乱れています。次の攻撃を準備しますか?」

アスが冷静に提案すると、貴志は少し考え込んだ。

「本隊艦隊司令部、分艦隊司令部に連絡してるけど、まだ来ない。もう一発撃って、敵の動きを止めよう。でも、俺たちの位置がバレたら終わりだ。慎重にやろうな」

「了解しました。ミサイル2番発射管を準備。敵の戦艦を狙います。発射タイミングは艦長にお任せします」

貴志はスクリーンに映る帝国軍艦隊を見つめ、深呼吸した。アストラリスの存在を隠しつつ、艦対艦ミサイルで敵に損害を与える――この一撃が、連合軍本隊が到着するまでの時間を稼ぐ鍵だった。

「アス、俺たちならやれる。帝国軍に一泡吹かせて、連合軍に恩を売るんだ」

「はい、艦長。私もそのつもりです。次のミサイル、いつでも発射可能です」

小惑星の影に潜むアストラリスは、静かに次の攻撃を準備した。帝国軍の慢心と混乱を突いたこの戦いが、貴志とアスの名をさらに高めるきっかけとなるのか――戦場はまだ混沌の中にあった。

帝国軍の視点からその慢心と内情を描きつつ、アストラリスの艦対艦ミサイル攻撃が大きな衝撃を与える場面を描きました。貴志とアスの戦略が功を奏しつつある中、戦闘は次話へ継続していきます。

ご期待ください。

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