第11話:作戦の全貌と決意
第11話として、侵攻作戦のブリーフィングを通じて任務の詳細を明らかとなり、アストラリスの役割が最前線の偵察艦、捨て駒であることがわかりました。貴志とアスが戦場で生き抜く決意が、緊張感と二人の絆を紡いでいきます。
※表題を章から話に変更しました。
アストラリスが連合軍第一艦隊の指定宙域に到着すると、艦橋の通信スクリーンに再び将校の姿が映し出された。
「本官は、第1分艦隊副官のロジェ大尉である」ブリーフィングが始まることを告げる短い挨拶の後、彼は作戦の詳細を淡々と説明し始めた。
「諸君に与えられた任務は、空白宙域『オルテガ・フロンティア』への侵攻だ。この地域は海賊たちの根城として長年放置されてきたが、豊富な資源惑星が存在する。我々の目的は、資源惑星の占領、偵察衛星の設置、そして帝国軍の侵攻を監視する基地の建設だ」
貴志は艦長席で聞きながら、アスに小声で尋ねた。
「帝国軍って何だ? 連合軍と敵対してるのか?」
アスが即座に応えた。
「この宙域の勢力図では、連合軍と帝国軍が主要な軍事勢力です。帝国軍は拡張主義を掲げており、空白宙域を巡って対立している可能性が高いですね」
ロジェ大尉の説明が続いた。
「主な敵は海賊だが、帝国軍が介入する可能性も否定できない。連合軍艦隊は占領作戦を一斉に展開する。傭兵艦、アストラリスには先行偵察艦としての役割を担ってもらう。海賊および帝国軍の動向を探り、艦隊本隊に報告せよ。以上だ」
通信が切れると、艦橋に重い沈黙が落ちた。貴志はスクリーンに映る空白宙域の星図を見つめ、眉を寄せた。
「先行偵察艦って…要するに俺たちが先に行って敵の様子を見てこいってことだろ? アス、これって捨て駒じゃないか?」
アスは一瞬目を伏せたが、すぐに貴志を見据えて答えた。
「その可能性はありますね、艦長。偵察艦は敵との初接触を担うため、危険度が高い役割です。連合軍がアストラリスを傭兵艦として組み込んだ意図も、本隊の損失を最小限に抑えるためかもしれません」
貴志は拳を握り、苛立ちと不安が混じった声で呟いた。
「何だよそれ…俺たち、使い捨てにされるのか? 海賊だけでも大変だったのに、帝国軍まで出てきたらどうすりゃいいんだ?」
アスは貴志の隣に立ち、彼の手をそっと握った。ハイヒールの音が静かに響き、穏やかだが力強い声で言った。
「艦長、私たちが生き抜くためには、最大限戦うしかありません。捨て駒扱いされても、それを覆す結果を出せばいいんです。連合軍に恩を売るような戦いをして、私たちの価値を認めさせましょう」
貴志はアスの手を握り返し、彼女の決意に励まされた。確かに、アストラリスはこれまで海賊を撃退し、護衛任務を成功させてきた。シールドも強化され、火力も十分だ。アスがそばにいる限り、無謀な賭けではないかもしれない。
「…分かった。アスがそう言うなら、やってみるよ。海賊だろうが帝国軍だろうが、俺たちなら生き抜ける。連合軍に『アストラリス』をなめんなってところを見せてやろう」
「はい、艦長。私も全力でサポートします。偵察艦としての役割を果たしつつ、敵を可能な限り削りましょう。具体的な戦術を今から練ります」
アスがコンソールを操作し、オルテガ・フロンティアの星図と敵の予想配置を表示した。貴志は彼女と共に作戦を立て始めた。
「海賊の根城なら、前回みたいにミサイル艦や宙雷が厄介そうだな。シールドをフル活用して、対空砲で迎撃しつつ、主砲で一気に叩く。帝国軍が出てきたら…どうする?」
「帝国軍の艦艇は大型艦が多いと推測されます。その場合、対艦ミサイルでエネルギーシールドを貫きつつ、機動力を活かして距離を取ります。私がリアルタイムで敵の動きを解析しますので、艦長は攻撃のタイミングに集中してください」
貴志は頷き、アスの提案に信頼を寄せた。
「頼りにしてるよ、アス。俺たちの生き残りと、連合軍への恩売りを両立させるんだ」
「了解しました。この作戦を成功させれば、アストラリスの名は連合軍内に響き渡るでしょう。私と艦長なら、必ずできます」
アストラリスは連合軍艦隊の後方から先行してオルテガ・フロンティアへと進路を定めた。貴志とアスの決意が、艦を未知の戦場へと導いていく。海賊との戦闘、そして帝国軍との遭遇の可能性を前に、彼らは捨て駒の運命を覆すための戦いを決めたのだった。
侵攻作戦の詳細とアストラリスの役割を明らかにし、貴志とアスが生き抜くための決意を軸に置いています。戦術的な会話を通じて二人の連携が強調され、次話では戦闘が開始されます。
ご期待ください。




