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模型から始まる転移  作者: 昆布


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第94話:惑星ガンマのおたから?

いつも「模型から始まる転移」をお読みくださりありがとうございます。皆様のおかげで、幕間も含め、投稿100話を迎える事が出来ました。

今後も楽しく描いていきたいと思います。

引き続きのご愛読、何卒よろしくお願いいたします。


第94話として、惑星ガンマの探索を開始し、おたからが見つかりそうなワクワク感と、少しの緊張感を描写しました。

【空振りの扉と、微かな失望】

ついに開いた錆びた扉は、鈍い音を立てて内側へ押し開かれた。待ち構えていたルナのドローンが、すぐに内部を照らす。光が差し込んだその先には、ひんやりとした小さな空間、かつて金庫室だったと思しき一角が広がっていた。


だが、そこには誰もが期待していた**「お宝」**のような輝きはなかった。


「お兄ちゃん、紙ばっかり…」

ルナが首をかしげながらつぶやいた。内部には、朽ち果てた書類の束が積まれ、棚には崩れかけたコイン、紙幣、株券らしき古文書が所狭しと詰まっていた。


アスが慎重に一枚の紙をつまみあげた。だが、触れた瞬間、それはボロリと崩れて粉となり、空気に消えた。


「…おそらく、年数が経ち過ぎ、保存状態も悪すぎました。紙資料はすでに風化してます。識別不能です」


ステラがスキャナーを取り出し、残されたコインを分析する。


「…一部の金属貨幣は、保存状態も良く、素材も貴金属含有率が高いようです。市場価値は不明ですが、コレクションとしての価値はあり得ます」


「お宝って、こういうの?」キャスがコインを一枚拾い、陽気に光にかざして回す。「まぁ、ピカピカしてればなんでもいいけどねー!」


ルミが小声で、けれど興味深そうに呟いた。「昔の…世界のお金なんだね。こんな形で残ってるなんて、ちょっと不思議だよ」


貴志がコインの一枚を受け取り、静かに見つめる。


「……千年前の通貨か。もしかしたら、この惑星が崩壊する前、人々が最後に残した“価値”の記録なのかもしれないな」


一同に、淡い沈黙が流れた。


だが、キャスがその空気を軽く吹き飛ばした。


「じゃあ、次の扉探し行こー! 今度こそ、お宝の山かもよー!」


【新たな発見】

一行は金庫室を後にし、再び遺跡の広間へと戻った。ルナがドローンで別方向を照らしていると、土壁の一部に不自然な隆起を見つけた。


「お兄ちゃん、あそこ! 土、なんか変だよー!」


貴志が駆け寄って手で払うと、ザラリとした感触の下から、赤錆に覆われた金属板が現れた。さらに慎重に土を削ると、扉の縁と見られる部分が浮かび上がった。


「……また扉か。だが、前のよりもずっと分厚そうだな」


彼が押してみたが、まるで岩のように微動だにしなかった。


「ビクともしないか。アス、これは……?」


アスが近づき、しゃがんで蝶番を観察する。すぐに冷静な分析を返した。


「艦長、この錆は前よりも深刻です。ですが、最弱のレーザーでじっくり削れば、開けられる可能性があります。全員でやりましょう」


貴志が頷き、皆に号令をかけた。


「よし、再びブラスターで錆取りだ。ステラ、進捗の監視頼む」


「了解です。熱変形に注意してください。一定の間隔で区画を分けて照射を」


【再びの錆取り】

ブラスターの弱光が再び照らされ、チームはそれぞれの担当箇所に照射を始めた。


「この作業、なんだかクセになるねー!」

キャスが楽しそうに動きながら、ブラスターをシュッ、シュッと照射。


「掃除してるだけに見えるけど…」ルナが少し首をかしげながら、ドローン越しに監視する。


ルミは真剣な顔で扉の下部を担当していたが、ふと振り返り、冗談めかしてつぶやいた。


「今度こそ、何か隠してて欲しいよね……せめて、落とし穴じゃないといいけど」


貴志が苦笑しながら返す。「それはそれで面白いかもな」


アスが集中したまま口を開いた。


「この厚み、内部に空間が広がってる可能性が高いです。階層構造になっていれば、地下へ続く階段が」


「艦長!」ステラの声が急に鋭くなった。「ヒンジ側、内部振動反応。空洞が下方向に続いてます」


貴志が目を細め、手を止めた。「……あるのか、下に」


【階段への入口】

作業開始から15分後。全体の錆がほぼ除去され、アスが慎重にハンドルを押し込む。重く鈍い音を立て、扉はゆっくりと軋みながら開いた。


中は暗闇。だがルナのドローンが飛び込み、すぐに下を照らした。


「お兄ちゃん、階段だよー! 今度は広いよ!」


中には、古びたコンクリートで出来た螺旋階段が、下へとずっと続いていた。段差の隙間からは水滴が垂れており、空気は湿って重い。


ルミが息を呑みながら言った。


「……この下、何があるのかな。今度こそ、本当の“何か”が」


貴志がゆっくりと階段の入口に立ち、仲間たちを振り返る。


「よし、準備して降りるぞ。ここからが、本番だ」


一行は灯りを整え、呼吸を整え、静かに階段を下り始めた。


【静寂と重力のような空気】

階段をゆっくりと下がるたび、靴底が金属を叩く乾いた音が、無人の空間に反響した。この地下階は、ただ古いだけでなく、明らかに「意図して隠された」気配があった。


ルナのドローンが先行して天井や壁を照らし、淡く黄色がかった照明が空間を彩っている。


「…ここ、すごく静かだね」

ルミが小さく呟いた。誰も返さず、ただ空気の重さが全員を包み込む。


やがて階段は終わり、細長い廊下に繋がっていた。天井の高さは2メートルほどで、壁面は艶消しの黒金属に覆われている。明らかに自然の岩肌ではない。しかも、壁には一定間隔で小さなくぼみがあり、内部には干からびたような電力線が埋め込まれていた。


アスがその配線の劣化具合を見て、分析を始めた。


「……この構造、地球の地下シェルターに似ています。だが、この素材は我々の技術体系とは異なります。異星文明、もしくは高次文明の可能性があります」


「異星文明かぁ…そういうの、来たかも!」キャスが目を輝かせて声を上げたが、空気を読んだようにすぐ声を潜めた。「ゴメン、静かにするねー…ワクワクしちゃって」


「気持ちは分かるさ」貴志が微笑む。「慎重に進もう」


【扉とエネルギー反応】

10メートルほど進んだ先に、やや大きめの金属製の扉が現れた。先ほどの錆びたタイプとは違い、こちらは光沢がかすかに残るほど保存状態が良かった。


ステラがスキャナーをかざすと、すぐに反応があった。


「艦長、扉の内側に微弱な電磁反応があります。エネルギー供給系がかろうじて生きている可能性あり。ですが、制御装置は動作していません。強行開封が必要です」


「破壊は避けたいな」貴志がブラスターを下げながら言う。「まずはルナ、ドローンのマニュピュレーターで開閉部にテンションをかけてくれ」


「わかったー! ドローンくん、いってらっしゃい!」


ドローンの小型アームが鍵部をこじ開けようと押し込み、数秒後――**「カチリ」**と、小さな音が廊下に響いた。


「……開いた?」ルミが思わず声を漏らす。


アスがすかさず補足する。「扉が少し緩んだだけです。手動で押せば開くかと」


貴志が再び前に出て、両手で扉を押し込む。重厚な感触が彼の全身に伝わり。


重い音を立てて、扉は開いた。


【箱だらけの部屋と、目覚めを待つ機構】

重厚な扉が「ゴゴン……」と鈍い音を立てて開いた瞬間、古の空気が静かに流れ出すような感覚があった。室内は冷え切っており、何かが「止まったまま、長い時間を待ち続けていた」空気に包まれていた。


貴志が照明を高く掲げ、目を細めた。「……やっぱり、倉庫だな。でも、普通じゃない」


部屋は長方形で、天井はやや低い。金属製の箱が整然と並んでおり、そのひとつひとつに奇妙な記号が刻まれていた。いずれも腐食は少なく、封はしっかりと保たれている。


キャスが興奮を抑えきれず、すでに箱の一つに駆け寄ろうとしていた。「開けちゃダメーって言われる前に、見ちゃおうかな〜っと!」


「キャス、動くな!」アスの鋭い声が飛んだ。


キャスが「へへ…」と笑いながら止まり、後ろ手に組んだ。


アスは手早くセンサーを取り出し、床と空間全体をスキャンした。ピッ、ピッ、と電子音が響き、彼女の眉が僅かに動いた。


「熱源反応なし。空気も安定。ただし……この部屋、周囲の壁に微弱なエネルギーの痕跡があります。完全に死んではいません」


「何かが眠ってる、ってことか?」貴志が訊いた。


「その可能性は高いです。罠ではないと思われますが、何かの起動条件に近づいているかもしれません」


【未知の情報記録箱】

ルナのドローンが宙を舞い、箱を一つひとつ照らしていく。


貴志はそっと一つの箱に近づき、慎重に手袋越しに表面を撫でた。箱は重厚な構造ながら、電子的なロックはかかっていないようだった。


「開けてみるぞ。何かあったらすぐ下がれ」


一瞬の静寂ののち、箱のフタがゆっくりと持ち上がった。


中にあったのは、半透明のクリスタルパネルのような物体。約A4サイズ、やや厚みがあり、表面にうっすらと文字のようなものが浮かび上がっていた。


「ステラ、これ……読み取れるか?」


ステラがすぐに反応し、スキャンを開始した。クリスタルに小さな光が流れ込み、端末にデータが流れ始める。


「これは……古代言語ではなく、情報圧縮形式の記録素子です。内容を解析するには時間が必要ですが、明らかに知識データ群です。建造記録、もしくは文化的アーカイブの可能性あり」


ルナが目を輝かせる。「えっ、それってつまり、歴史のお宝!?」


「そうだ。もしかしたら……この星に何が起きたかも、分かるかもしれないな」


【さらに続く通路と、動き出す何か】

箱のスキャンを続けている間、ルミが奥の壁に目を向けていた。ほとんどの注意が箱に向いていたため、誰も気づいていなかったが。


「……あれ、奥にも通路がある」


その声に皆が振り返り、照明を向ける。


部屋の最奥、壁の一部がやや凹み、細い通路が斜めに下へ続いていた。まるで地下へ導く蛇の道のように、緩やかな傾斜が続いている。


アスが眉をひそめた。「……この構造、完全に後から造られたようです。もしかすると、この遺跡の中でも“秘匿層”にあたる場所かもしれません」


貴志が静かに息を吐き、口を開いた。


「……よし。記録媒体はルナとステラに任せる。俺たちは先に、この通路の先を見てくる」


「りょーかいっ!」とキャスがブラスターを掲げた。「未知の領域、探検しちゃうよー!」


ルミは少し怯えたように貴志の後ろに立ちながらも、強く頷いた。「私、行くよ。みんなとなら大丈夫」


ステラの静かな声が響いた。


「艦長……注意してください。この先、微細なエネルギー波形の変化があります。何かが起動し始めています」


一同の背筋に冷たいものが走った。


遺跡は、眠りから目覚めようとしていた。

おたからは見つかりませんでしたが、まだまだガンマの探索は続きます。

貴志達は、惑星ガンマの秘密に触れ、次話では、真相に触れていきます。

ご期待ください。

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