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1. 管理者の始まりと異変の始まり

町から歩いてしばらくすると、石造りの階段が出てきた。

階段の周りは遺跡痕のようで、階段は地下に伸びている。


「これがダンジョン、、、?最初に行った場所とは作りが違いますね」

「二人が行ったのは迷宮だからね。ダンジョンとはちょっと違うんだよ」


ダンジョンと迷宮、どちらも地下に広がっており、冒険者が探索のために潜るという行為自体は同じだが、深さと内部の仕組みで呼び名が変わっている。


10階層以内で、ボスモンスターがフィールドモンスターの亜種が出現する場所をダンジョンと呼ぶ。

こちらは比較的敵が弱く、ボスモンスターは倒されても一定の時間で復活する。


対する迷宮は、10階層以上で、フィールドモンスターと無関係のボスモンスターが出現する場所を迷宮と呼ぶ。

こちらはフィールドモンスターから凶悪であり、生半可な準備で挑むと、最下層に到達する前に全滅、なんてこともあり得る。

僕が封印竜を倒した迷宮は、全30階層からなっているうえ、中層以降のフィールドモンスターがボスに近いものもいる。


「お前たちは最初から迷宮に潜ってたから尚更初心者狩りに狙われたんだろうな」

「、、、すみませんでした」

「冒険者になってすぐなら仕方のない行為だよ。でも危険だから今後は暫く迷宮に近寄らないように。いいね?」

「はい!」


しかしそういう情報は自分から探さないと手に入らないのも現状だ。実際、僕もバルフェルドさんに教わっていなかったら初めから迷宮に行くところだったんだから。

どうにか仕組みを変えたいものだが、そうもいかない。何とももどかしい限りだ。


「とりあえずはここで戦闘を繰り返すよ。慣れたら階層を進めて、ボスまで攻略出来たら迷宮上層に行こう」

「わかりました。戦闘隊形は話し合った通りでいいですか?」

「もちろんだ。何か起こったらまずは指示を待つ。指示が来ない状況なら自分で動く、いいね?」


これは休みの間に決めたことだった。

僕が指示できる範囲は指示するが、自分で動くことも覚えなければいけない。だから僕の指示は最低限に留めることにした。

トラブルが起こった場合は僕がすべて指示を出して対処、それができない場合は自分で自分の身を守る、これを徹底させるつもりだ。


「さあ、探索開始だよ。気を引き締めていこう」


僕たちはダンジョンに入り、探索を開始した。


ほとんどのダンジョン内部は、基本的に陸より少しくらい程度だ。先人たちが整備し、魔光石で明かりを灯したと言われている。

初心者でも安心して潜れるこの若葉の小穴は、作りも単調で、整備されていて足場も整っている。


「モンスター確認!戦闘態勢!」


先導していたバントレットが叫ぶ。僕はそのモンスターを管理者の能力で見る。

[リトルボア Lv3]

特殊スキル なし


「対象名リトルボア、レベル3だ。負けることはない、実践の練習だ!」

「はい!」「障壁展開!ウォールバリア!」


この世界において、防御魔法を先にかけるのは基本だ。モンスターはパターン性のあるものとそうでないものが存在する。主に後者においてこの戦い方は効果を発揮する。奴らは人間を大きく超える力を持ち、そのため一撃で死ぬことも多々あるからだ。


「今だよ、攻撃に移行して!」「了解!デュアルソードっ!」


リリとバントレットがリトルボアを切り倒す。僕はそれを見届け、二人のステータスを確認する。

それぞれに15のexpが入った。


レベルに関しても、管理者を使ううちに内容が分かった。

ステータスに表示されるレベルというのは、経験の数値であり、最大が99らしい。

また、レベルを上げるには一定の経験値(exp)が必要であり、モンスターを倒すことで稼げるそうだ。

ちなみに、いま彼らがレベルアップに必要な経験値は約800だ。ここでは成長は見込めない。戦闘に慣れたら、さっさと進もう。


数回の戦闘を重ね、敵のレベルを確認しつつ、第4階層まで進んだ。ここのモンスターのレベルは9程度。攻撃を受ければ3~5のダメージを受ける。防御魔法とバントレットの回避行動で、被弾は数回しかしていない。これは後ろからのリリによる指示が的確だからできる動きである。


「前方から攻撃!直進してくるよ!」「ぐっ、障壁解除された!張り直しを!」「オッケー!ウォールバリア!」


いくら二人が姉弟だからってここまでの連携をすぐにできるはずがない。この二人はすぐに息を合わせて被害を最小限にとどめながら戦っている。


「よし、この階層も慣れたね、次の階層に行こう」


このように順調に進んでいる際に冒険者が行うのは、宝箱の捜索だ。

ダンジョンや迷宮には宝箱が置かれている。誰がいつ何の目的で置かれたかも不明なアイテムの入っている箱だ。

これらの箱は基本的に一定時間で出現し、あけられてしばらくすると消滅する。迷宮には一度開けたらそのまま残り、再出現しない宝箱もある。

 

宝箱からは消費アイテムや装備、換金アイテムなどが出る。稀にマジックアイテムもでるが、ダンジョン内部で手に入るのは消費アイテムが大半だ。


それでも初めて本格的にダンジョンを探索する二人にとっては刺激的なようだ。


「見てお兄ちゃん!鉄鉱石が入ってた!」

「ほんとにどんな仕組みでこの箱はできてるんだろうな、、、」


純粋に喜ぶリリと、箱の仕組みに早くも疑問を抱くバントレット。こういう反応を見るのはなかなか新鮮だ。


そんなこんなで第8階層までやってきた。敵のレベルは15前後。適度な緊張感で戦える相手だ。

一部苦戦する場面もあったが、装備の性能がいいこともあり、大事には至らなかったし、二人の連携もあって、


「確かこのダンジョンは第9階層がボスフロアでしたよね」

「そうだな。あと少し、頑張って攻略しよう」


この二人、明らかに他の初心者よりも強い。ここは初心者向けのダンジョンとはいえ、一日で本来踏破できるのもではない。だが現に二人でここまで来ている。僕は信仰の判断をしているだけだ。

このまま余裕で攻略できるだろうと思った、その時だった。


グニャリと空間が歪んだ。


「っ、なにこれ、」「幻術!?いや、そんな行為のモンスターはこのあたりに出現しないはず、っ」


二人は何が起こっているのか分からず、戸惑っていた。僕自身もなにが起きているのか理解できず、ただ二人に近くに集まるように指示することしかできなかった。

やがて歪みは部屋全体に広がり始め、立っていられなくなった。そして歪みが部屋を覆いつくし

ー元の部屋の形に戻った。


「「「え?」」」


僕を含めた3人、大困惑だった。あれだけ激しかった異常事態が、ピタッと止まったのだから。

しかし、元の部屋に戻っても、異変はあった。

第9階層への階段の前に立つ、一人の騎士だった。

漆黒のフルプレートを身にまとい、ゆらりとたたずむその姿は、自然と恐怖を駆り立てるものであった


「なんだあいつ、、、」

「お兄ちゃん、気をつけて!あの鎧、多分相当危険だよ!」

「リリの言うとおりだ。ここは危険だ。何が起こるかわからない。急いで撤退するぞ!」


そう振り向いた瞬間。僕は息をのんだ。

階段が崩れていたのだ。しかもその階段のそばには例の黒い鎧が3体。


「じゃああれは現実に干渉した何かってこと、」


っっっ!そうじゃない!今は二人を安全なところまで避難させなければ!考察なんてしてる場合か!

二人を助けようにも距離が近すぎて魔法は危険だ。だがこの数、僕から離してしまえばいつ襲われるかわからない。

僕は奴らが何者かを調べるため、[管理者]を発動させる。


[デスメイル Lv30]

その下に赤文字で、アンデッドと記載されていた。


「敵のレベルは30、アンデッドだ普通の攻撃では倒せない。リリ、聖魔法での攻撃準備。バントレットは自分の防御を最優先に、敵を引き付けて」

「「はい!」」


戸惑った中でも、僕の指示を冷静に聞いてくれる。本当に安心できる仲間だ。


「二人に防御魔法をかけた後、戦闘開始。討伐できない場合は隙を見て第9階層へ向かう!フルレジストっ!」


最高位の防壁魔法を発動させ、3人での戦闘が始まった。

今回もこのお話を読んでいただき、ありがとうございます。


三人での冒険が始まりました!

初心者用のダンジョンで早速のアクシデント!クロムは危機をどう乗り越えるのでしょうか!


感想やアドバイス、アンチももちろん受け付けておおります!ぜひどんどん書いてくださいね!


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