序章1 ー不可思議な世界の声ー
ー封印の迷宮 深部ー
巨竜と一人の人間が戦っていた。
巨竜から放たれる攻撃を走りながら避けて、巨竜の目の前に飛びあがった。
「消し飛べぇぇぇっ!!」
人間の持つの双剣が巨竜を切り裂いていく。巨竜は激しい咆哮を上げながら地に倒れた。
魔竜が塵となり、ドロップアイテムがその場に残った。
ここはパンタシア。モンスターと呼ばれる獣たちと戦い、人類が繫栄した世界。
冒険者と呼ばれる猛者たちが、モンスターを狩り、迷宮を攻略し、持ち帰った素材で町が発展させている。
巨竜を倒した彼、クロムもこの世界の冒険者として生活している。
そして世にも珍しい一人でクエストに挑む、ソロプレイヤーだ。
「やっと倒れてくれたな。お、戦利品沢山じゃん!」
ドロップアイテムを集めようと近づくと、唐突に魔物の残骸から光の粒子があふれ出す。
「お、新しいスキルかな。討伐依頼で習得できるなんて、今日は運がいいな。」
スキル。それはこの世界で生まれた時から持つ固有能力。その能力は千差万別だが、非常に強力なものが多い。スキル所持者がが死亡、消滅するとき、稀にその場にいた存在にその能力が譲渡されることがある。
ースキルの譲渡を確認。継承完了しましたー
「世界の声」がスキルの取得を教えてくれる。
「流石は伝説級、ちょっと手こずったな」
今回倒したのは伝説級の巨竜、封印竜スフラギダと呼ばれるモンスターだ。
特技を一時的に封印してくる、なかなか手ごわいモンスターだった。
ドロップアイテムも集め終わり、帰り支度をする。
バッグから転移石を取り出し、帰還魔法を唱えようとした。
、、、その時、世界の声が再び流れ始めた。
ースキル、<管理者>を習得しました。習得に伴い権限の譲渡を開始します。
「え?」
聞きなれない単語だった。普通ならスキルの譲渡、もとい習得の報告しかしないはずだ。
だが今、世界は何かしらの権限を譲渡したと言った。しかしそんな話は聞いたこともないし経験したこともない。
そんな僕を脇目に、世界は声を届け続ける。
ー権限の譲渡が完了しました。
これににより一部スキルを制限します。権限所持者の安全のため、最も近い地上に転移します。転移魔法、構築。
その言葉と共に、僕は眩しすぎる光に包まれた。
―気が付くととそこは迷宮の入り口だった。いつの間にか町まで戻されたらしい。
「おい、ウルフが帰ってきたぞ!」
「今日こいつが受けた依頼って伝説級のモンスターの討伐じゃなかったのか?もう倒したってのかよ、、」
周囲の人間が少しざわめく。
さっきの光は転移魔法の光だったのか。でも何で急に発動したんだ?結局、権限って何なんだ?
頭の中に疑問がかなり残っている。急な転移魔法のせいか、知らない内容ばかり頭に流れ込んだせいか、頭痛も激しい。
「あの、大丈夫ですか?」
12歳くらいの二人組が声をかけてきた。人目につく場所で考え込んでしまった。
「あ、あぁ少し疲れてたみたいだ、もう大丈夫だよ」
そう言って足早にその場を離れる。あまり体調も良くないし、冒険者協会に報告をして早めにクエストを終わらせよう。
そんなことを考えながら冒険者協会へ向かった。
冒険者協会へ着き、受付に討伐報告をする。
「迷宮攻略、お疲れさまでした。本当に一人で行かれるとは、、、何はともあれ、ご無事で何よりです。しっかり休んでから次の攻略へは向ってくださいね。」
他愛のない話を済ませると、おぼつかない足取りで宿屋まで向かった。僕に何か話しかけようとした人たちが数人いたが、会話の余裕もなく、急いで宿をとった。
自室につくと、頭痛が激しすぎてすぐに眠りについた。
本日はこのお話を読んでいただきありがとうございます。
作者初めての作品になりますので、あらが目立つかと思いますが、それでも楽しんでいただけたら幸いです。
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