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デッドリカバー  作者: 箱暗灰人
1章「生きる、ということ」
14/21

魔法術講習・2

レクターの魔法術講習は続く。


「魔法には属性と言うものがあります。火、水、氷、風、地、雷の6属性と、光、闇の2大属性があり、それらの属性を魔力を消費して具現化し、操ること。それが魔法です」


黒板に書きながら解説する。


「火、水、氷の3つと、風、地、雷の3つはそれぞれに相性があります」


3つの属性に線を繋げ、2つの三角が書かれる。


「"火は氷を溶かし、氷は水の流れを止め、水は火を消し去る。"そんな言葉がありまして、火は氷に強く、氷は水に強く、水は火に強い。

同等の魔力消費量の魔法同士をぶつけ合えば、相性が良い方が勝る。それが相性の関係です」


三角に矢印を付け足して、相性関係を一目見て分かりやすくする。


「風、地、雷にもこのような言葉があります。"風は地を剥がし、地は雷に不動せず、雷は風を裂く。"風は地に強く、地は雷に強く、雷は風に強い。これらの相性の関係をよく覚えておいて下さい」


「へぇー、魔法に相性なんてあったんだー」


ヒートの大きな独り言は一番離れた席にいるアキトにも聞こえてくる。


「あれ?じゃあ先生、火と風がぶつかったらどうなるんですか?」


「相性と関係ない属性同士には有利不利はないので、同等の力がぶつかり会えば相殺されます」


「なるほどー」


真剣な表情で小さく何度も頷くヒート。


「相性によってどれ程の有利不利の差があるのかは属性毎に違うので、詳しくは入門書に書いてあるのでそちらを見て下さい」


(ああ、これか)


アキトは入門書に書いてあるのを確認したが、止まることなく説明は続く為、今は講習に耳を傾けることにする。


「ただし、例外があります。それは雷属性です。雷は同等の力であれば不利属性以外なら打ち勝てる強力な属性です。それ故なのか、自属性が雷の人の割合が雷が一番少なく、更に雷の魔法の扱いは一番難しいのです」


「へえ~……。ジゾクセイ?」


「それを今から説明します。この6属性のいずれかの属性を、全ての生物が生まれて数年で定着し、生涯変わらぬもの。それを自属性と言います。自身と同じ属性の魔法を扱いやすくなり、逆に不利属性の魔法は扱い難くなります。それだけでなく、自身に受ける魔法によるダメージもまた、相性が関わってくるのです。

なのでヒートさん」


「ふぇ?」


不意に呼ばれ、気の抜けた返事をする。


「あなたは火属性なので水が天敵です。水場がある場所は特に気を付けて下さい。死にたくなければですが」


「は、はい!気を付けます!」


ひきつった顔でヒートは答えた。

アキトはレクターの言葉でそう言えばと思うことがあった。


(そう言えば、フォスレーの自属性が何だったのか分からないな。火だと思っていたが分身は確か……火と水と氷と風の属性を使っていたから分からなくなったな。地だったら相性が良いからやりやすいんだが)


アキトが考えに耽ってる間にも講習は進行していた。


「戦闘においては、相手の自属性を知ることで有利に運びます。確かめる方法は主に3つ。相手がよく使う属性、とっさに使う属性、より強力だと感じた属性から絞り込み、有利属性を打ち込むことが出来れば、戦闘を有利に運ぶことが出来るでしょう。逆に自属性を相手にバレれば弱みになります。もし相手の自属性が自分に対して不利属性だった場合や、不利属性の魔法を使われた時を想定して、不利属性に対して有利に立てる属性を習得しておけば、不利の要素をいくらか埋められることが出来ますし、自属性と異なる魔法で自属性を悟られないようにする戦法もあります。複数の属性を習得する場合はまず自属性に相性有利な属性を習得すると良いでしょう」


(俺の場合は地属性ってことか)


(えーっと、俺は火だから、あー氷かぁ。寒そう)


アキトとヒートはそれぞれ思う。


「だからと言って、複数の属性を使えるようにことが必ずしも正しいとは言えません。複数の魔法を扱えた所で自属性と同程度に扱えるようになる為に長い練習期間が必要があり、そんなに時間を掛けるくらいなら自属性のみに集中して極めた方がいい場合や、魔法よりも体を鍛えた方がいい場合もあります。属性の相性だけじゃなく、人の得意不得意にも関わって来ます。

私個人の意見としましては、自身のスタイルに合った戦法に必要なものを求める。それがベストだと思います」


(スタイルに合った戦法……)


アキトは力不足と感じ、こうして講習に参加しているが、風以外の属性も会得しようと思っていたが、レクターの発言で決心が揺らぐ。


「そう言うことですので、なるべく自属性がバレないよう日頃から振る舞うことが重要ですね」


「え?いや先生、さっき俺の自属性盛大にバラしたよね?」


ヒートは不満そうな顔をレクターに言う。


「……私言いましたか?」


「言いました!あなたは火属性だか水に気を付けろって言いました!」


「あーそうでしたね。でも私が言う前に皆さんあなたの自属性が火なのは知ってますよ。先程初めて使った魔法が火だった時点で」


「え?あれ?」


そうなの?といった顔で周囲を見回す。

ヒートと目が合った人は目を逸らしたり苦笑するだけで答えはレクターの口から出た。


「初めて出せた魔法が自属性以外だった、なんて話は聞きませんから」


「マジかあ~……」


ヒートは天を仰ぎ見て力なく頭を左右に落ち込む。


「まあ、ここには自属性が知られて困るような相手がいないから良いではないですか」


「そうなんだけど~。それでも何か損した気分」


「落ち込むなら後にして下さいね。では続いて2大属性の光と闇についてです」


気にせず講習の続きを始めるレクターは黒板に、光と闇の文字を書く。


「はあ……」


ため息を漏らしながらヒートは耳を傾けた。

字を書き終えたレクターは振り返って皆の方を向く。


「光と闇は6属性とは性質が大きく異なります。6属性とは違い、自然には存在せず、我々生き物だけ、感情を持つ者のみにある属性です。ヒートさん」


「え?なに?」


名を呼ばれて顔を上げるヒート。


「先程あなたは自属性がバレて損したと思って感情が落ち込みましたね?」


「そ、そうですけど?」


「でも普段の生活は基本的には楽しいですよね?」


「ま、まあ。念願のロギアに入ることが出来たし、楽しいとは思ってるのかな?あ、いや、でも日々楽しくなるように変えて行きたいと思ってるから、それにまあやっぱポジティブじゃないと、ポジティブなことに繋がらないと思ってるんでー。あれ、俺何言ってるんだろうな、ははは」


ヒートは照れ笑いしながら自分の首の後ろを掻く。


「そんなあなたは今は光の属性を持っています」


「え?でも俺、火なんですよね?」


「ええ。火であると同時に光でもあるのです。6属性のいずれかと、2大属性の光か闇のどちらかが自属性となるのです。常日頃幸福を感じ、楽しい生活を送っている人は光属性となります。逆に不幸と感じ、苦しい生活を送っている人は闇属性となります。そう、つまり光と闇はその人の精神状態次第で決まるのです。ヒートさんは光ですが、先程損を感じてほんの少しだけ光の力が弱まりました」


人差し指と親指の間に小さな隙間を見せて言う。


「そしてそのまま嫌なことが続けば更に光の力が弱まり続け、光の力が無くなった時、代わりに闇の力が強くなっていきます。光と闇は移り変わるのです。光と闇は表裏一体で必ず光と闇のどちらかを、自属性に付加する形になります。光と闇は結局何なのか、どのように関わってくるのかについて説明します」


黒板に書きながら説明する。


「まず前提として、6属性にあった相性と言うものはありません。光の場合、魔法を使う時に威力を損なうことなく魔力消費が抑えられる効果があります。また後程説明する回復魔術の効果が増加するなど、魔術によって様々な違いがあります。光の力が強ければ強い程、これらの効果が大きくなります。良いことしかないので、光ならより光を求め、精神状態をコントロールすると良いでしょう」


書く手を止めて、振り返る。


「人は周囲の感情に影響されやすい生き物です。光や闇に容易に影響します。しかし、我々はロギア。感情に流されることはあってはなりません。いつでも心にしっかりと芯を持つことが大事です。自属性がバレた程度で落ち込むのはよくないことです。分かりましたね?」


ヒートは言われてハッとする。


「は、はい!」


背筋を伸ばして強く返事した。


「さて、次に闇ですが、光とは逆に魔法術で多く魔力を消費する分、威力は大きく増加します。魔力消費を増やした分、威力や効果が増大するのは当然のことなので、一見メリットが無いようにも思えますが、これは少しややこしいので分かりやすく説明します」


レクターは黒板に数字や矢印を書いて説明する。


「例えば50の威力の魔法を使おうとすれば、実際には60の魔力を消費し、結果70の威力の魔法が発動した。こう聞くと、闇は加減が難しくなるだけで光と実質変わりないのでは?と思うかもしれませんが違います。例と同じ力の場合の光は、50の魔法を使おうとした場合、魔力消費は40ではなく45なのです。要は魔力の増減量に差があり、闇は調整が難しく、1つ間違えれば命に関わる危険性が伴う分魔力消費を抑えてより威力を高められるのです。魔力の増減量は、より光や闇の傾向が強くなることで更に増えます」


白い棒を黒板の底部に置き、横に数歩移動して皆の方に向き直る。


「闇にもう一つ効果があり、それは持続を長くすることができると言うことです。持続と言うのは……」


レクターが手を伸ばし、手のひらを上に向ける。

すると水の球が音もなく急に現れる。


「魔法で具現化されたものは、時間経過で魔力となって消えます」


そう言った矢先に水の球は跡形も無く消えた。


「魔法術が効果を出し続けられる時間を持続と言うのですが、その持続を魔力の消費を抑える効果を闇が持っているのです。この効果は魔法よりも魔術の方がより効果を実感するでしょう。より強い力を求める為に闇を選ぶ人もいるようですが、闇は光にはない大きなリスク、"闇蝕えんしょく"と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。魔法術とは関係ないですが、知っておくべき大事なことなので説明します。闇蝕とはーー」


黒板に闇蝕とこれまでより一段と大きな字で書く。

字の大きさがより重大性を表していた。


「怒り、恨み、妬みなどの負の感情があるほど闇はより色濃くなり、人それぞれが持つ限界値を越えると闇蝕に陥ります。理性を失い本能のままにその時一番強い欲求を満たす為に行動する、到底人とは呼べぬ別の生き物に成り果てます。その欲求が必ずしも他者に害を与える訳ではありませんが、行動の邪魔をされたり、欲求がしばらく満たせないと、暴れ狂う共通点があります。闇蝕に治療法は今現在見付かっておらず、この状態になった者は危険人物と見なされ、即処刑されます」


(処刑!?闇蝕、やばい……)


知らなかったヒートは闇が危険なものだと知り、光景を想像して青ざめる。


「なので力を求め過ぎて闇を高め過ぎないようにくれぐれも気を付けて下さい」


(闇蝕……)


アキトか初めて闇蝕のことを聞いたのは、フウライの村で魔法術をタケルから習っていた時だ。




村外れの緑生い茂る草むらに同じ方向を見て座っているアキトとタケル。

風が草木や2人の髪を揺らす。


『闇蝕かあ。気を付けないとな』


タケルから聞いたアキトは感想を述べるが、どことなく他人事のように素っ気なく言う。


『俺はまず間違いなく光だから、無縁だろうな。アキトは自分のこと、光か闇のどっちだと思う?』


『ん~、どうだろうな……』


過去のしがらみから立ち直ったとはいえ、以前と同じように振る舞えていないことは自分自身がよく知っていた。

誰かと話していても、心の底から笑えず、ぎこちない笑顔を返していたことは、もしかしたらタケルは気付いていたのかも知れない。


『多分、闇、かもな』


アキトは冷静に自己判断して言った。


『そうか、闇か。だったらちょうどいいかもな』


『え?』


『光と闇って表裏一体って聞いててさ。それってようは離れられない関係ってやつだろ?俺とアキト、光と闇。アキトが狩人辞めたからって、俺らはいつまでも名コンビだぜ?へへ』


言ってて恥ずかしくなったタケルは笑って誤魔化した。


『ふっ、名コンビって言うほど有名か俺らは?』


『ええ!?村の皆は知ってんだろ?』


『この村だけじゃん』


『まあいいじゃん。村から出る気はないんだろ?』


『ん?まあ、な』


『あれ?あれあれ?』


アキトの小さな違和感を聞き逃さなかったタケルはアキトの顔を前から覗き込もうとするのを横に顔を逸らすアキト。


『もしかして、ユイのことを気になってる?会いに行こうかな、とか?』


2人が好きになった人で、夢を追って村を出たユイ。

結局2人の恋は実らなくなって何年も立つ。

2人にはまだ恋人と言うものはいない。

この小さな村の中では、恋のチャンスは少ない。


『……さあ、どうかな?だとしてもユイがどこにいるか知らないしな』


『……そういえば俺も知らねえ。あれ、誰か知ってる人、いるよな?え?いないわけないよな!?』


タケルは立ち上がって焦り始める。


『ちょ、ちょっと聞いてくる!』


そうしてタケルは村の皆に聞いて回り、ユイはイズメの町へ向かったと知る。

名前は分かっても、それがどこにあるのか答えられる人は村にはいなかった。

タケルは機会があったら探して2人で会いに行くのもいいかもな、と話したことがあったが、叶うことはもう無くなってしまった。




あれからフォスレーの凶行により、闇に大きく傾くことになったアキト。

闇の強みを知っていたアキトはより力を求めてなるべく闇を深め、かつ闇蝕にはならないように注意を払っていた。

闇蝕になれば復讐は叶わない。

そのことだけが辛うじて闇蝕にならないように抑えることが出来ていた。


「そして我々ロギアは仕事柄、闇蝕になった者と相対することが増えるでしょう。先程言ったように闇蝕の治療法はなく、殺してあげることが唯一の救いです。その時になったらしっかり確認した上で、それが誰であろうと、どんな状況であろうと、躊躇わず、情にほだされることなく、毅然な態度で始末して下さい。その結果誰かに恨まれたとしても、受け止めて下さい。それがロギアというものです」


淡々と語られる口調だったが、真剣な雰囲気を感じ取り、空気が張り詰める。


「はい。では、え~、属性の話はしたので、次は魔法を使う方法や条件を説明します」


張り詰めた空気はお構い無しに考える間も与えず講習は進む。


「魔法とは頭の中に思い浮かべるイメージを具現化するもの。指定した属性、大きさ、形、数、熱さや冷たさ、動き方、持続させる時間など発動した時のイメージを思い浮かべながら魔力を手に集中させてから、手から出すイメージをすればーー」


レクターが手のひらから火が出て、火は皆の頭上を越えて後ろに飛んでいき、急に向きが反転し、レクターに向かって勢いよく加速し、当たる直前で消え去った。


「今のような動きをイメージしました。ちなみに魔力を集中させられるなら手だけでなく、肩や足、頭からでも発動可能です」


実際に火を膝や頭の近くから出してみせる。

ヒートが「おおーっ!」と感嘆の声を上げた。


「そして……」


「!」


アキトは背後に魔力を感じ、振り向く。

他の者も同じように振り向いた。

部屋の奥の何もない空間に火が現れた。


「あのように遠くでもその気になれば魔法を発動することが出来ます。ヒートさん後ろです」


「後ろ?あっ!本当だ!」


ヒートは言われて振り向いてやっと火に気付く。

火は音もなく消える。


「ですが、発動させる場所が遠くであるほど魔力の消費が大きいですし、魔法となる前の魔力の動きは感知されやすいので、よほど遠くからじゃないと奇襲効果は期待出来ないので熟達してからでないとお勧めは出来ません。今ので普通に使った時の倍くらい魔力使った気分です」


「あそこで倍なんだ……」


周囲に何を言ったか聞き取れないくらいの声量で呟くヒート。


「魔法の使い始めはイメージ通りになることはまずないでしょう。何度も使って練習することでイメージに近くなるのです。イメージ通りになった所で、実際に戦いの中で使うとイメージ通りにならないことは多いです。遮られたり、魔法をぶつけられたり、かわされたりして、想定外のことが多々起こり得ます。なので魔法がイメージ通りに動くことを期待してはダメだと言うことです。先程実演したこと。向こうに飛ばした魔法が私の前に戻って来たのを覚えてますか?もし私の前に敵がいて、魔法を飛んで避けても、返ってきた魔法が敵の背中に当たるイメージをしたのです。ですがそうなることを期待している時、今の自分自身は、ヒートさん、何をしていますか?」


「え?えっと、来いっ来いっ戻って来いっ!て思ってます」


「思ってるだけですか?」


「あ、ああ。そう、かも」


「敵から見たら立ち止まって何もしてこないように見えますね。隙ありと思って攻撃してくるでしょう」


「ああっ!」


「そう。期待するあまり攻撃や防御の手を緩めたりする可能性があるのです。隙を見せれば敵の思う壺。魔法を使った戦いに慣れない内は敵の意表を突くような攻撃はせず、ただ当てる。そういうイメージで使えば1つの魔法に未練なく使えることでしょう」


「なるほど」


ヒートは腕を組み小さく頷きながら相づちする。


「魔法を使うには魔力を必要とします。より大きく、より早く、より動きを加えるほど、必要な魔力は多くなります。使用した時の魔力の消費量は使ってみなければ分かりません。光と闇の特性も含まれますから。こうイメージすればこのくらいの魔力を消費する、と言うことを何度も試して覚えて下さい。もし自身の魔力量以上、もしくは魔力量の上限に近い消費の魔法を試みた場合、魔法は失敗となり具現化されず、少量の魔力を無駄に消費するだけになります。

これは生命維持に必要な最低限の魔力確保が優先されるのです」


黒板に5と大きく書いて振り返る。


「魔力の器に魔力が満杯の時を100とした場合、生命維持に必要な魔力は5以上。この数字は器の大きさに関係なく5以上が必要です。よく勘違いされる所の1つです。自身の魔力量を常に把握しておいて下さい」


「はい先生」


ヒートが手を上げる。


「はいどうぞ」


「どうやって自分の中の魔力の量が分かるのですか?」


「感覚で、慣れです。これから魔法術を使っていればその感覚は掴めるはずです」


「分かりました!」


「さて、先程生命維持が優先されると言いましたが絶対ではありません。本当にその気になれば己の全てを賭けた魔法を使うことも可能なのです。……かつて、本当に己の全てを賭けた魔法を使った者がいました。その者は魔法を使った後、跡形も無く消失しました。覚悟さえあれば、命懸けの魔法を使えるのです」


どこか遠い目をして語るレクター。

すぐに気を取り直して説明を続ける。


「ここからは魔法の応用を教えます」


「あの、先生……」


ヒートが力なく手を上げ、苦笑したような顔をしていた。


「どうかしました?」


「いや、その、さっきからちょくちょく入るシリアスを飲み込む前にパパッと先行っちゃうから気持ちの切り替えが出来てないんですけど」


「それはすみません」


気持ちが込もってない謝罪をするレクターに、ヒートはこういう人なんだと諦めることにした。


「いや、もう、いいです」


「そうですか?では講習に戻ります」

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