プロローグ 人生の終わりに
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4章のプロローグです。
人の寿命の平均は、50年くらいらしい。
勿論実際にはもっと長く生きる人も沢山いるけれど、貧民の中では子供が病気などで次々に死んでいくから、そうなるのだと聞いたことがある。
そして私は、どうやらその死んでいく方に、含まれてしまうようだ。
親がいないから、私がいつ生まれたのかよく分からないけれど、13年か……14年か。
それが私の人生における、全ての時間だ。
全く……酷い人生だった。
孤児の私が、貧困から抜け出すことなんてできなかった。
どんなに努力しても、生活は苦しくなる一方で、無力感ばかりが募っていく。
身体を売ったって、貰えるお金は何故か少なくなっていくし、お腹が減って仕方がないよ……。
その原因については、最近貧民街に来たおじさんに聞いたけど、王様がまともに働かない所為で、国の経済とかが、どんどん悪化しているかららしい。
だから私達がどんなに努力しても、それ以上に環境が悪化していくんだとか。
だけど王様や貴族は、贅沢をやめないみたいだし、本当に狡いと思う。
私だってそんな楽な生活を、してみたかったよ……。
でも私はもう終わりだ……。
お腹が空いて、ふらふらになりながら歩いていたら、うっかり騎士様の前を横切ってしまって、「通行の邪魔をして無礼だ」とかで、左手を斬り落とされちゃった……。
血が沢山流れて、身体が寒くなってくる……。
頭が段々ぼ~っとしてきて、痛みもあまり感じなくなってきた……。
これで……私の人生は終わっちゃうのか……。
…………あれ?
誰か近づいてきた。
もうよく見えないけれど……全身が凄く光っているような……。
天使様が迎えに来たの……?
天国って……本当にあったんだ……。
「おえぇぇぇ……」
また吐いてしまった……。
レイチェルの時もそうだったけど、どうやら新しい身体の記憶に男性経験があると、私のメンタルが拒絶反応を示すようだな……。
でも、久しぶりの女の子の身体だ。
やっぱりしっくりくるなぁ。
名前は……アリゼか。
若くして死ななければならなかったその無念、私が晴らしてやろう。
今までは悪徳な貴族や奴隷商を潰して回っていたけれど、今度はこの国そのものが標的だ。
この戦い、長くなるぞ……!
今回は短いので、いつもの時間にもう一度更新します。