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67/392

25 偉 業

 ブックマーク・☆での評価をありがとうございました!

 60階層の守護者と思われる存在と戦っていたのは、Sランク冒険者のドラグナが率いるクランのようだ。

 ハゴータの姿も見えるが、Bランクの彼らでは、守護者の相手は少々厳しいように見える。


 これはSランクやAランクの実力で、ようやく戦える相手──って感じだな。

 ん~……、これは助けた方がいいのだろうか?

 獲物を横取りした──とか、難癖をつけられない?

 正直言って、関わりたくはないんだけどなぁ……。


 あ、ハゴータが吹っ飛ばされた。

 他にもボロボロになっている者が、結構いる。

 このままでは、死人が出るのも時間の問題だなぁ……。


 仕方が無いなぁ……。

 全体に回復魔法と、防御魔法をかけてあげよう。


「!!」


 ついでに土魔法で、守護者の足を岩でコーティングして、動きを封じる。

 ここまでお膳立てしてあげているのに、負けるなんてことはさすがに無いよね?


 ……って、冒険者達は突然の魔法支援に戸惑っており、なんだか動きが鈍い。

 これ、駄目なんじゃないの?

 あ、いや──、


「今がチャンスだ!!

 この機を(のが)がすなっ!!」


「!」


 ドラグナの指示を受けて、皆は何を優先すべきか思い出したようだ。

 彼らは守護者に対して、一斉に攻撃を仕掛けた。

 さすがはSランク、判断は的確だな。


 ただ、そこからがちょっと長い。

 動きをほぼ封じられている守護者にトドメを刺すのに、10分ほどかかっている。

 この調子じゃ、70階層のゴーレムには絶対に勝てないだろう。

 こいつらにあの装甲を、突破できるとは思えん。


 そしてあの悪魔にエンカウントした日には、全滅するんじゃないかなぁ……。

 事実上このダンジョンって、私以外では攻略不可能じゃね?


 それはともかく、戦闘が終わった彼らは、ようやく私達の存在に気付いたようだ。

 しかし何故ここに我々がいるのか、その理由が分からなくて(いぶか)しげだ。

 まあ、普通は新人冒険者が来られるような場所じゃないのだから、その反応は分からないでもない。


 ここは話が分かるドラグナに説明しておこうかな……と、近づいていったら、


「オイオイオイ、なんでここにてめぇーらがいるんだよ!?」


 ハゴータが突っかかってきた。

 お前はお呼びじゃねーよ!?


「嫌な奴がきたにゃ! 

 帰れにゃ!」


 あ、マルガが私の代弁をしてくれた。

 ナイス!


「なんだと、この……っ!?」


 ハゴータが気色ばんで、私達に剣を向けた。

 脅しのつもりだとしても、それは洒落で済まないと思うんだけどなぁ……。


「よせっ! 

 彼女らには関わるなと、言っておいただろう!!」


 ほら、ドラグナに怒られた。


「で、でもよぉ……」


「お前、俺の言うことが聞けないっていうのか?」


「ぐぬ……」


 ハゴータは反論しようとしたが、ドラグナに(にら)まれて押し黙った。 

 学習しない奴だなぁ……。

 認めたくないものなんだね、自分自身の若さ(ゆえ)の過ちとは……。


 一方ドラグナは、


「君だな、先程援護をしてくれたのは。

 我らがクランを代表して、心から礼を言う」


 と、頭を下げた。

 仲間の為にこういうわきまえた対応ができるのは、立派だと思う。

 ただ、それは日本人的感覚だからそう思えるだけで、この世界の住人にしてみれば、弱腰で情けない姿だと映ったかもしれない。


 事実ハゴータ辺りは、失望したかのような顔をしている。

 彼らからしてみれば、Sランク冒険者が新人冒険者にペコペコしているのは、奇異に見えるのだろうな。


「しかし、一体どうしてここにいるのだ……?

 入り口の扉は閉じているのに……」


「ああ、私達は転移の罠に引っかかって、ここより15層ほど下に送られて、今ようやく帰ってきたところです」

 

「はぁ!?」 


 私が正直に話すと、冒険者達がざわついた。

 ザワ……ザワ……と、なかなかそれは収まらない。

 あれ? また私なんかやっちゃいました?(すっとぼけ)


「馬鹿な……!!

 人類が未到達だった60層に、我々が最初に辿り着いたはずだ……」


 そんな声が聞こえてくるけど、その記録をいきなり15層以上も塗り替えられたのだから、信じられないのも当然だろうな。


 なので──、


「ふざけんなっ!!

 そんなの嘘に決まっているだろっ!!」


「ハゴータっ!!」


 ハゴータがまた突っかかってきて、怒られているし。

 忘れてた……君バカだったんだよね……。


 しかし疑われたままというのも、気分は良くないので、ここは証拠を提示しておく。


「ちなみに、これが70階層の守護者です」


 と、ゴーレムを収納から出して見せつける。


「……こいつは……初めて見るな。

 しかも……俺達では絶対に勝てん。

 どうやら話は事実のようだな」


「ドラグナさんっ!?」


 ドラグナが私の発言を事実だと認めたことで、また冒険者達がざわめく。


「これを……君達が倒したというのか?」


「いや……うちらというか、レイちゃん1人で……」


「1人で!?」

 

 キエルはちょっと恥ずかしそうに答えた。

 ゴーレムに関しては何もしていないのは事実だけど、今のキエルならここにいる殆どの冒険者よりも実力が上だから気にするな。

 それだけ強敵との実戦経験は豊富なんだしね。


 一方ドラグナは……。


「そうか……そうだろうな……

 嬢ちゃんの実力なら当然か……」


 と、妙に納得している。

 この人、私の能力を把握しすぎじゃない?

 

 もしかして鑑定みたいなスキルを、持っているのだろうか?

 だとしたらちょっと欲しいが、さすがにレイチェルの身体を捨ててまでして、欲しいとは思わないな……。


 いや、そもそもおっさんの身体なんて、嫌だ……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] レイさん、色々なネタ的な技を持つですねw でも格好いいかも!
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