24 守護者
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あれから──我らが3姉妹は、上の階層へと続く階段を見つけて、順調に進んでいた。
既に6階層ほど上に到達している。
それにあの悪魔のような面倒臭い敵も、今のところは出現していないので、マルガとキエルのレベリングも順調だ。
そしてまた上の階層に続く階段を見つけて、それを上り切った時──、
「ん?」
今までとは違う、広い空間に出た。
そしてその中心には、人型の像が立っている。
全高が5mほどの、鎧の巨人って感じだ。
ちょっとロボットっぽい。
おそらくゴーレムの類いだな。
索敵には反応は無いけど、近づいたら絶対に起動して、襲いかかってくる奴じゃん!
これは……中ボスのフロアかな?
本来はこいつを倒さないと、先に進めない感じなのだろう。
「……キエルさん、あの装甲は金属っぽいのですが、斬れますか?」
「う~ん、装甲の厚さにもよるけど、ちょっと厳しいかなぁ……」
今のキエルでは倒せないか。
そして、キエルよりも攻撃力が劣るマルガでは、もっと無理だろう。
仕方が無い──。
「ここは私がやりましょう。
少し離れていてください。
階段を少し下りて、身を隠しておいた方がいいでしょう」
「う、うん。
お願いね」
「レイ姉頑張るにゃ!」
「はい、任せてください」
しかしどう料理するかな……。
あのゴーレムっぽいのは生物ではないので、「乗っ取り」が発動しない可能性は高いけれど、それでもあの悪魔の時と同様に、能力の射程外に追い出してからトドメを刺した方が無難だな。
それならば、手早く片付けてしまおう。
私はゴーレムに駆け寄った。
するとゴーレムは、私がある程度近づいた時点で、反応を見せる。
やはり、こいつ動くぞ!
しかも、意外と速い。
だけど、何もさせるつもりはないからな!
私は跳躍する。
そして──、
飛燕●風脚!!
と、跳び蹴りをゴーレムに食らわせた。
その一撃でゴーレムは、壁際まで吹っ飛ばされる。
そして私は「乗っ取り」発動外の距離まで下がってから──、
ブ●イク・●ーク・サンダ──!!
昔、巨大デンキウナギを乗っ取った時に身につけた体内発電の能力を発動し、生み出した大量の電気を、ゴーレムに向かって撃ち出した。
小さな雷の如き電流が、ゴーレムを飲み込む。
身体が金属なら、電気は通すだろう。
そしてゴーレムの身体を動かしている魔力の回路か何かが焼き切れれば、それで終わりになるはずだが……どうだ?
あ、ゴーレムが倒れた。
ちゃんと効いているな。
勝った……ッ! 第3章完。
……だが念の為、ゴーレムに接近して動かないことを確認。
どうやら完全に機能が停止しているようだ。
でも更に念を入れて、ビームサーベルでゴーレムの手足を切断しておこう。
これで仮に再起動したとしても、何もできないはずだ。
ふむ……強度は、さすがに悪魔の皮膚よりもあるな。
これはいい武具の素材になりそうだから、当然空間収納で回収して持ち帰ることにする。
「はい、もう大丈夫ですよ」
「なに今の雷みたいなの……!
レイちゃん、いくつ能力を隠し持っているのさ……」
キエルが驚愕が抜けきれないという顔で、歩み寄ってきた。
「私の技は108までありますよ?」
「マジで!?」
「実際には秘密ですがね。
それよりも、こういう守護者が設置されているのは、ダンジョンの要所だと思うのですよね。
おそらくここは、60層や70層などの区切りとなるような階層なのではないでしょうか?」
「ああ、そうだね。
既に攻略済みの50層でもこういう場所があったという話を聞いたことがあるから、そうなのかも。
ということは、最短だとあと10層くらい上に行けば、人間がいる場所に到達できるってことだね。
……まあ、ここが100層だという可能性も否定はできないけど……」
「60層だといいにゃ……」
さすがにいつも陽気なマルガも、げんなりとしていた。
「いずれにしても、まだ先は長いようですから、今晩はそろそろキャンプにしましょうか?」
ダンジョン内なので、今が本当に夜なのかはよく分からないが、なんとなく。
「そうだね。
疲れた……」
「にゃ……」
そんな訳で私達は、このフロアの入り口にあった扉を抜けて、その前で野営することにした。
扉を蜘蛛糸でしっかりと閉じておけば、そこから襲撃者が来る危険性は無いので、あとは前方の通路さえ警戒しておけば問題は無いだろう。
そして私達は一晩休んで十分に回復してから、再び上層に向かっての探索を再開した。
で、10階層ほど上ると、再び広い空間に出る。
そこでは──、
「誰か戦っているにゃ!」
おそらくは階層の守護者──巨大なネコ科の猛獣の如き怪物と、冒険者が戦っているようだ。
キエルの話だと、50階層ちょっとまで攻略が進んでいたという話だから、有力な冒険者がついに60階層に到達したってことなのだろうな。
しかしここが60階層だとすると、私達は80階層に近いところまで転移させられていたということになる。
普通の冒険者だったら、ガチで詰んでいたわ……。
さて……守護者と戦っているのは、20人ほどの集団だ。
これはパーティーというよりはクランか。
人海戦術でダンジョンを攻略するという、方針を採っているようだな。
効率的ではあるが、ロマンは無いなぁ。
って、なんか見覚えのある顔がいるような……。
面倒事が起きなければいいんだけど……。