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16 違和感

 ブックマーク・☆での評価をありがとうございました!


 んちゃ!

 おらレイ。


 冒険者ギルドで騒動を起こしてから7日ほどが経過した。

 なお、こちらには「曜日」という概念はまだ無いようで、「1週間」に該当する言葉も無い。

 だから、日曜日のように特定の日が休みだという、習慣も存在しない。

 それぞれが休みたい時に休むようだ。


 ……で、あれから特に問題は起こっていない。

 あのドラグナという人が、上手く他の冒険者達を抑えてくれているのだろう。


 そして私達のダンジョン攻略は、28階層まで進んでいた。

 そろそろ日帰りでの探索には、限界がある階層だ。


 一応転移魔法もあるのだが、「石の中にいる」が怖いので、まだダンジョン内では自分達に対しては使っていない。

 精々、宿の前とダンジョンの入り口の前を、行き来する程度である。

 屋外の遮蔽物が無いところなら、失敗する可能性も低いだろう……という判断だ。


 あとは戦うのが面倒臭い時に、敵を地下深くに転移させて、戦闘そのものを回避することに活用している。

 まあ、素材が手に入らないという、欠点はあるけどね。

 

 ともかく、ダンジョン内での転移に関しては、もうちょっと術に慣れてから使うことにする。


 さて、今日もそろそろ帰路につかなければならない時間だが、今日一日のダンジョンの探索は、何か違和感がつきまとっていた。

 なんとなくスッキリとしない感覚が、常にあるのだ。

 だが、その原因がよく分からない。

 

 その所為か、私の注意力もちょっと散漫になっていた。


「レイ姉、敵が3体来たにゃ!」


 おっと、気を抜いていたら敵とエンカウントした。

 すぐに気合いを入れ直さなければ……と思ったが、現れた敵の姿に、私は思わず唖然とした。


「ペ……ペンギン……?」


 それは体高が3m以上ある、巨大なペンギンだった。

 なんでこんなダンジョンの地下深くに、ペンギンがいるんだよ!?

 

 いや、今更な話か……。

 今までもカエルやクマ、オオカミ、ウサギ等々……と、本来は大自然の環境の中で生息しているはずの動物と、数多くこのダンジョン内で遭遇してきた。


 しかしそれでもこのペンギンは、今までで1番特異な存在だな。

 取りあえず、睡眠の魔法で無力化しておこう。


 ラ●ホー!

 

「おお……さすがレイちゃん。

 ところでこれ、ペンギンって言うの?

 うちも初めて見る……鳥……なのかな?」


「美味しそうにゃ」


マルガの言う通り、他の魔物から比べれば確かに美味しそうだが、前世での「可愛い生き物」というイメージがある所為で、食べるのはちょっと抵抗がある。

 

「はい……本来はもっと寒い地方の海にいるはずなんですがね。

 どうやってここまで来たのでしょう?」


「詳しくは知らないけど、このダンジョン内に召喚の魔方陣がいくつも設置されていて、色んなところから色んな動物や魔物が呼び寄せられているらしいよ」


「……つまりその魔方陣を壊したら、敵が出なくなるのでは?

 探索が楽になります」


「素材が取れなくなるから、他の冒険者達から怒られるよぅ。

 まあ、その魔方陣はダンジョンの一部みたいだから、壊しても勝手に修復されるみたいだけどね」


「ああ……そうなのですか」


 ここにペンギンがいる謎は判明した。

 だが、誰がそんな召喚陣を設置したのか──という、新たな謎が生まれた。

 まあ、考えても答えなど出てこないが。

 

 さて……このペンギンの素材としての価値は、食肉としての需要がありそうだけど、それ以外では油か。

 前世の世界でもかつては油を取る為に、ペンギンを乱獲していた時代もあったという。 

 そしてその捕らえたペンギンから油を搾り取る為に、「ペンギンを蒸す機械スティーム・ダイジェスター」というものもあったらしい。

 

 ……可愛い外見だからちょっと可哀想だけど、素材としてはそこそこ稼げそうなので、サクッと狩ってしまおう。


「マルガ、キエルさん、トドメを刺してください!」


 と、危なげなく戦闘は終わった……というか、戦闘にすらなっていないな。

 この調子なら、もっと強敵が出現する下層に行った方が、稼げそうだ。

 とは言え、段階を踏んで攻略を進めなければ、思わぬ落とし穴にはまるということも有り得る。


 ほら、ゲームでも序盤で手に入ったアイテムが、終盤の攻略に必要になる……なんてこともあるじゃない?

 それに宝箱を取り残すのは、なんだか気持ち悪いし。

 いや……このダンジョンで、宝箱は見たことが無いけど……。


 マップは全部埋めていくのが理想だ。


「それでは……このペンギンを収納したら、そろそろ帰りますか?」


「ああ、そうだね」


「それでは……っと」


 私はペンギンの死体を空間収納に収める。

 その時──、


「……?」


 軽いめまいが、私ちゃんを襲った。

 そしてよろめいて、後退した際に、何かを踏んだような感覚が──。


 カチっ?


「あ」

 

「え?」


「にゃっ?」

  

 やばっ。

 やらかしたと思った瞬間には、私の身体を浮遊感が襲った。

 これ、空間転移の罠だっ!!


 ちょっ、「石の中にいる」は嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──っ!!

 入院中の家族は持ち直したけど、この先どうなるのか分からない状況なのは変わらないので、今のうちに可能な限り毎日更新(日曜日除く)を続けます。

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