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13 納品をしよう

 ブックマークありがとうございました。

 ダンジョンから帰還した我らが「3姉妹(ノルン)」は、冒険者ギルドの素材買取カウンターに来ていた。


「ここで素材を全部出していいのですか?」


 キエルに問う。


「いや、ここで手続きしてから、解体場に持っていって、そこで査定ね。

 解体場が満杯の時もあるから、その時は倉庫に持っていけって言われる。

 その場合は、査定に何日かかかる場合もあるよ。


 そして査定が終わったら、このカウンターで支払いをしてくれるの。

 今日は沢山狩れたから、楽しみだね」

 

「なるほど」


 そんな訳で、手続きしてから解体場の方へ行った。

 そして、戻って来た。

 1時間ほど待って、結果発表~!


「オーク14匹に、ジャイアントトード2匹、グレーターウルフ1匹に、グリズリー1匹、ヒュージビートル5匹、ファングラビット11匹…………!!」


 係員が読み上げるそれを聞いた周囲が、ざわついている。

 納品した素材が、常識外れの量だったようだ。


 どうやら私の空間収納の容量は、かなり大きいらしい。

 この辺は、魔力の大きさに依存する感じなのかな?

 実際、低ランク冒険者だと、精々オーク数体を収納するので限界らしいし、マルガに至っては、ちょっとしたカバン程度しか物が入らなかった。


 だから収納の容量が少ない冒険者は、魔物を倒してもその全身を持ち帰ることができないので、金銭的な価値が1番高い部位だけを切り取って、後は泣く泣く残していくことが多いという。

 基本的にはダンジョン内での解体作業は、血の臭いで魔物を呼び寄せるので推奨されていないが、貴重部位の切り取りに関しては冒険者の生活にも関わるので、ほぼ黙認ということらしい。


 だけど私の空間収納の容量は、今のところ限界が見えていないので、その辺を気にする必要はなさそうだ。

 たぶんあの恐竜でも、丸ごと入るんじゃないかな?

 これを利用すれば、金儲けの手段はいくらでもあるぞ。

 

 で、その大容量を活用できるだけ大量の魔物を狩れるということは、それだけ実力もあるということでもある。

 私達は冒険者としても、一目を置かれることになるだろう。


 さて、今回の稼ぎである。


「合計で、金貨6枚と銀貨7枚で買い取らせて頂きます」


 よし! 日本円換算で約31万5千円ってところかな。

 係員さんから告げられた査定額に、私は内心でガッツポーズをした。

 1日の稼ぎとしてはかなりの額だ。


 3人で分配しても、1人10万円ちょっと。

 しかもその気になれば、まだ収入増を狙える。

 この調子なら、一般家庭の平均年収なんてあっという間だろう。

 近いうちに家を買うことも考えよう。


「それと、おそらくランクも上がると思いますので、後日お知らせいたします」


 お、もう上がるのか。

 ギルドに納品した素材毎に、ランク上昇の為のポイントが加算されるようだ。

 しかしランクが上がっても、なんかメリットはあるのかな?


 勿論、ランクが高ければ、それだけ能力が高いという評価になるし、貴族などの権力者から破格の条件で仕事を依頼されるということもあるらしいが、私は貴族にはいいイメージが無いからなぁ。

 できればお近づきにはなりたくない。

 

 それに現状では、ダンジョンに潜っている方が稼ぎは良さそうだ。

 まあ、ダンジョンが無い地域で活動するのならば、ランクは高い方が有利なのかもしれないが……。


「それでは、宿屋に帰りましょうか」


 私達はご機嫌な気分で、ギルドを後にしようとした。

 さあ、宿でお風呂だ~。


 しかし──、


「ねえ、君達。

 僕達とパーティーを組まない?」


 何処かのバカが、声をかけてきた。

 若い男だけの、4人組のパーティーのようだ。


「は? 嫌ですが」


 このタイミングで声をかけてくるなんて、完全に金目当てじゃん。

 バカなの? 死ぬの?

 そもそも昨日、私達が冒険者の資格を得る為に引率を頼んだら、すげなく断ってきた連中じゃねーか!


「そんなこと言わずにさぁ。

 ダンジョンじゃ戦力が多い方が生存力が上がるし、俺達と一緒の方が有利だと思わないかい?」


「思わない」


「ないにゃ」


「ありません」


 私達3人の意見は一致しているようだ。

 下心しか無い連中の話なんて、誰が取り合うものか。

 キエルも私も、男達の身勝手にはうんざりしているのだ。


 私達は彼らを無視して、その場を去ろうとする。

 すると男達の1人が、


「ちょ、待てよ」

 

 私を引き留めようと、肩に掴み掛かろうとしてきた。

 その瞬間、私の背筋にざわりと怖気(おぞけ)が走る。

 そして男に触れられる前に、その手を掴み──、


「触らないでくださいっ!!」


「ごふっ!?」 


 そのまま反射的にぶん投げてしまった。


「ちょっ、レイちゃん、大丈夫!?」

 

「あ……!」


 床に叩きつけられた男は、床板を突き破り、半分埋まったような形になっていた。

 乗っ取りが発動していないから、死んでこそいないが、ちょっとヤバイ状態だな。

 こっそり回復魔法をかけておく。


 それにしても、あの感覚……。

 やっぱりこの身体(レイチェル)は……男が怖いんだな……。

 肉体レベルで、トラウマが染みついてやがる……。


「おまっ、この、何しやがる!?」


 ぬぅ……男の仲間達が騒ぎだした。

 うるさいですね……。


「じょ、女性の身体に、許可も無く触れようとしたのがいけないのです。

 痴漢……行為ですよ……」


 まあ、だとしても過剰防衛だったかもしれないが、こういうのは譲歩した方が負けだと見られることも多い。

 この異世界はまだまだ「力こそ正義」という意識の者が多いようだし、その中でも冒険者は特に荒くれ者揃いだろう。

 その中にあっては、「舐められたら負け」というヤンキーのような精神が必要だと思う。

 そうしなければ、弱みにつけ込まれることになりかねないのだ。


 ここは意地でも自身に正当性があると、言い張っておこう。


「な……何が女性だ!

 まだ男か女か分からない体型をした、子供(ガキ)じゃないか!」


「は……!?」

 

 聞き捨てならぬ言葉であった。

 今日は更新予定ではなかったのですが、いつ更新を休まなければならなくなるのか分からない情勢なので、更新できる時にしておきます。もしもの時は、1週間くらい休むことになると思うので……。

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