10 ダンジョン突入
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ダンジョンを取り囲む壁は、ダンジョンから魔物が出てきて町に入り込むのを防ぐ為のものらしい。
高さは精々10mくらいか。
しかも上の方は屋根で塞がれているらしく、壁の向こうから超大型巨人が顔を出すなんてことは無いようだ。
まあ、垂直の壁を登ることができる生物なんていくらでもいるから、こうやって完全に密閉しておかないと危ないのだろうな。
ただ、昼間はダンジョンへ入る冒険者の為に、入り口の門が開かれている。
我らが「3姉妹」はその門のところで、簡単な身元確認をして中に入ることとなる。
子供の私とマルガは、引率役の冒険者の同伴を確認されて、ようやく入場の許可を受けるのだ。
そういえば、冒険者ギルドで発行された「冒険者カード」は、こういう時の身分証明書になるけど、偽名で登録しても有効なのだから、ザルみたいなものだな。
なお、カードに向かって「ステータスオープン」とか唱えてみても、やっぱり自分の能力値やスキルは確認できなかった。
そういうのを確認して成長を楽しむのも、異世界の醍醐味なのに残念……。
さて、いよいよダンジョンに突入する訳だが、その入り口は自然にできた洞窟のように見えた。
ただ、冒険者達が設置したのか、所々に照明があるので、中はそんなに暗くはない。
「1階層はもう探索され尽くしていて、何も無いよ。
魔物もほぼ駆逐されているから、一気に下層へ行くね」
そんな訳でキエルの案内で、第2階層へ進むことになった。
第1層はそんなに広くはないようで、すぐに2階層への入り口に辿り着く。
「階段……誰が作ったのですか?」
「さぁ……最初からあったっぽいよ?」
つまり冒険者達が設置した訳ではない……ということか。
階段を下りると、第1階層とは違い、壁や床はレンガか何かで覆われて補強されていた。
しかも、それらがほんのりと光を放っている。
魔法の材質か何かか?
階段の存在といい、いよいよ人工物っぽさが出てきたな。
おそらく上の階層は、自然の洞窟として偽装されていたということなのだろう。
つまりここは、秘密基地的な目的で作られた可能性があるということだ。
ただし、誰が何の目的でダンジョンを作ったのか、それは未だに全く不明らしい。
「なにせ、最下層に到達した人が、まだいないからね~」
「ちなみに、何階層までの攻略が進んでいるのですか?」
「50階ちょっとだったかな?
行って帰ってくるだけでも、何日もかかっちゃうだろうねぇ。
まあ、うちらはまだパーティーを組んだばかりだし、今日は日帰りで行けるところまでだね」
「そうですね、慎重に行きましょう。
今日はマルガに索敵をお願いします。
罠にも気をつけるのですよ?」
「え……大丈夫なの?」
「任せてにゃ!」
キエルは幼女に任せることに不安を感じているようだが、狩りの経験があるマルガの索敵能力は侮れない。
まあ、罠を見破るという経験はあまりないだろうから、心配が全く無いとは言わないが、いざという時は、私がフォローすればいい。
まあ、私も罠に対処した経験は、あまり無いけどな!
ともかく私達は、ダンジョンの中を進む。
通路は幅が10m、高さが10mくらいで、なかなか広い。
それが延々と続いていて、しかも何十階層もあるというのだから、広大な迷宮だわ。
しかし特に何も無いまま、また階段に辿り着いてしまった。
意外と退屈だな……。
「第3階層から、魔物もよく出てくるようになるよ。
気をつけてね」
お、いよいよか。
第3階層というと、某ゲームならジャイアントトードが出てきたと記憶しているが、駄女神がいれば、食わせて囮に使えるのになぁ……。
そうだ! あの女神は、いつかカエルに食わせよう。
恨・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か!
……そんなことを考えていたら、マルガの索敵に反応があったようだ。
「来たにゃ!
なんか、5体より多いにゃ?」
おしい、正確には7体だ。
だが、距離はかなり離れているので、余裕で迎撃できる。
「マルガ、弓の準備を。
接近される前に、1体を残して倒してください」
「了解にゃ!」
「キエルさんは、そのまま待機でいいと思いますよ。
ここは改めて、私達の実力を見せましょう」
「そう? でも危なくなったら、うちも参戦するよ」
まあ、必要無いと思うけどね。
それよりも彼女には、私の能力の事情を把握してもらうことが重要だ。
そうこうしているうちに、敵が近づいてきた。
が、マルガの弓矢によるヘッドショットで、次々に数が減っていく。
さすがマルガ!
って、あれオークじゃん!
エルフの天敵で薄い本御用達の、ブタ鼻亜人だ。
おお……初めて見た。
というか、この異世界は人型の魔物自体が珍しいようだな。
今のところ、他にはゴブリンしか見たことがない。
いずれにしてもオーク達は、私達を捕らえて薄い本展開に持ち込む──とか思っていたのだろうから、慈悲をかける必要は無いな。
なんでもう大きくなっているんだよ!(オークの股間を見ながら)
マルガ、どんどん殺っちゃって!
そして程なくして、
「レイ姉、もういいにゃよ」
「はい、ご苦労様です」
オークは残り1体だけとなった。
その前に、私は立ちはだかる。
仲間が全滅した所為で、オークは狼狽えていたみたいだが、私が近寄ってきたのを見て、無警戒に飛びかかってきた。
身長が自身の半分程度の小娘が相手だと侮ったようだが、仮に私が弱かったとしても、マルガに倒されるだけだと思うんだけど……。
仲間の末路をもう忘れたのかな?
本来ならオークには逃走以外の選択肢は無いはずなのだが、そのことに思い至らない辺り、かなり知能が低いようだ。
「それでは、私の実験台になってもらいましょうか」
私はオークの攻撃を躱しざまに、ビームサーベルを形成してオークの手首を切り落とした。
「ブモォォォっ!?」
オークは激痛に悶え苦しむ。
そんなオークに対して、昨日習得したばかりの魔法を試してみる。
さあ、回復してやろう!
これから色々と試してみるから、覚悟してね、オーク君。
活動報告にも書いていますが、家族が入院中の為、更新が不定期になる可能性があります。
次回は明後日の予定ですが、予定は未定。