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7 パーティーの結成

 ブックマーク・☆での評価ありがとうございました。


 そしておかげさまで、1000ポイント達成しました。感謝の極み。

「ちょっと、ちょっと待って!!」


「にゃ?」

 

 私達が食堂から出ようとすると、あの()が追いかけてきた。


「あなたは……」


「あ、うちはキエル・グランジ。

 さっきはうちの為にありがとう。

 だから、弁償費用の半分は、私にも払わせてよ」


「それには及びませんよ。

 あの男の振る舞いには、私も頭にきていたので……。

 我々も奴隷商に売られた経験があるので、あのような低俗な噂で人を追い込むような真似は、看過できないのですよ……」


「そ……それは……」


 私の言葉で、キエルは「なんて答えて良いのか分からない」という顔になった。

 彼女の場合はゴブリンによる陵辱未遂で済んでいるが、レイチェルはガチで陵辱されているから更に深刻だ。


「全ては私達の為にやったことです。

 どうかお気になさらずに」


「そ、それじゃあ、うちの気が済まないし!

 何かお礼をさせてよ!」


 そう言われても、この子は勘が鋭そうだから、私の正体がバレそうで怖いんだよなぁ……。

 あまり関わるのもどうかと……。

 ……いや、でもこれは渡りに船か?

 

「そうですね……。

 ああ、そうだ。

 私達は年齢制限の所為で、冒険者の資格を得られなかったのですが、引率の冒険者とパーティーを組めば、許可されるそうです。

 よかったら、私達とパーティーを組みませんか?」


「え……でもいいの?

 うち、噂の所為で、さっきみたいな騒動が結構多いんだけど……

 それにパーティーを組んでくれるまともな(・・・・)人が他にいないから、人員不足で苦労するかも……」


「構いませんよ。

 私達も他人事(ひとごと)ではないので……。

 それに私達の実力は、先程マルガが見せた通りですので、力が足りなくて苦労する……ということはないでしょう」


「そ、そういうことなら、こちらからもよろしくお願いするよ!」

 

 私の申し出はキエルにとっても渡りに船だったようで、彼女は飛びつくように承諾した。

 よし、これでダンジョンに入れるようになるぞ。

 それに可愛い女の子(キエル)とパーティーを組めるのなら、百合百合する機会も増えるかもしれない。


 ようやく転生した当初の目的が達成できるという訳だ。

 ……本当に、ようやくだ!


「それでは、早速登録の手続きをしましょう」


 そんな訳で、先程の係員のところへ行く。


「いきなり暴れてくれたわねぇ……。

 でも、あのハゴータに勝てるようなら、実力的には問題無いし、許可するわ。

 この登録用紙に必要事項を書いてね」


「……あの男は、そんなに強いのですか?」


「一応Bランクだからねぇ……。

 その上には、AとSしかないから、この町でもトップクラスなのよ。

 素行はあまり褒められたものではないけどね……」


 ランク制度は、異世界の冒険者ギルドではお約束だよね。

 あの程度でBなら、マルガでもすぐになれるし、私ならSは確実だな。


「ちなみに、キエルさんは?」


「うちはCだよ」


「その若さでCランクは結構有能よ。

 まだ冒険者でもないのに、Bランクに勝ってしまう子には、ピンとこないかもしれないけれど……。

 あ、いくら実力があっても、最初はFランクからのスタートだから」


 ふ~ん、あのゴブリンに手も足も出なかった娘が成長したものだ。

 あと、最初は最低ランクからのスタートもお約束だなぁ。

 まあ、飛び級で成り上がってみせるさ。


 それはさておき登録用紙には、名前や年齢などの簡単な個人情報と、パーティーメンバーを書き込むだけで良いらしい。

 戸籍レベルの情報を求められたら、詰んでいたわ。

 まあ、この異世界には戸籍制度はまだ無いようなので、たとえデタラメを書いてもギルド側でそれを確認する方法が無いのだろうけれど。


 それに事実しか書いてはいけない……なんてことになれば、私のような後ろ暗い経歴の者は、職に就くことが不可能になるから、こういう穴だらけの制度はありがたくもある。

 結果的にこの社会では、人手不足の解消にもなっているのだろうな。


 なんにしても異世界転生物によくある、魔法とかでステータスを確認したりするようなこともないようだし、偽名の登録でも問題なさそうだ。

 私の名前は……レイチェルの「レイ」は確定として……。

 う~ん、真っ先に思いついた「レイ・セ●ォー」じゃ、実在するキックボクサーそのまんま過ぎるから、「レイ・ヤナミア」という、何処かで聞いたことがあるものでいいか。

 

 そしてマルガも同じ姓にして、義理の姉妹ってことに……ってのは、この世界の常識的に有りなのだろうか?

 人間と獣人だから、怪しまれるかもしれないなぁ。

 痛くもない腹を探られたくもないし、無難に別にしておくか。


「マルガ・リタ……と」


 テキトーだが、どうせ偽名だし覚えやすいのが1番だ。

 そもそもマルガが、前世の世界では「マルガリータ」や「マルガレーテ」とかの愛称だったはずだから、こちらでも同じだという可能性はある。

 つまり幼かったマルガは、愛称を自分の本名だと勘違いして覚えていたかもしれないということだ。

 

「はい、書き終わりました」


「……問題は無いようですね。

 では、登録料は、1人銀貨2枚です」


 まだお金を取られるの!?

 知らなかった……そんなの……。

 服や装備、魔法書等を買い揃えて、更に弁償もして、今日だけで1ヵ月は生活できる金額が消えたぞ……。


 これは冒険者家業で、頑張って稼がないとな!

 当初の予定では、キエルはマルガがより先に仲間になるはずでした。マルガの登場は3章のどこかで……程度にしか考えていなかったのですが、2章終盤の奴隷解放の展開が、マルガ登場に丁度良かったので……。


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