エピローグ7 別れと出会いを繰り返し
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今回が実質的な最終話です。
深い深い眠りから、私は目覚めた。
……が、その時の私は、自分がどういう状態になっていたのか、よく分からなかった。
身体の大部分を失っていたようだし、何よりも長く眠り過ぎて記憶も曖昧になっている。
取りあえず人の姿になってみたら、周囲の人間に驚かれた。
ああ、これができる同族って、私以外に見たことないもんね。
でも、人の姿をしているから──と、一応意思の疎通をとろうとした人間達は、偉いと思うよ。
おかげで私も、色々と情報を得ることができた。
私を目覚めさせた人間達は、滅びた古い都市の研究をしているチームらしい。
どうやら私は、大量の瓦礫の下敷きになって眠っていたようで、それを彼らが発掘したということになる。
人間達にしてみれば、見た事も無いような物体が休眠していたら、まあ研究用として運び出すよね。
私が出土した周囲の地面は、物凄い熱で焼かれていたらしく、今でも雑草すらまともに生えないそうだ。
瓦礫の下とはいえ、そこで私が燃え残っていたのは、奇蹟だと言われた。
そしていつ頃から私が埋まっていたのかというと、現在から200年ほど前ってことになるようだ。
ああ、そうか。
私はあの戦いで負けて……。
結果、随分と寝坊をしてしまった。
みんなには、大変な心配をかけてしまったかな?
だけど人間達が滅んでいないってことは、あの戦いは我々の勝ちだったのだろう。
よかった、よかった。
で、私はこの研究所で、色々と検査を受けることになった。
実験動物みたいな扱いはちょっと困ったけど、今は私も本調子じゃないので、強引に逃げだすのも面倒臭い。
それに3食出してもらえるし、検査が無ければ昼寝も自由なので、案外悪い生活ではなかった。
そういえばこの前、テレビの取材を受けたな。
そうか……もうテレビも実用化されたんだ。
確かに周囲には、私は直接見たことはなかったけれど、知識としては知っている文明の利器がチラホラと目に入る。
あれから結構文明も進んだのだろうな……。
その過程が見られなかったのは、ちょっと残念だ。
それに今現在、どれだけ知り合いが生き残っているのだろうか……?
それを確認するのが怖い。
だから私はこの研究所にあえて留まって、外の世界を見ようとしないのかもしれないねぇ……。
だけどある日、それは唐突に訪れた。
「いきなり面会だなんて、困りますよ。
それもこんな大勢で!」
「これ、国王と総理大臣が発行した許可証。
文句ある?」
「は……これは確かに!?
失礼しました!」
部屋の外が騒がしい。
そして突然、ゾロゾロと部屋に入ってくる者達がいた。
「君達は──」
懐かしいようで、そうとも言い切れない顔ぶれ。
そのほとんどは、私の記憶とは微妙に違うものだったからだ。
シス……はなんか老けた?
リゼは、また大人っぽくなったね。
レイチェルは、相変わらず色んな意味で小さいなぁ……。
アリタは更に胸が大きくなっていない?
シルビナともまだ仲良しなんだね。
ケシィーは相変わらずメイド服だ。
……え~と、この美女はもしかしてリーザ?
育ったなぁ……。
って、なんで私がもう1人いるの!?
いや……そういえば、あの光線に貫かれた瞬間、分身を生み出したような……。
そして……クラリス母さんが2人……。
ああ、もう1人は母さんの方だね。
でも、なんで2人ともメイド服なの……?
ともかく、みんな元気そうで何よりだ。
しかも私のことを忘れることなく、こうして集まってくれるなんて、嬉しいじゃないか。
「やあ、みんな久しぶり」
そんな私の声に、母さんが皆を代表して答える。
「おかえりなさい、アイ」
後に母さんは言った。
悲しい別れも沢山あったけど、こういう嬉しい出会いもあるから、人生はやめられないんだ──って。
だから私達の物語は、まだまだ続いていく。
まだ女神関連の蛇足が残っていますけどね。それと初期プロットも公開予定なので、後2回で完全終了となるはずです。




