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エピローグ5 歴史書の中に見る人々4 そして……

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●ヘンゼル

 魔王軍四天王の巨竜。

 クバート帝国皇帝ガイガンを操り、ローラント王国へと侵略戦争を仕掛けさせることで、人間同士の潰し合いを目論(もくろ)んだととされる。

 その目論見が失敗した際には自らが帝都を襲って甚大な被害を与えているが、勇者ココノエ討伐の為に丁度帝国へと訪れていた勇者アリゼナータによって討伐された。

 ただ、アリゼナータ自身は「私じゃない」と否定しており、真相は謎のままだ。 



●魔王

 500年ほど過去に、王国と戦争状態になった魔族を支配していた当時の王。

 勇者によって倒されたとされるが、当時の資料はほとんど残っていない為、詳細は不明。

 だがそれは、資料が失われるほど、人類の文明が大きな打撃を受けたことの証明でもある。

 


●マルガ・ヤナミア

 クラサンドのダンジョンを中心に活躍していた猫型獣人の冒険者であり、10歳の時に最年少でSランクの資格を得た。

 彼女は「聖母」と名高いキエル・グランジと同じパーティーであったが、キエルが冒険者を引退して孤児院の経営を始めた後も、冒険者を続けつつ彼女に寄り添って支え続けた。

 ただ、猫型獣人の多くがそうであるように、彼女も死期を悟った際に人知れず姿を消したという。

 どうやら1人でダンジョンに入り、そのまま帰らなかったようである。

 最後まで冒険者であり続けた彼女は、享年68歳だった。

 


●マンゲツ・シラズ

 クバート帝国が召喚した勇者で、ローラント王国との戦争の際に戦場へ姿を現した。

 徒手空拳で戦うことを得意としており、彼1人でローラント王国軍が壊滅に追い込まれかねないほどの実力者であったが、勇者アリゼナータが一騎打ちによって彼を打倒し、被害を最小限にとどめた。

 


●メディナッテ・ログ・クバート

 クバート帝国第72代皇帝。

 魔王軍四天王ヘンゼルの襲撃によって皇族のほとんどが死亡した為、まだ少女であった彼女が皇帝となったが、実質的にはローラント王国の傀儡(かいらい)だったとも言われている。

 なお、未婚にもかかわらず、3人の子宝に恵まれているが、相手が誰だったのかは一切公表されていない。

 ただ、子供の髪の色は、メディナッテの側近である勇者カイリと同じ黒色であった為に、様々な憶測を呼んだ。

 81歳で病死したが、前年に亡くなったカイリの後を追うようだったという。

 


●ユー・ゼファーロリス

 魔王クジュラウスに反旗を(ひるがえ)した魔族のリーダーで、クジュラウス打倒後に魔王となった。

 彼女はローラント王国に対してクジュラウスの悪行を謝罪し、賠償にも応じている為、人間に対しては融和派だと思われるが、「いらぬ軋轢(あつれき)を生じさせたくない」と、人間との交流は極力避け、魔族を率いて新天地へ旅立ったとされる。

 そのまま行方は分からなくなっていたが、近年になって南西の大陸に魔族の国を築いていることが発覚し、新たに交流が始まろうとしている。

 なお、彼女の正体は巨大なスライムだとの説もあるが、似たような噂のあるアイ辺境伯との関係も気になるところだ。

 


●リーザ・アトロポス

 ナウーリャ教の教祖。

 当初の教団は信者を食い物にした犯罪集団であり、そんな教団が信者集めの為に目を付けたのが、女神や精霊のお告げを聞く能力を持っていたとされるリーザであった。

 彼女は幼少時から教団幹部の傀儡として過ごしていたが、ある時女神の化身たる聖女が現れ、教団幹部に天罰を下したことで自由の身となった。

 その後、教団には大幅な改革が(ほどこ)され、その活動は民衆の生活向上に大きく寄与したという。

 ただ、それを主導したのはリーザではなく、極めて能力が低くかった彼女は修行とばかりに開拓地へと左遷されられた名ばかりの教祖だったそうだ。

 しかしハーフエルフである彼女は、100歳を超える頃には名実ともに教祖に相応(ふさわ)しい能力を身につけ、魔族との戦争でも目覚ましい活躍をしたと言われている。

 そして現在も生き続ける彼女は、教団から聖人の認定を受けた生ける歴史の生き字引なのだが、何故(なぜ)か聖女の正体など、話したがらないことも多いという。

 


●リコ・キンガリー

 リゼ・キンガリーの孫だが、シス・ノーザンリリィの孫だという説もある。

 人間と天狐族のハーフで、ナナ・キンガリーと双璧をなす可愛らしさを誇っていたと後年に伝えられているが、彼女は人前に出てくることが少なかった為、ナナほどの知名度と人気は得られなかったようだ。 



●リゼ・キンガリー

 シス・ノーザンリリィと並ぶ天狐族系獣人の祖。

 シスの姪だったと言われているが、天狐族同士ならば女性だけで子を作ることも可能であり、夫婦のような関係だったのではないかとの説もある。

 ただし単独でも子を産むことも可能だったらしく、実際のところは分かっていない。

 また、44代ローラント国王レイチェルや、勇者アリゼナータ、アイ辺境伯、ケシィ・キンガリーと義姉妹の契りを結んでいたと言われており、彼女らと協力して魔族との戦争を勝利に導いたとされる。

 なお、現在も生存していると言われているが、その行方は分かっていない。



●リチア・トラーフ

 元Aランク冒険者で、ノルン学院の創設メンバー。

 非常に子供好きで、体育や冒険者の技術を子供達に対して熱心に指導していたという。

 また、クラリス・ドーラ・ローラントが父王(ふおう)を討つ際に、当時リチアの教え子だったカーシャ、キャスカ、コロロという(のち)の女王親衛隊メンバーも参戦しており、彼女も子供達の護衛をしていたというが、女王とどのような繋がりがあったのかは分かっておらず、その後も公式に国に関わったという記録は無い。

 ただ、キャスカとは恋人同士であったらしく、その人生の最後まで一緒に暮らしていたと言われている。



●リュミエル・ロナイ

 ロナイ男爵家長男だったが、クラリーゼ学園在籍中に廃嫡された。

 その理由は公表されておらず、彼の行方も分かっていない。

 ただ、後のメイド隊の中に、彼と同名で似た容姿のメイドの姿が目撃されている為、関係が疑われている。

 また、そのメイドはニナと同様に歴史の中に何度も出てくる為、襲名制だったとの説もあるが、一説には吸血鬼(ヴァンパイア)だったのではないかとも言われている。

 


●レイ・ヤナミア 

 クラサンドで活躍したSランク冒険者で、キエル・グランジやマルガ・ヤナミアが所属していたパーティー「3姉妹(ノルン)」のリーダー。

 マルガの育ての親だったとも言われている。

 まだ十代前半の少女だったにも関わらずその能力は極めて高く、クラサンドを襲撃した魔王軍四天王カシファーンを撃退したのは彼女で、勇者の再来だったのではないかとも噂されていた。

 ただ、魔族との戦いの直後、サンバートル・キンガリー子爵の暗殺容疑をかけられ、処刑されたとされているが、実際は生き延びていて、後に王都でノルン学院の創設に関わっていたのではないかとの説もあった。

 事実、キエルとマルガにとってはキンガリー家はレイを処刑した(かたき)のはずだが、それにも関わらずレイの処刑直後から、ノルン学院を創設したアリゼを始めとするキンガリー家との結びつきが強くなっており、キンガリー家からはキエルの孤児院へ多大な援助も行われている。

 その為、出生に謎の部分が多いアリゼの正体については、レイだったのではないかとの憶測も呼んでいた。

 


●レイチェル・ドーラ・ローラント 

 44代ローラント国王であり、先代国王クラリスの政策を受け継いでその路線を盤石なものとした。

 また、魔族との戦争時は王太后であったが、実質的な国のトップとして対応にあたり、自らも最前線に出て数百万もの魔族を自身が操る超魔法で焼き払ったとされる。

 そんな彼女はクラリスの養女で出自は不明であるが、実母が出奔した公爵令嬢セリスであり、レイチェルはクラリスの従妹(いとこ)にあたるのではないかとの説も根強い。

 また、容姿が前述のレイ・ヤナミアと酷似していたとの証言もある為、その関係も疑われている。

 いずれにしても、クラリスの実弟エリリークを王配に迎えていることから、王族直系の血筋は絶えることにはならなかったが、本質的には同性愛者だったと言われている。

 なお、彼女はその強大な魔力で老化を止めていたと言われ、常に幼い少女の姿のままだったそうだが、現在もまだ生存しているのではないかとの都市伝説も存在するという。

 


●レイリー・ドーラ・ローラント 

 48代ローラント国王。

 当初は王位を継ぐ予定ではなかったが、48歳の時に病死した兄の代理として急遽即位し、後継者が育つまでの約20年間王座を守った。

 祖父エリリークを(なら)って常に女装をしていたと言われているが、祖父ほどのクオリティではなかったという。

 そもそも、その女装は彼に近づく女性()けだったとの説もあり、更には彼に言いよる女性には不運が訪れる──と、何者かによって噂が流されたこともあったそうだ。

 その所為か生涯独身だったというが、それが誰にとって都合が良かったのか……。

 結果、妹エリカとの禁断の関係も噂されている。




「はぁ~……ようやく読み終わったわ」


 私はフローネ・ドーラ・ローラント。

 ローラント国の王女よ。

 今は議会制民主主義になったこの国だけど、象徴としての王室は残っているのよね。


 その王室に生まれた私としては、教養として国の歴史やご先祖のことを知っておく必要がある訳で……。

 だから人名辞典を読んでいたのだけど、主立った者だけでも凄い数で大変だったわ。

 というか、うちの先祖には、色々と謎や変人が多すぎないかしら?

 特にレイリー様とエリカ様のご兄妹(きょうだい)には、インモラルな闇を感じるわ。


 あと……歴史上に何度も名前が出てくるメイドって、私にも心当たりがあるのよねぇ……。


「姫様、お茶を煎れましたよ。

 ご休憩になされては?」


 ほら、噂をすれば影よね。


「ありがとう、クラリス」


 私の世話役のメイドも、かつての女王と同じ名前で、しかも私とも容姿が似ていて……。

 明らかに王族の血が入っているように、見えるのよねぇ……。

 まさか本人だとは思わないけれど……。


「はずれですね。

 私はクラエスの方です」


「あれっ!?」


 しかも双子だからややこしい。 

 新連載を始めました。


 百合転生~この『百合』というギフト、世界の半分を支配できるよね?

 (https://ncode.syosetu.com/n2735hs/)


 今度はTS要素は無しだと思われ。読んで頂ければ幸いです。

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