エピローグ2 歴史書の中に見る人々1
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今回は登場人物紹介のようなものですが、本作のキャラクター設定の紹介ではなく、あくまで作品世界の一般人からの認識が書かれています。
それ故に事実ではないことや、物語本編では言及されていないこと、本編の未来のことなども書かれていますので、エピローグの一部としてお読みいただければ幸いです。
※『ローラント王国人名辞典』より抜粋。
●アイ・ノーザンリリィ
ノーザンリリィ辺境伯を務めた、最初で最後の人物。
領都周辺は彼女が開拓から始めて大都市にまで発展させたが、魔族との戦争の際に焼失しており、彼女自身も戦死したとされている。
戦後、完全に焼け野原となった領自体の復興も後回しにされ、いくつか再建された町も、サンバートル領という扱いになった。
なお、彼女の正体が巨大なスライムだという噂もあったが、それはこの辺境領が亜人種を中心にした人種構成であったことから、領のトップも人ならざる者なのではないかという、憶測が生まれたのではなかろうか。
実際には、スライムの群れを操るスキルを持っていた──程度のことが誇張されたのだろう。
ただ、彼女の出自など謎の部分も多く、更に幼い姿から老いることがなかったという話もあり、ただの憶測だと片付けられない部分もある。
●アイリス・クラウ・オーラント
44代ローラント国王レイチェルの王配・エリリークの側妃だが、実際には同性愛者だったと噂されるレイチェルの側妃だとの説もある。
オーラント公爵家の出身であり、その息子は後に公爵家を継いでいるが、アイリス本人は庶民の学校で子供達に勉強を教えることもあり、民との距離は非常に近かった。
また、世にも珍しい状態異常を無効化するスキルを、所持していたと言われている。
76歳の時に病死。
●アリゼ・キンガリー
43代ローラント国王クラリスの側近であり、クラリスとは同性ながらも愛人関係だったのではないかとの説もある。
少なくともクラリスとの結びつきは強く、大きな権力を有していたことは事実であり、「メイド隊」なる事実上の私兵部隊を操って、各分野に多大な影響力を行使していた。
歴史研究家の中には、実質的な王国の支配者だったと言う者さえいる。
事実、ノルン学院やクラリーゼ学園など、現在にも続く教育機関の創始者であり、各校からは多くの偉人を輩出していた為、その影響力も大きかったとは間違いない。
なお、クラリスの退位と共に彼女も表舞台から姿を消し、その晩年のことはよく分かっていない。
●アリゼナータ・キンガリー
勇者の称号を持ち、クバート帝国(現クバート地方)や魔族との戦争では、大きな戦功を挙げたと言われる女傑。
歴史上、もっとも強い人間の1人として名を挙げられることも多く、60m級の巨大ゴーレムで自在に空を駆けるという、現在の技術でも再現不可能なことを可能にしていたと言われる。
しかしその一方では、印刷技術や漫画文化の発展にも多大な貢献をしており、本人は絵を描くことを趣味としていたという一面も持つ。
なお、アリゼ・キンガリーの実子であり、双子のように容姿が似ていたとされる。
ただし父親が誰なのかは不明。
更に没年も、何故かどこにも記録が無い。
●エリーシャ・ドーラ・ローラント
45代ローラント国王であり、先代女王レイチェルと王配エリリークの間に生まれた長女。
先代、先々代から比べると地味だが、魔族との戦争とその後の混乱期を乗り切ったことで、高い評価を得ている。
なお、その晩年まで美貌がなかなか衰えることはなかったが、さすがに119才で老衰死を迎えた。
●エリカ・ドーラ・ローラント
48代ローラント国王レイリーの実妹。
生涯兄レイリーの補佐に徹し、独身を貫き通したとされるが、隠し子がいたとの噂も絶えず、その父親が誰なのか、様々な憶測が生まれた。
ただ、兄レイリーの退位と共に歴史から姿を消しており、そのことからも察せられるものがある。
なお、彼女の持つ「吸精」スキルは非常に強力で、魔族との戦争の時にも大いに活躍したという。
●エリリーク・ドーラ・ローラント
44代ローラント国王レイチェルの王配。
43代ローラント国王クラリスの実弟でもある。
病弱な幼少期であったが故に、王位継承権を与えられず、その存在も公にされていなかったが、十代前半には病気が完治した為、王族に復帰することになった。
その正体を隠していた頃は、身分と性別を偽ってレイチェルの侍女をしていたが、何者も見破れなかったほどその容姿は見目麗しかったという。
正体を公表後も、女装をしていることが多く、一説にはレイチェルの趣味だったのではないかと言われ、彼女の同性愛者説を補強している。
また、彼の「吸精」スキルは、クバート帝国との戦争時には兵達に大きな力を与え、それが故に兵達の間では男性なのに「守護の女神」と、崇められていたとか。
晩年は元々の身体の弱さが影響したのか病気がちになり、72才でこの世を去っている。
●カーシャ・ノルン
43代ローラント国王クラリスの親衛隊長であり、後にローラント王国軍の将軍も兼任している。
彼女は獣人であるが、クラリスからその実力を認められ、王国の歴史上初の獣人の騎士となった。
また、ノルン学院の出身であり、当時の学院長であったアリゼが、彼女とクラリスの間を取り持ったとされる。
当初はトカゲ型の獣人だと思われていたが、後に「竜人」という特殊な種族であることが判明し、竜に匹敵する能力を発揮できるようになった。
騎竜・フレアを駆るその実力は数万の軍に匹敵されるとされ、彼女単騎だけでも一騎当千だと謳われている。
なお、竜人の寿命は通常の獣人よりも大幅に長いらしく、彼女は250才まで将軍職を務め、退役後は見聞を広める為に旅に出て、今も世界の何処かを放浪しているという。
●ガープラ・イヴァン
ナウーリャ教団の創設メンバーにして枢機卿。
教祖リーザを傀儡にしていたところ、女神からの天罰を受けて失脚したとされているが、実際には当時王国へ侵略を画策していたクバート帝国との繋がりを王国に取り締まられ、罰せられたというのが実情のようだ。
●ガイガン・アグニ・クバード
クバート帝国第71代皇帝。
王国への侵略を幾度となく画策していたが、実際には魔族によって誰にも気付かぬうちに殺害され、傀儡にされていたようだ。
故に正確な記録は無いが、おそらく享年は76才。
●カイリ・マツノ
クバート帝国が異世界から召喚した勇者。
召喚当初は幼い少女に過ぎず、戦闘力も弱かったが、彼女の持つ「魅了」のスキルによって、魔王軍四天王・ヘンゼルの出現で混乱に陥った帝都の住民を誘導し、被害を最小にとどめた。
生涯、クバート帝国第72代皇帝メディナッテの側近を務めたが、彼女の愛人だったとの説もある。
●カエサル・アンバー
2代目サンバートル領の領主となったローラント王国伯爵。
火災によって死亡した前任者の後を引き継いで無難に領地経営をしていたが、魔族に娘を誘拐され、その奪還の為に軍を動かした結果、その隙を突かれてサンバートルの町を魔王軍四天王グリーグスに襲撃されるという失態を演じた為、解任された。
その後サンバートル領は女王の直轄地となっていたが、後にカエサルの娘が領主に就任している。
●カシファーン
魔王軍四天王の1人。
クラサンドのダンジョンに潜伏し、多くの魔物を率いて町を襲撃しようとしたが、冒険者によって撃退される。
その後も何かしらの暗躍は続けていたようだが、詳細は不明。
ただ、勇者アリゼナータの従者、シルビナによって討たれたと伝わっている。
●カナウ・キンガリー
44代ローラント国王レイチェルの王配・エリリークの側妃。
前述のアリゼやアリゼナータと同じ「キンガリー」姓を持つ為、何かしらの繋がりはあるようだが、詳しい記録は残っていない。
ただ、彼女の子供達には部分的に犬型獣人と思われる特徴を持つ者が多かった為、何かしらの獣人の血を引いていたことは確実である。
故に獣人差別が根強かった当時のローラント王国において、初の獣人の王族であるともいえ、王家と他種族の融和の象徴的な存在だと捉えている者も多い。
しかし彼女本人は極めてぐうたらで、王族らしい姿を見せたことはついぞ無かったと言われている。
その血筋故に寿命が短かったのか、62才で老衰死した。
●カルガラン・ラモン
43代ローラント国王クラリスの時代に活躍したとされる、王国専属の鑑定士。
多くの人間の情報を知り得るという職務の性質上、彼の詳しい経歴は秘匿されていたらしく、謎が多いまま現在に至る。
●カンナ・リコリス
小さな漁村に生まれた彼女は、魔族との戦争時にメイド隊」に助けられたという。
それがメイドへの強い憧れとなり、独学でメイドを学び始める切っ掛けとなったようだ。
最終的には私立のメイド学校を開校し、彼女が教え伝えたメイドの技術は「リコリス流」と呼ばれ、1つのメイドの形として現在では定着している。
それは本来のメイド業務の技術以外に、素手での格闘術に特化しているというもので、雇い主からは護衛としても重宝されている。
●キエル・グランジ
元はSランク冒険者で、クラサンドを襲撃した魔族との戦いでも活躍をした。
その後、パーティーメンバーの死を切っ掛けにして引退し、レイチェル孤児院の運営を始める。
その孤児院は王都のノルン学院との繋がりも深く、更に一時的に王族復帰前のエリリークが籍を置いていたこともあったようで、表に出せない王侯貴族の子の預かり場所だったとの説もある。
更にその名称から、後の女王レイチェルとも無関係ではないと言われているが、レイチェルの誕生前に孤児院が設立されている為、実際のところはよく分からない。
なお、キエル本人は生涯独身で子供もいなかったが、87歳の時に畑仕事の最中に熱中症で命を落とした際、その葬儀には孤児院の卒業生ら数千人も集い、多くの子供達から慕われていたことを証明してみせた。
事実彼女のことを、「聖母」と呼ぶ者もいたという。
今回みたいのが、あと2回くらい続くかも。
※「カエサル・アンバー」の項目が別人の者になっていた為、修正しました。




