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9 大海嘯

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 私がクラサンドのダンジョン付近へ転移すると、既に地上へ魔物が溢れ出し、メイド隊が応戦していました。


 幸い夜間であるおかげで、メイド隊の最大派閥である吸血鬼班を全投入できた為、戦力的には不足してはいないようです。

 昼間だと吸血鬼ではコンスタンスとニナ、そしてリュミエルくらいしか日光への耐性を持っていないので、戦力が大幅に落ちていたでしょう。


「ご苦労様なのです。

 戦況は?」


「陛下!

 現状は拮抗していますが、徐々に敵が増えています~!

 それに数は少ないですが、中位クラスの魔族が混じっているのが厄介です!」


 ああ……昔ママが戦ったヤギのような魔族や、そいつが召喚した小型の魔族も確認できますね。

 数さえ少ないのであれば、メイド隊だけでも対応できるのでしょうけれど……。


「あまり時間をかけてはいられません。

 ここは私に任せるのです。

 皆を下がらせなさい!」


「はっ!」


 さあ……まずは地上に出ている敵を一掃しましょうか。


「ホーミングレーザーッ!!!!」


 私の両(てのひら)から撃ち出された熱線は数百もの数に分裂し、それぞれが標的を撃ち抜きます。

 無数の爆発が連続で生じ、ダンジョンの入り口も吹き飛ばしました。

 ふむ……耐えることができた個体はいないようですね。


 だけど放っておけば、地下から更に敵が這い出してくるでしょう。

 私はダンジョンの入り口のところまで行き、そして──、


「沈みなさい」


 魔法で生み出した膨大な水を、ダンジョン内に流し込みます。

 これならば水中で活動できるタイプの魔物以外は、溺れ死ぬでしょう。

 ついでに猛毒も混ぜているので、毒への耐性も無ければ生き延びることはできないはずです。


 まあ、完全に水没させる為には、少々時間がかかりますが、ここはママとクラリス姉さんの、そしてマルガとキエルや、我が()達との思い出が詰まった場所……。

 本当は跡形も無く破壊した方が後腐れも無くていいのでしょうが、それは忍びないのです。


「おっと」


 転移魔法で地上へ逃げてきた魔族がいたようですが、そいつは熱線で狙撃しておきました。

 100km先まで追尾して届くので、まず逃げ切れませんよ。


 お……水が入り口から溢れ始めました。

 完全に最下層まで水没したようですね。

 それでは──、


「白き静寂(しじま)──」


 私は水に右手を突っ込み、そこから熱を奪います。

 ダンジョン内に満たされた水は、これで凍結していくはずです。

 さすがに最下層まで完全に凍らせることができるのかどうかは、ちょっと微妙ですが、こうして蓋をしておけば、ここからこれ以上の侵攻は無いでしょう。


 もしもこれでも駄目なのだとしたら、今度こそダンジョンを完全に破壊しなければなりませんね……。


「コンスタンスメイド長。

 この入り口の監視をお願いします。

 氷に異変が現れ始めたら、私を呼ぶように。

 

 それとクラサンドの住人には、引き続き警戒とこの場に近づかないように──と、通達しておいてください。

 可能ならば別の町への避難を命じた方がいいのかもしれませんが、受け入れ場所を検討しなければなりませんので、暫く待つのです。

 ……ですが、いざという時は、あなたの判断で避難命令を出すのですよ?」


「はっ、かしこまりました~」

 

 ……これで一段落ですが、念の為にここで待機して周囲を警戒しておきましょうか。

 それから30分後、エリーシャと念話でやりとりをしていると、また新たな念話が届きました。

 凄く嫌な予感がしますねぇ……。


『お姉ちゃん、大変、大変だよーっ!!』


『リゼですか……。

 何事ですか?』


『大森林が溢れた!!

 森から出てきた魔物で、地面がろくに見えないんだよ!

 敵が7分で地面が3分 !

 いい? 敵が7分に黒が3分だよ!』


『え……それはネタではなくて……ですか?』


『見えている範囲では、森との境目は全部魔物で埋め尽くされているの!!』


 それは数万ではきかない、大軍勢なのでは……。

 ただ、弱い魔物ならばいくら集まっても、アイやリゼを倒すことはできないはず。

 しかしそれだけの数だと、防衛線を突破される可能性がありますね……。


『取りあえず、迎撃を……!!

 なんとしても、サンバートルまで避難している住民達に、被害が及ばないようにしてください!』


『はいよーっ!!』


 アイとリゼとシスがいるノーザンリリィが陥落するとは思えませんが、問題は他の地域ですね……。

 魔族の軍勢が、どこまで侵攻しているのか、早急に確認しなければ……。


 だけど確認するまでもなく、各地に配置したメイド隊から緊急の念話が次々に届きます。

 それは皆が揃って、「北の大森林から、魔物の軍勢が現れた」というものでした。

 しかも最悪なことに、それと同様の報告が帝国のグラスからも届きます。


 つまり現在、王国と帝国が大森林に面している全ての土地──約1500km以上にも及ぶ距離が魔物に埋め尽くされているということですか!?

 しかも大森林の中に、まだどれくらいの魔物がいるのかも分かりません。

 これは下手をすると、()単位の軍勢なのでは……!!


「そんなの、対応できる訳がないでしょうっ!!」


 私は思わず(わめ)いてしまいました。

 明日はちょっと遅いゴールデンウィークで、日帰り旅行に行ってこようと思うので、たぶん更新は休みます。


 あと、別作品ですが、『おかあさんがいつも一緒(https://ncode.syosetu.com/n9202gm/)』の今週分の更新を、うっかり前回と同じ物にしてしまったので、改めてあげなおしています。夜中は頭が働かなくて駄目だな……。

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