表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

308/392

30 魔獣に立ち向かう者

 ブックマーク・☆での評価・いいね・感想をありがとうございました!

 クラリス・ドーラ・ローラントよ!


 ついにクバート帝国との、本格的な戦闘が始まったわ。

 敵はおよそ7万、それに対して我が軍は5万。

 軍は急遽集めたものだから、数の上では不利のように見えるわね。


 だけど我が軍の総合的な能力は、帝国軍をはるかに上回っているわ。

 レイチェルとエリのスキルで、能力の底上げもされているしね。


 そもそも本来なら、(ドラゴン)であるフレアを投入すれば、それで済む話なのよ。

 それにも関わらず兵を招集したのは、帝国軍を自らの手でぶん殴りたいと主張した者達が、沢山いたからなのよね。

 

 さすがに我が国民を人質にとったのは、帝国の失策だったと思うわよ?

 もうあれで私の側近の中でも激怒する者が続出し、そして彼らに何もさせないのでは、国内で不満がくすぶりそうだったから、軍を動かすことになったのだもの。

 

 その上でフレアも投入したら過剰戦力だし、他の者達の出番も無くなるから、あの子には帝国軍の退路を断つ作業だけで我慢してもらったわ。

 

 アリゼによる人質の救出も成功したようだし、もうなんの(うれ)いもないわね。

 戦況はこちらの有利に運んでいるし、私も前線に出て舐めた真似をしてくれた帝国に、一泡吹かせてあげるわ!


「へ、陛下、お下がりください!

 危険ですっ!!」


 配下の者はそう言うけど──、


「ふ~ん?」


 帝国の魔法攻撃が、私の方に向かって飛んでくるけれど、それは空間収納に入れてしまえば、全くの無害よね。

 そしてそれをそのまま、帝国軍へ送り返してあげるわ。

 言うまでも無く帝国兵は、自分達が撃った魔法を受ける訳よ。


「危険って、どこが?」


「お……おみそれいたしました」

  

 私も伊達(だて)にアリゼの隣にいた訳じゃないのよ?

 あの子に釣り合う実力を身につけるのは不可能だとしても、それでも努力を欠かしたつもりは無いんだから!


 さて……そろそろ勝敗は見えてきたわね。

 圧倒的じゃない、我が軍は。

 これくらい力の差を見せつければ、帝国も2度と侵攻してこようなんて思わないでしょうね。

 

 ……あれ? そもそも帝国自体を解体するんだったっけ?

 アリゼはそのつもりっぽいけど、いきなり併合しても統治が面倒臭くなりそうだから、属国にしてある程度自立してもらう方が楽なんだけどねぇ……。


 まあそれは後で考えるとして、そろそろ改めて降伏勧告を出すべきかしら?


「「「うわあぁぁぁぁぁっ!?」」」


「ん?」


 なにやら悲鳴が聞こえてきのだけど……。

 そちらの方に目を向けると、なんだか気持ちが悪い奴がいるわね……。

 ヘビのような……それにしては大きいわね。


「陛下、あれは危険です。

 どうか退避を……!!」


「そうね……でもその前にっ!」


 あの化け物目掛けて、電撃の魔法を撃ち込んでおくわ!

 

 ……でも、効果は微妙ね。


「兵達に退避命令を。

 あれはフレアじゃなければ無理でしょう」


「はっ!」

 

 それかフレアが来る前に、レイチェルかアリタがどうにかすると思うわ。

 でも、レイチェルは軍の転移で疲れて休んでいるはずだから、まだ動けないかしら……?


「私も下がるわ。

 あとはお願いね」


 私も戦おうと思えば、あの化け物と戦えるけれど、護衛を守りながら(・・・・・・・・)だと苦労しそうだわ。

 ここは大人しく引き下がるとしましょう。


 あら、何かが来たわ?

 ああ、あれはアリタのお友達ね。

 凄いわよね、全身ミスリルで……。

 なんだか私よりも強そうだし、あの子に任せましょうか。


 私は転移で戦場を後にした。




『なんだっ!?』


 アリタが何者かによって、戦場の外まで(はじ)き飛ばされた。

 どうやらあのワームの相手は、私がしなければいけないらしいな。

 

 以前の幽霊(ゴースト)だった頃の私は、アリタから一定の距離は離れることができなかったけど、今はこの鎧自体が私の核となっている。

 私1人だけでも、自由に活動することができるぞ!


 しかしこの戦場では、ワームに近づくこと自体が難しいな。

 今はワームから逃げようとしている者達が、敵味方関係なく入り乱れてこちらに押し寄せてくる為、地上からは近づけそうにない。


 よし、跳ぶか!

 今の私は、幽霊の時ほど自由に空を飛ぶことはできない。

 やはり鎧の重みがあるからだ。

 以前のように飛ぶ為には、まだ修練を重ねる必要があるだろう。

 

 ただ、多少は浮くことができるし、それを応用して跳躍力を大幅に上げることもできる。

 今なら50mくらいならば、問題無く跳べるはずだ。


『ハッ!!』


 うむ、丁度あのワームに届くな。

 まずは一撃!


 私はワームに斬撃を入れつつ、地面に着地した。

 むう……さすがに致命傷にはなっていないな……。


「お……あんたか」


『スコップの人!』


 そこにはノーザンリリィ辺境伯領で、出会った人がいた。

 名前は聞いたけど忘れた。

 ともかくスコップで戦う奇妙な人で、そっちのインパクトばかりが記憶に残っている。

 でもあそこでは、シスさんの次に強い人だった。


殿(しんがり)を買って出ているのですか?』


「一般兵では、あの怪物から逃げることも難しいからな。

 時間稼ぎくらいならば、俺でもできる」


『それでは、あいつの相手は私がしましょう。

 その間に退避を!』


「ま、アイ様とリゼ嬢ちゃんに鍛えられたあんたなら、大丈夫だろう。

 任せたぞ」


『はい──おっと!』


 私がスコップの人へと返事をした瞬間、何か鞭のようなものがこちらに向かってきた。

 それを私は、剣で叩き落とす。

 

 うえっ……あいつの舌か。

 気持ち悪いな……。

 だが、アイさんの攻撃から比べたら、余裕で()けることができる。


 まあ、負ける気はしないな!

 私はワームへと斬りかかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おおおぉ!クラリスさんは頑張ってより強く成りましたね! でもアリゼさんの相棒だから、将来に更に出来るように成る事を期待します。 主役が増えてきたから視点の変更も多く成りましたね。普通に面白…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ