表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/392

6 第三形態

 ブックマーク・☆での評価、そして感想もありがとうございました! 励みになっていますよ~。

 え……どゆこと?

 あの恐竜に追われて、ゴブリン達は北からこの土地に(のが)れてきたっていうの?

 じゃあ、ゴブリンの南下に、私は無関係じゃん!

 責任を取る必要なんてなかった……。


 それにしても、恐竜って……。

 さすが異世界、まだ絶滅していないのか。


 しかし恐竜とは言っても、『●ュラシック・パーク』とかに出てくるような、前傾姿勢のティラノサウルスタイプではなく、古い恐竜図鑑に載っているような、直立して尻尾を地面に引きずっているようなタイプだ。

 

 つまり●ジラみたいな怪獣タイプ。

 あるいは、(ドラゴン)の仲間なのかもしれないが……。


 ん……? 

 ゴ●ラ……?

 …………そういえば2~3年前に、この恐竜と似た顔の、4足歩行のオオトカゲを取り逃がしたことがあるような……。


 思いのほか耐久力が高くて、どうしても殺しきれなかったんだよなぁ。

 強い能力を持っていそうだったから、乗っ取りたかったのに……。


 結局、そいつには逃げられちゃったんだけど、そいつが成長してこの恐竜になった可能性も……?

 つまりこれ、第三形態か?

 シン・恐竜?


 となると、この恐竜が住処(すみか)から逃げ出す切っ掛けを私が作って、結果的にゴブリン達の住む土地が襲われたったことも……?

 ……やっぱり私の責任じゃん!?


 あかん……。

 私って、ほんとバカ。

 今度こそ責任をもって、この恐竜を倒さなければ……。


 とりあえず人間との戦闘を中断して、ゴブリン達の安全を確保しよう。

 恐竜は今にもゴブリン達に追いついて、襲いかかろうとしていた。

 あ、元ゴブリン王が前に出て、仲間を庇おうとしている。


 一見勇ましい姿だが、恐竜から比べれば、コアリクイが威嚇のポーズをしているくらい可愛く見えてしまう。

 オイオイオイ、死ぬわあいつ。

 

 だが、その心意気は見事なり。

 これはなんとしても、生き残ってもらわねばならないな。

 丁度いいから、私はここでゴブリン達の後顧の憂いを断ってから、消えるとしよう。

 

 私は全力で走って、ゴブリン達と恐竜の間に割り込む。

 そして人間が相手の時とは違い、手加減無しのパンチを恐竜の顔面に叩き込んだ。


「ガァァァァッ!」


 私の一撃を受けて、恐竜の身体が傾き、ゆっくりと倒れていく。

 でも、乗っ取りが発動していないので、当然まだ倒せてはいない。

 以前戦った時も、この程度では倒しきれなかった。

 だが、今度は逃がすつもりはないぞ。


 いや、その前にゴブリン達を、逃がさなければならない。


「王様っ、このままもう1度北へ向かえ!」


「王……ハ、アナタダ……」


「私は、こいつ(恐竜)を仕留める。

 勝っても負けても、この身体は死ぬから、王座は返上するよ。

 だからこれは最後の命令。

 もう2度と人間に関わらないで、平和に暮らしなさい!」


「シカシ……」


「いいから、行けっ!!」


「……ッ!! 

 ドウカ、ゴ武運ヲ……!!」


 私の怒号を受けて、ゴブリン達は再び北へと向けて動き出した。

 私はそれを見守っていたが、その間に倒れていた恐竜が復活した。

 腕が短いので起き上がることには苦労するのかと思いきや、尻尾を器用に使って大地に立つ。


 私は思わず感心してしまったが、いつまでものんびりと見ている場合ではない。

 ここで恐竜は確実に倒すよ!

 そうしなければ、またゴブリン達を追うかもしれないし、人間の町が近いからそちらを襲う可能性もある。


 あ、そういえば人間達は……まだ麻痺や金縛りが解けていないなぁ……。

 動けるはずの者達も、腰を抜かしているのもいて、こりゃ避難は無理そうだ。

 彼らにも被害がでないように、気をつけて戦わなければならない。


 となると、短期決戦だな!

 一気に片を付けるか。

 ……というか、アレ?

 なにやら恐竜の口の中が、光り始めているんですけど?

 うおっ、まぶしっ!?


 待って、まさか熱線を吐くの!?

 放射線流なの!?

 マジで怪獣かよ!?

 ちっ、あっちも短期決戦を狙っているのか!?


 いずれにしても、このまま熱線を吐かれたら、この辺一帯が火の海になるなんてことも有り得る。

 そうなったら私はともかく、人間達は全滅しかねない。


「撃たせるかぁっ!!」


 私は跳躍し、恐竜の腹に蹴りを入れた。

 これは先程の拳の一撃よりも、はるかに威力があるはずだ。

 これで熱線がキャンセルされればいいが……!


 しかし──、


「!!」


 恐竜の身体は多少揺らいだだけで、体勢を維持している。

 私の攻撃を予想して、あらかじめ全身に力を入れることで踏みとどまった!?

意外と知恵が回るじゃないか……!

 

 そして私が着地して、次の動作に移るまでの一瞬の隙を狙ったかのように、恐竜は口から熱線を吐き出した。


 ひえっ!? 

 避けられないっ!?

 まともに受けたら死ぬ!?

 いいや、やらせはせん、やらせはせんぞぉ──っ!!


 次の瞬間、(まばゆ)い閃光と衝撃が私を飲み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ