閑話 新ギルドマスターの重責
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俺の名はドラグナ。
最近冒険者を引退して、クラサンド冒険者ギルドのギルドマスターに就任した。
本当はこんなことをやりたくはなかったのだが、前任のザグルが引退する際に、後任にはどうしても俺を……と強く推されたのでな……。
しかしダンジョンで見てはならない存在を見て、冒険者の引退を決意した俺だったが、このギルドマスターの仕事も精神を削るようなことばかりで、もう辞めたくなったぞ……。
特に貴族の子供達が通う学園が、このクラサンドのダンジョンで実習をすると聞いた時は、頭が痛くなった……。
冒険者と貴族の子の間でトラブルでもあった日には、下手をすれば物理的に俺の首が飛ぶぞ!?
一応所属する冒険者達には、問題を起こさないようにと注意喚起をしておいたが、安心はできん。
それにここ数日は冒険者ではない者がダンジョンに入り込んでいるとの目撃報告もあり、それが暗殺者の類いではないか……との憶測もある。
それの対策までしなければならない義務はギルドには無いのだが、何かあれば難癖を付けてくるのが貴族というものだから、これにも警戒をしなければならない。
そんな訳で、俺はその実習の様子を見に行った。
暗殺者の件も、一応学園側に報告しておかないとならないしな。
ダンジョンの入り口の前に設置されたテントの前には、キエルとマルガの姿があった。
現在はあまり冒険者としての活動をしていないというが、Sランクだったという意味では俺と同じような立場だな。
その2人の前に、メイド姿の女がいる。
メイド……メイドか……。
つい最近、前国王でダンジョンマスターというメイドに出会ったが、まさか関係ないよな……?
そんな淡い期待を抱いていたのだが──、
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●アリゼ・キンガリー(仮) 25才 女 依り代
生命力 1463582
魔 力 807176
攻 撃 217779
防 御 144621
体 力 712789
信 仰 46
精 神 236328
速 度 76990
器 用 20109
運 9999
●所持スキル
魂の融合LV99 前世の知識・再現力LV10 天然LV4
狩り術LV10 万能感知LV10 毒魔法LV10 万能耐性LV10
遠吠えLV8 酸生成LV10 吸収LV7 分裂LV4
風魔法LV10 飛翔LV10 身体強化LV10 魔力増幅LV10
自動回復LV10 立体機動LV7 収奪LV8 発光LV2
蜘蛛糸LV10 水魔法LV10 土魔法LV10 変形LV6
石化LV5 水中生存LV4 思考加速LV10 威嚇LV8
投擲LV8 隠密LV10 予見LV7 雷撃LV10 擬態LV7
植物操作LV8 休眠LV2 操影LV10 大食LV7
邪眼LV4 掘削LV6 生物使役LV8 気操作LV8
防御強化LV10 熱線LV10 炎魔法LV10 天候予知LV7
霊視LV4 営業LV8 魅了LV9 性技LV8 共鳴LV99
言語理解LV10 歌唱LV8 剣技LV4 調理LV8
毛繕いLV10 画力LV6 子育てLV10 弓術LV8
罠設置・解除LV7 農業LV7 空間収納LV10
回復魔法LV10 空間転移LV10 結界LV10 浄化LV10
精神魔法LV7 オートマッピングLV10 探索LV10
暗殺LV5 詐術LV6 死霊魔術LV3 拷問LV4
軍略LV4 槌術L3 緊縛LV4 監視LV7 幻術LV7
念話LV10 蟲使いLV5 オーラ感知LV10 建築LV7
教育LV10 メイドLV10 魔法剣LV4 医術LV8
聖なる威光LV7 巨乳LV5 錬金術LV6 魔道具作成LV4
召喚魔法LV4
●称 号
転生者 百合を愛でし者 ネズミ狩り スライムの虐殺者
世界を彷徨いし者 獣の王 亜人の支配者 高貴なる者
竜を屠りし者 断罪者 自立する天国 文化の特異点
最上級冒険者 3姉妹のリーダー 女神の代理人
デーモンスレイヤー 裏世界の天敵 貴族狩り 奴隷商狩り
子供の守護者 異世界歌姫 医学の革命者 聖母
マッサージを極めし者 知恵の伝道者 真の女王 聖人
現人神 女王のパートナー 王女の実母
超越存在の母 神獣の姉 至高のメイド長 天災級存在
打ち上げ式魔物花火師
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あのメイドよりもヤバイ奴じゃねぇか!?
関係者どころか、こいつが元締めだろ!!
それに称号がヤバ過ぎて、細かいことは考えたくもない……。
くっそ、こんなことなら鑑定しなければ良かった……。
というか、これ絶対に死んだはずのレイ・ヤナミアの中身だよな……。
俺は思わず引き返そうとしたが──、
「あっ、ドラグナさん久しぶりー!」
「ちっ!」
キエルに気付かれた。
仕方がないので、そのまま進む。
「……様子を見に来た……いえ、来ました。
先日ギルドマスターになった、ドラグナと申します」
と、「アリゼ」という鑑定名が出たメイドに挨拶をする。
緊張で声が裏返りそうだ。
「あら……ギルドマスターになったのですか。
それはおめでとうございます。
私は女王陛下の筆頭侍女、アリゼ・キンガリーです。
この度は当学園の行事で、お騒がせしております。
後ほど生徒達が手に入れた素材を、寄付という形で納めたいと思っておりますので、平にご容赦を……」
アリゼが頭を下げたので、俺も頭を下げる。
「い、いや、それはありがたい。
頭を下げるのは、こちらの方……です」
緊張でどうにも態度がおかしくなる。
まあ、アリゼも一応ここの領主と同じ「キンガリー」姓──つまり貴族だし、女王の側近ともなれば俺がこのような態度になるのも、そんなに不自然ではないはずだ。
しかしアリゼは、見透かしたように俺を笑った。
「ふふ……そんなに硬くならなくても……。
まあ……王都にいる鑑定士も、私を視る時はそういう態度になりますけどね?」
「!?」
俺が「鑑定」スキル持ちだということがバレてる──っ!?
俺は慌ててキエルの方を見る。
彼女は俺が「鑑定」持ちだということを、知っていたはずだ。
「わ、私は話していないからね!?」
「マルガもにゃ」
2人は否定した。
そこでアリゼは言う。
「私は感情の色が見えますからね。
なんとか隠そうとしていたようですが、不必要に動揺しすぎですよ?
女王陛下を前にしても、そこまで動揺しないだろう……というほどの感情を見せられれば、察することはできます。
先程も話しましたが、王家で雇っている鑑定士がいますから、スキル目的であなたをどうこうするつもりはありません。
余計なことを言いふらしたりしなければ……ね?」
くっ……完全に見抜かれてやがる!
「それに……冒険者時代には、あなたに庇われたこともありましたから、悪いようにはしませんよ。
その節はありがとうございました」
再びアリゼに頭を下げられて、俺どう反応したらいいのか分からなかった。
本当にあの小さなレイが、姿を変えて帰ってきたのか……。
それに庇ったとは言っても、結局は──。
「……俺はハゴータの暴走を止められなかったし、大したことはできなかった……」
「あ、ハゴータなら、今は新しくできた辺境伯領で頑張っていますよ。
あの時は怒りにまかせて、遠い北の地に置き去りにしてしまいましたが、しっかりと生き延びて、心も入れ替えたようですね」
「なっ!?」
「「えっ!?」」
思わぬハゴータの生存情報に、俺だけではなくキエルやマルガも驚愕した。
てっきりレイに殺されたのかと……。
「レイちゃん、そうだったの……?
私はもう、やっちゃったのかとばかり……」
「まあ……あの時は私の脇の甘さが招いた部分もあったので……」
と、照れたアリゼの顔を見て、ああ……こいつはそんなに恐れなくてもいいんだな……と、俺は思った。
それにハゴータのことについても、ホッとした。
あいつがやったことは許されないことだったのかもしれないが、それでも元々は俺の仲間だった。
そいつにやりなおしの機会が与えられたことが、俺は嬉しかったんだ。
「……ありがとう」
俺は自然と謝礼の言葉を述べていた。
そしてこれで、落ち着いて話せるようになった──と思ったのだが、
「ふ~っ、酷い目にあったのです」
突然間近に女の子が現れた。
転移魔法か?
しかもこの姿は……レイ・ヤナミア!?
でも彼女の遺体は、俺も実際に確認した。
生きているはずが……!?
「おや、レイチェル、アイには会えましたか?」
「あんな隠しボスを配置しておくとか、本当にママは……っ!!」
ママ!?
どういうことだ!?
こいつらは母娘なのか!?
「レイチェル、今はドラグナさんもいるので、苦情は後にしてください」
「ドラグナ? ああ、久しぶりですね」
?????
俺と初めて会った訳ではない……だと?
訳が分からん。
というか、レイチェルって王女の名前じゃなかったか?
確かこの実習にも参加していると聞いたが、こいつが王女!?
分からないことだらけだ……。
だが、俺はもうこれ以上、鑑定はしないぞ!
知ったところで、混乱に拍車がかかるだけのような気がしてならないからな!




