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53 低レベルで挑むボス戦

 ブックマーク・☆での評価・感想をありがとうございましたぁぁぁ!

 リゼが出した炎を見て、リーザ様は即逃げの態勢に入り、アイリス様は足が(すく)んで動けないようだった。

 私もこれでは、まったく戦いにならないと感じている。


「待って、無理無理無理!

 私達じゃ勝てないですよ!」


『え? 大丈夫だよ。

 死なないように手加減してあげるから。

 そうだ、あたしに攻撃を当てることができたら、エリ達の1勝(・・)ってことでいいよ?』


「攻撃を当てたら……って、私達は魔法攻撃しかできませんし……。

 魔法攻撃を受けたら最悪の場合、死亡してもおかしくないんですけど……。

 もしもリゼに怪我をさせてしまったら……」


 リゼの見た目だけなら、魔法どころか素手で殴っただけでもダメージを与えることができそうな気がする。

 まさにか弱い動物だ。

 そんなリゼに怪我をさせないように配慮しながらだと、私達にできる攻撃なんて殆ど無くなるんだが……。

 

『え~、馬鹿にしないでよ。

 あたしはここのダンジョンの最深部でも、余裕で狩りができるんだよ。

 あそこの魔物の攻撃と比べたら、君達の攻撃なんて大したことないじゃないの?』


「え……?」


 ダンジョンの最深部の魔物って、私では絶対に勝てないんだけど……!?

 あれを余裕で狩れるって、リゼってばどんだけ強いのさ!?


 そういうことなら、よし!


「…………」


 私は無言で空間収納から、救難信号を出す魔道具を取り出した。

 正直やってられるか、って感じだ。


 しかし──、


『ほーい!』


「えっ!?」

 

 いつの間にか接近してきたリゼが、前足で私の手を払った。

 そして無情にも私が手にしていた魔道具は、フロアの壁際まで転がっていってしまう。

 これでは救援は呼べない。


『戦わずに逃げるのは、無しね?』

 

 あ……ああ……!!


「ぎゃああああああ────っ!!」


 私が絶望の声を上げる前に、リーザ様は悲鳴を上げた。

 実際、もうリゼとの戦闘は不可避だ。

 こうなると私達が無事で済むという可能性は、まったく無くなってしまったように思える。

 ……これはもう詰んでいるのでは……?


 だけどやるからには、なるべく被害が少なくなるように全力を尽くそう。

 私はリゼに対して、「吸精」のスキルを使う。

 これで少しでも弱体化してくれれば、いいんだけど……。


『お?

 なんか変な感じ』


 「吸精」は対象の生命力や魔力などのような、エネルギー的な物ならば奪うことができる。

 メイド長(アリゼ様)は、「最大HPや精神・運のように、成長(レベルアップ)以外では変動しない、固定されているステータスは無理のようですね」と、よく分からないことを言っていたけど、ようするに減ったとしても時間経過や睡眠・食事などによって回復するようなものならば、吸収することは可能だということらしい。

 

 そしてその「吸精」のスキルによってリゼから私に流れ込んできた力は、まだ極一部だけのはずだ。

 直接リゼに触れているのならばともかく、遠隔で吸収できる量には限界がある。


 それにも関わらず、リゼから吸収できたエネルギー量は莫大だった。

 それから推測できるエネルギーの総量は、姫様ほどではないが魔王軍四天王を上回るのではないかと予想できるほど多い。

 嘘……本当に桁外れの強さがあるよ、この子……!!


 だけどこれだけ大きな力を他の2人に分け与えれば、かなりの強化が期待できるだろう。


「これは……!!」


「おお……っ!!」


 アイリス様とリーザ様も、流れ込んできた力の多さに驚いているようだ。


「アイリス様とリーザ様は、魔法で攻撃を!!

 威力よりも数でお願いします。

 とにかく攻撃が当たれば、我々の勝ちです!」


「は、はい!」


「うむ、これだけの魔力があれば……おりゃあ!!」


 早速リーザ様が効果範囲が広い攻撃を放った。

 これが通路ならば逃げ場が無く、その攻撃は()けようがなかったはずだが、生憎この広いフロアには逃げ場はいくらでもある。

 ただし普通の人間の脚力では、魔法が発動する前に効果範囲外へ脱出することは不可能だろう。


 だが、リゼはあっさりとその攻撃を回避した。

 いくらキツネだからって、速すぎない!?


 でもリーザ様のような広範囲の攻撃は、たぶんリゼに対して1番命中する可能性が高い。

 ならば私も──と、小石ほどの小さな炎の玉を数十個生み出し、それをリゼ目掛けて撃ち放った。

 殺傷力は小さいけど、これを回避することは人間ならば不可能に近いだろう。

 降り注ぐ雨粒を(かわ)すようなものだ。


 しかしそれでもリゼには回避される。

 いつの間にそんな場所に!?──そう驚愕するほど、恐るべきスピードだ。

 いや……もしかしたら、転移魔法も併用しているのか……?

 

 ともかくこれは、もっとパーティメンバーとのコンビネーションを考えないと駄目かな?

 たとえばリーザ様の攻撃をリゼが回避した時、その回避先を予想して私とアイリス様で狙う──とか……。


 ところがそんな作戦を試していられる余裕は、無くなってしまった。

 リゼが生み出した炎の塔が、私達に向かってついに動き始めたのだ。

 明日は定休日です。

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