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44 パーティー編成

 ブックマークをありがとうございました!


 今回は視点が途中で変わります。

「なっ……ここは!?」


 (わたくし)はアイリス・クラウ・オーラント。

 本日はダンジョンでの実習に参加することになっておりましたが、この王都の学園からダンジョンがあるクラサンドまで馬車で移動したら、往復で数週間はかかりますわよね?

 しかし馬車は見当たらないですし、ただ全校生徒が校庭に集められるだけで、これからどうするのでしょう……と不思議に思っていましたわ。


 そんな我々の前に、学園の創設者を名乗るメイド・アリゼ様が現れました。

 女王陛下の筆頭侍女ということは、噂のレイチェル殿下の実母──メイド長で聖女で院長ということですか……!?

 

 でも外見は、そんなに殿下と似ていませんわね……。

 クラリス陛下の方が、殿下に似ているくらいなのでは……?

 そういえば、エリ様も殿下に少し似ていますわね……。

 平民とは聞いていますが、実は王族と関わりのある血筋なのでしょうか?


 その後、周囲の風景が突然変わっていたことには驚きましたわ。

 なんとアリゼ様は、一瞬で100人以上の人間をクラサンドまで転移させたようなのです。

 

 え……人間にそんなことができるんですの!?

 その後に見せた空間収納の容量も異常ですし、確かに能力は殿下を彷彿(ほうふつ)とさせますわね……。

 これは今後、貴族として国の要職に就くであろう我々に、誰が主人なのかを見せつける意図があるのかも……。

 少なくとも私は、この御方には逆らってはいけないと、心に誓いましたわ……。


 実際、転移魔法だけでも、我々全員を空中に放り出して全滅させることも不可能ではないのですよねぇ……。

 この恐ろしさが理解できない者は、おそらくこの国では長生きできないと思いますわ……。


 その後、パーティーを編成することになりましたが、私の護衛役だったコリンナはソロでの挑戦を言い渡されてしまい、いきなり孤立してしまいました。

 子煩悩な両親が有能な人材を護衛に付けてくれたことが、逆に(あだ)となるとは……。

 他にパーティーを組んでくれそうな親しい方はというと、エリ様くらいしか思いつかな──、


「あ……!」


 ナウーリャ教の方々の中に、見覚えのある人物が……。

 見た目が幼くて頼りない所為か、誰にも声をかけてもらえず、オロオロとしていますわね……。

 あ、こちらに気付きましたわ。


 うわぁ……「仲間がいて助かったぁ」という感じの、凄く安堵した顔ですわ。

 彼女は嬉しそうにこちらへ近づいてきますが……彼女の能力って(いちじる)しく低かったはずですわよねぇ……。

 パーティーを組んで大丈夫なのでしょうか……この私が!


 私だってそんなに高い能力がある訳ではないのに、弱い者同士が組んで本当にダンジョンに通用するのですか!?

 でも、殿下には見守って欲しいと言われていましたし……。


「おーおー、久しぶりじゃのぉ、アイリス殿!」


「ごきげんよう、リーザ様……。

 ………………パーティーを組みますか?」


「うむ!」


 リーザ様はいい笑顔で答えましたけれど、私は内心で泣きたい気分でしたわ……。


 助けてぇ、エリ様ぁ!!

 



 はい、エリです。

 これからパーティーメンバーを決めなければいけないのだけど……。

 アイリス様が、凄く困った顔でこちらを見ている……。


 うん、私も他にあてがある訳ではないので、いいんだけどね……。


「あの……一緒にパーティーを組みましょうか、アイリス様?」


「よろしいのですか!?

 助かりますわ!」


 本当に助かった──という顔をしているアイリス様。

 その原因はというと、間違い無くもう1人のメンバーだよなぁ……。

 ナウーリャ教団の聖職者の服を着ている小さな女の子だけど、耳が少し尖っていて、エルフの血が混ざっていることが分かる。

 これが噂の教祖・リーザ様か……。


 確か能力が凄く低いと聞いているけど、大丈夫なのだろうか……。

 でもまあ……仕方が無い。


「リーザじゃ。

 ナウーリャ教の教祖をしておる。

 よろしく頼むのじゃ」


「エリと申します。

 リーザ様のお話は、レイチェル殿下からかねがね伺っておりました。

 よろしくお願いします」


「お、おー!

 聖女様のメイド隊の一員じゃな。

 それなら頼りになる。

 これで安心じゃ」


 聖女様!?

 それってメイド長のこと!?

 教団からそんな風に呼ばれているの、あの人!?


 そんな風に困惑していると、更に困惑するようなことをリーザ様が言った。


「お、女神様からのお告げが……!

 ……はあ?

 エリ……おぬしについて女神様は、『ネタバレ厳禁』と言っておるぞ。

 ただ、これから面白いことになるから、楽しみにしていろ……と」

 

 ええぇ……なにそれぇ……。

 そんなこと言われても、「困る」以外の言葉が見つからない。

 姫様によるとリーザ様には、実際に女神様の声を聞く能力があるらしいけど、この人を本当に信じていいの?


 大体、面白いことになるって、それは誰にとってなのだろうか……。

 私にとってはまったく面白くないことになる可能性も、高確率であるような気がする……。


 で、結局パーティーメンバーは私達3人以外は見つからなかったけれど、公爵令嬢とナウーリャ教の教祖という重要人物がいる以上、よく知らない人物をパーティーに入れるのは危険だし、これは仕方が無いことなのかもしれない。


 そもそも男性メンバーは論外だという、制限もあるからなぁ……。

 私が男の人を苦手にしているというのもあるけれど、ダンジョン内では通路で排泄行為をしなければならない状況もある。

 その時に同性が近くにいるだけでも嫌なのに、異性がいるような状況を公爵令嬢に耐えられるとは思えないからね。

 ってことは、私の性別は絶対にバレる訳にはいかないな……。


 しかしこの面子(めんつ)で、本当に大丈夫なのだろうか。

 魔法を使える人間が2人と、何もできない預言者が1人しかいないのだが……。

 戦力に不安がありすぎるけど、ダンジョンの浅い階なら大丈夫かな……。


 


 ちなみにナウーリャ教団から派遣された人の中で1番人気だったのは、色っぽい美人シスターのキャロラインさんだった。

 彼女の奪い合いで、ちょっとしたいざこざが起こったという……。

 まあ私も男の子だから、気持ちは少し分かるけどね……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スキルが使わないと弱くなるのは始めて知りました。 女神様は意外にお茶目の性格をしていますねw 色っぽい美人シスターのキャロラインさん、解る、私も奪いたいです(笑)
[一言] エリts!!
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