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3 正解が分かりきっている選択肢

 ブックマークと☆での評価、ありがとうございました。

 私が直面したのは、拉致現場!

 やべーぞ、レ●プだ!!──な案件でした。

 これはちょっとしたショッキング映像だよ!?

 

 そう、ゴブリン達が捕まえてきたのは、13~14歳くらいの少女だった

 栗毛の髪をポニーテールにしている、ちょっと気の強そうな顔立ちをした子だ。

 そばかすが少し目立つが、まあ美人だと思う。

 

 そして彼女が革鎧で武装しているところをみるに、普通の村娘などではなく、いわゆる冒険者という奴なのだろう。

 そんな彼女は、(つた)植物の(つる)で両手両足を縛られて、逃げ出さないように拘束されていた。

 つまりまだ生きている。


 それならば、何も悩む必要は無い。

 私はこの1ヶ月間、一緒に楽しく暮らしてきたゴブリン達を裏切って、この子を助ける。

 だって私は前世が人間で、そしてまた人間になるのが目的なのだから。

 だから私は、人間の味方をすることを選ぶ。


 それにこのまま放置していたら、ゴブリン達はこの子に性的な暴行を加えて、孕ませるなんてことになるのだろう。

 エロ漫画とかならともかく、リアルでそんなことをされても、どん引きだよっ!!

 可哀想なのは抜けない!!


 いや、それだけならまだマシで、用済みになったら食料にしちゃうなんてことも有り得る。

 さすがに人肉食(カニバリズム)は、ちょっと……。


 ともかく、ゴブリンは気のいい連中だと思っていたけど、やっぱり人間とは相容れない存在なんだな……。

 このまま彼らを放置しておいたら、人間の犠牲者がもっと出るかもしれない。

 ならば私は心を鬼にして、ゴブリンをスレイヤーする存在になるよ!


 ……いや、ちょっと待て。

 言葉が通じるのなら、まずは話し合いだ。


 ゴブリン達は、少女を取り囲んでいた。

 少女は拘束された身体で必死に藻掻き、何事かを叫んでゴブリン達を威嚇しているが、これから自分が何をされるのかを悟っているのか、顔は怯えきっていた。

 目には涙を滲ませている。


「くっ、殺せ!」……とか言っているのかなぁ……。


 一方でゴブリン達は、少女の怯えた顔を楽しむかのような、下卑た笑いを浮かべていた。

 さっきまでは仲間だと思っていた連中だけど、こうしてみると醜悪だな……。

 私はそんなゴブリン達をかき分けて、少女の前に立つ。


「なあ皆、こいつを逃がしてやらないか?」


「?」


 私の提案に、ゴブリン達は「言葉の意味が分からない」とでも言うかのように、一様にポカンとした表情をした。


「何ヲ言ッテイルンダ?

 コンナ上玉、逃ガス訳ナイダロ?」


 ですよねー……。

 だけど、この子を逃がすのは、可哀想だからと言うだけの話ではない。

 ゴブリン達の為でもあるのだ。


「だけど人間に危害を加えれば、必ず仲間が報復にやってくる。

 そうなれば、私達は全滅するかもしれない。

 だから人間には、関わらない方がいい」


 生物としての人間は、弱い方だ。

 場合によっては、中型犬にだって負けるほどに。

 ましてや大自然の中に放り込まれれば、簡単に命を落とす者も少なくないだろう。

 

 しかし武器や道具を持った人間は怖い。

 おそらく武装によっては、ゴブリン達が逃げるしかなかった、あの熊(ただし私の能力抜きのノーマルな状態)にも勝てるだろう。

 罠などを使えば、もっと簡単かもしれない。


 そして集団となった人間のタチの悪さは、前世の世界の歴史が証明している。

 戦争や圧政など、それはある意味このゴブリン達以上に、醜悪なものだったのかもしれない。

 まあ、人間だった私には、それでもゴブリン達の方が良いと認める訳にはいかないのだけどね……。


 だが、それを知らないゴブリン達には、その恐ろしさが理解できなかった。

 だから、私の言葉には反発しかなかったようだ。


「何ヲ言ッテルンダ、オ前!!

 ソンナコト言ッテ、独リ占メスル気ダロ!」


 はい。

 ……いや、私が美少女になれたら、独り占めして百合百合したいところだけど、今はそういう話をしている場合じゃない。

 ここはもう、実力行使をするしかないか?

 私は抑えていた殺気を解放する。


「ッ!?」


 ゴブリン達は突然変わった空気を感じ取ることができたのか、明らかに(ひる)んでいるようだ。

 できれば、逃げてくれないかなぁ……。

 だけどゴブリン達は、むしろ一斉に襲いかかってきた。

 

 彼らも受けた殺気の強さは理解していたのかもしれないけど、私がゴブリンの姿のままだから、混乱して勝てると思ってしまったのかもしれない。

 あるいは強すぎる殺気を受けて、先に私を殺さないと、確実に死ぬと実感しちゃった──とか。


 ……しゃーない。

 空中に麻痺毒を生成して、襲いかかってきたゴブリン達に散布。


「!?」


 一斉に倒れるゴブリン達。

 これで襲ってきた奴らは、無力化した。

 さて、他の連中の反応は……?


 よし、私が複数のゴブリンを一瞬で無力化させたことを警戒して、残りのゴブリン達は私を遠巻きに見ているだけで、襲いかかってくる気配は無い。

 それじゃあ、今のうちに少女の拘束を解いて、逃がしてやるか。


 しかし少女は状況を理解していないのか、私に襲われると勘違いしているようで、私が近づくと暴れ回って抵抗した。

 こら、大人しくしなさい。

 拘束が解けないじゃないか!


 そんな風に、少女の解放に手間取っていると──、


「待テ!」


 1匹の大きなゴブリンが、近寄ってくる。


「王様……」


「ソノ獲物ハ、既ニ群レノ財産ダ。

 オ前ガ勝手ニスルコトハ、許サヌ……!!」


 はぁ……群れの掟は絶対ってことか。

 結局、手順を踏まなきゃ、駄目ってことだな……?


「じゃあ、私が王様に勝ったら、好きにしてもいい?」


「オ前ガ勝ッタラ、オ前ガ新タナ王デ、掟ダ。

 好キニスレバイイ。

 ……勝テタラノ話ダガナ!」


「じゃあ、そうする!」

 

 そんな訳で、ゴブリンの王と決闘することになった。

 毎週土曜深夜(日曜0時頃)は、『おかあさんがいつも一緒』の更新作業の為、こちらの更新はお休みします。また明後日~。

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