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17 幸せの青い鳥

 ブックマーク・感想をありがとうございました!

 そのケモ耳美少女は、タックルのような勢いで私に抱きついてきた。


「ぐえっ!」


 激しい衝撃で、胃の中身がちょっと出そうになる。

 これ、私だから平気だけど、常人なら死んでるよ!?


 で、そのケモ耳少女だけど……、


「この気配の匂い……!

 やっぱりお姉ちゃんだぁ。

 ようやく会えたぁぁぁぁ!」


 と、私の匂いをクンカクンカしつつ、私にすがりついて泣いている。

 えっ……まさか本当にあのキツネだった妹ちゃんなの!?

 だとしたら、なんで人間の姿になってるの!?


「ちょっと……誰なのよ、その()

 浮気じゃないわよね?」


 ひぃ、クラリスに疑われるぅ!?

 ここは早く関係をハッキリさせないと!


「えっと……おそらくですが、生き別れの妹だと思います。

 本当に……妹ちゃんなのですか?

 あの遠い北の森で、一緒に育ったキツネの……!?」


「うん、お姉ちゃん!

 今はシスって、名乗っているんだよ!!」


 ああ、さっきゴブリン王から出た、2つの名前の内の1人か。

 どういう経緯で町の代表なんかやっているのかよく分からないけれど、彼女にも色々とあったということなんだろうな……。


 というか、この()はちゃんと私のことを、姉だと認識していたんだな……。

 一時期は妹だと思われても仕方が無いくらい力関係が逆転していたけど、当時は言葉も通じなかったから、私のことをどう思っているかなんて、知る(よし)もなかった。

 そしてたった数ヶ月しか一緒に暮らしていなかったのに、未だに私を姉と(した)ってくれていたなんて……!

 ちょっと涙腺(るいせん)が緩みそうになるよ……。


「それにしてもその姿は一体……。

 その所為で、一目では分かりませんでしたよ……」


「う~ん……あたし達の種族は、年月を経るとこうなるっぽいよ?」


 なん……だと。

 ということは、もしも私に「乗っ取り」の能力が無く、そして死ぬこともなくキツネのまま生き続けていたとしたら、ケモ耳美少女姉妹として百合百合できたルートもあった──と!?

 ぐぬぅ……私は最初から欲しいものを手に入れていたのに、それに気付かずに探し求めていたということなのか……!


 勿論今の人生に不満は無いけれど、物凄く遠回りしたような気がして、一気に脱力感を覚えてしまった……。

 そんな風に呆然としている私に代わって、クラリスが話を進めてくれた。


「ふ~ん、妹ね……。

 積もる話もあるだろうけれど、ここではゆっくり話せないし、町の方へ行こうと思うのだけど、いいかしら?」


「ああ、はい。

 妹ちゃ……いいえ、シス?

 町の方へ行ってもいいですか?」


「うん、元々お姉ちゃんの為に作った町だから、いーよ!」


 なにそれ、私知らない……。


「じゃあ、私は町へ行って話をつけてくるから、アンバー伯爵と領軍はここで待機していて頂戴。

 それと拘束しているという、使者も連れて行くわよ」


御意(ぎょい)」 


 クラリスの指示に領主達が従った。

 それにゴブリンの町の代表も私の身内だと分かったので、思っていたよりも話はスムーズに進みそうだ。

 そんな訳で私達は、拘束されていた使者を解放して、町へと向かうことにする。

 

 解放された使者は、犬型の獣人と……髭面の中年の男だった。

 はて……何処かで見覚えが……。

 いや、気の所為か?

 

 そして彼も、古びたスコップを持っていた。

 本当に何故スコップなんだ……。




 町の規模は、2000人くらいは住めそうな大きさだった。

 その町の周囲を全て石造りの塀で覆っているのだから、なかなかの技術力と経済力があると見える。

 これはゴブリンだけで建造するのは無理だと感じるが、シスの他にいるという、もう1人の代表者が力を貸したから実現できたのだろうか?


 そして門をくぐってすぐに、あの大きな気配の存在が迎えに出てくれた。

 これがアイという、もう1人の町の代表者か。


 彼女の見た目は12才くらいの桃色の髪をした美少女で、和服──甚平に似た衣服を着ている。

 そういえばシスも、巫女服に似た衣装だな。

 この世界にも日本に似た衣服の文化があるのか、それとも……?


 ともかくアイの見た目からは、そんなに強そうな感じはしなかった。

 しかしその身に秘めた力は間違いなく巨大なもので、レイチェルあたりとでも互角に戦えそうだ。

 私と私の娘以外で、これだけ巨大な力を持っているのは、魔王軍四天王の女くらいしか知らない。

 一体どうやって、ここまで強くなったのやら?


 で、そのアイというのが、陽気に話しかけてくる。


「やあやあ、初めまして。

 私がアイだよ。

 歌いながら戦うこともできる、この町のリーダーさ」


 歌いながら戦えるって、なんだよそれ?

 シン●ォギアかな?


「あなたの次の台詞(セリフ)は、


「「何故そこで愛!?」」


 ──と言う」


 ぬっ!? 私とアイの台詞が被っただと!?


「はっはー、お母さんならそのネタを言うと思っていたよ」


「お母さんっ!?」


 アイは悪戯(いたずら)が成功したようなちょっと悪い笑顔で、とんでもないことを言い出した。

 身に覚えが無いんですけどぉ!?

 アイの髪の色を青から桃色に変更しました。


 次回は明後日の予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 認知してください(ニッコリ)
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! 浮気!でも百合ハーレムこそ至高だと思います〜 それにしても、まさかキツネ種類がモンスター娘に成れるとは、意外にも女神様が最初からちゃんとアリゼさんの欲望に応…
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