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66 宗教対策

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 このローラント王国は今、ナウーリャ教団という宗教団体によって、乗っ取りを仕掛けられているようだ。

 前世の世界でも、宗教が侵略の尖兵のような役割をしていたこともあったし、さほど不思議なことではない。

 だから教団の背後には、もしかしたら他国の影があるのかもしれないが、それは今後の調査次第だな……。


 さて、宗教と言うと、日本人には馴染みが薄い……と感じている人も多いのかもしれないが、実際には仏壇と神棚の両方を備えている家があったり、結婚式は教会で挙げるのに葬式はお寺で挙げたり……と、宗教のごった煮(カオス)状態である。

 日本人はそれが文化や風習だという認識が強いだけで、実際には宗教と生活が密着している場合も多いのだ。


 たぶんそれは、生きていく上で都合が良かったので、各宗教のいいとこ取りをしてきた結果なのだろう。

 節操は無いが、それぐらいで丁度いいと私は思っている。


 本来、生きる為の助けになればそれでいいはずの宗教だが、それに縛られて生き方を左右されるのは、手段が目的化しているというか、本末転倒だと感じている。

 そんな訳で私は、この国を宗教国家にするつもりはないし、日本のように八百万(やおよろず)の神──つまりは万物に神が宿っていると考え、あらゆる存在を分け(へだ)てなく尊重していくような思想が根付いてくれればいいと思っているのだ。


 (ゆえ)に特定の宗教が台頭するようなことは、絶対にあってはならない。

 特に他の宗教の神を認めず、排除しようとするような一神教のところは絶対に──。

 それは争いの種になりかねないからだ。

 

 幸いこの国では、まだまだ土着の民間信仰が多く、組織だった宗教団体の活動は少ないが、その空白地帯にナウーリャ教団は広く深く浸透しようとしているようだ。


「それだけは、なにがなんでも阻止しなければなりません!」


「そ、そうね。

 顔が怖いわよ、アリゼ」


 クラリスが引いている。

 ここは彼女の居室だ。

 現在は王妃クリスとは別れてここに帰ってきた訳だが、その際には彼女から、


「また来てね?

 毎日来てね?」


 と泣きつかれた。

 いくつになっても甘えん坊なんだから……。


「あなた、宗教が嫌いなの?」


「ええ……女神には直接恨みもありますし……」


 今はいいよ?

 クラリスとラブラブだし、娘もいて幸せだよ?

 だけどキツネスタートをさせられた時の、あの絶望感は今も忘れていないからな!


「それに前世でも、毒ガステロをやらかした連中とかがいて、あまり良い印象は……。

 宗教は洗脳の手段にも用いられますし、組織的犯罪の温床にもなりやすいです。

 

 あと知人が変な宗教にハマった結果、人格が一変してところ構わず布教活動を始め、周囲から浮いて誰からも相手にされないようになりました。

 それで最終的には精神を病んで、廃人のようになってしまい……。

 あれを見た後では、信仰なんて持とうとは思えません」


「そ……そう。

 怖いのね……」


「ええ、怖いのですよ。

 ですから一定の法的な縛りは、必要だと考えています」


 まあ、信仰の自由は認めるが、その信仰を他人に押しつけることや、政治へ介入すること、信者に莫大な財産を寄進させることなどはあかんな。

 

 あと、宗教団体にはしっかり課税したい。

 教義で綺麗事を()くのならば、むしろしっかりと税金を払って、社会に貢献してもらおう。

 というか、下手に宗教団体が大金を持つと、ろくなことをしないからなぁ……。

 明らかに「これは必要無いだろう」と一目で分かるような巨大な施設や神像を作って、権威を見せびらかすようなことをやりだすんだもの。

 あんなものに金を使われるくらいなら、税収として公共事業に使った方が余っ程有益だ。


 そもそも信仰するだけならば、立派な宗教施設は必要ないからね。

 各家庭で小さな祭壇に祈るだけでも十分だ。

 あとは冠婚葬祭の儀式を行う会場があれば、それで十分でしょうよ。

 それだって公営のものでもいい。


 私はここをそんなローコストの、宗教文化の国にしたい。


「まあ、その辺の法的なことは、姫様が女王になってから整備するとして……。

 まずはナウーリャ教団をどうするかです」


「どうするつもりなの?

 物理的に潰す?」


 ……物騒な姫様ですね。


「できますけど……。

 教団の下部の人々は利用されているだけで、この国に害を為そうとは考えてはいないでしょうから、それは乱暴ですね。

 丁度いいので、私が教団を乗っ取って上層部を排除し、教義を都合の良い方向に変えさせましょう。

 そんな訳で、ちょっと教団に潜入してきます」


「気をつけてね……と言うのも、あなたに対しては無駄な心配かしらね。

 ……えーと、やり過ぎないでね?」


 なにその、私が何かをやらかすことが前提の言葉。


「……私をなんだと思っているんです?」


「私の大好きな恋人!」


 くそぅ……可愛いなぁ。

 私はクラリスの頭を、ナデナデしておいた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公がチョ◯イン…… 同窓会で勧誘が行われると翌年から招待状すら発行されなくなるよね(白目
[良い点] 同意です。
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! 王妃様も可愛い!クラリスさんの可愛さはお母様から受け継いたモノかも知れませんw 確かに、普通の宗教は人を良くするモノですけど、物語の宗教団体は大きな勢力を持…
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