60 ダンジョン温泉にて
ブックマーク・☆での評価・感想をありがとうございました!
クラリスよ!
ダンジョンでの戦闘訓練が終わったら、最下層の温泉へ行って身体を休めることになったわ。
「キャスカ……あなた、意外と……。
いえ、なんでもないわ……」
「?」
脱衣所で服を脱ぐと、キャスカの胸が意外と大きくて驚いた。
あれ? この娘って年下よね?
なんで私よりも胸が大きいのかしら!?
見た目もしゃべり方も男の子っぽいのに、脱ぐと凄いだなんて、卑怯だわ……。
私だって、毎日胸を揉んで育てているのに、何故……。
それにしても温泉か……。
初めてここに来た時にアリゼから受けたマッサージは、本当に凄かったわ……。
あれから私の人生が、変わったと言ってもいいくらい。
……う~ん、またアリゼにマッサージのフルコースを受けたいところだけど、今日はさすがに人が多いから我慢するわ。
それよりも今日は、やりたいことがあるのよ。
「コロロ、こちらへ。
私が洗ってあげるわ」
「えっ、姫様が!?
そんなの恐れ多いぽん!」
「いいのよ、あなたの毛皮は気持ちよさそうだから、触ってみたかったの」
もふもふですものね。
私にアリゼがいなかったら、抱き枕役としての雇用を考えたくらいよ。
それにアリゼ直伝の、毛繕い術も試してみたいわ。
「そ……そういうことなら、お願いするぽん」
ふふ……やっぱりコロロの毛皮の手触りは最高ね。
ふわふわしていて、それでいてなめらかで……。
でもお湯に濡れると、ぺたーんとして別人みたいに細くなっちゃうのも面白いわ。
さあ、思う存分洗わせてね!
「ねえ、気持ちいい?」
「はい、気持ちいいというか、気持ちよすぎるぽん……。
あ……あ……はしたない声が出てしまうぽん……」
よしよし、反応は悪くないようね。
いつかアリゼも負かせてあげるんだから!
それにしても、こんなに愛らしい獣人族が差別されているなんて、おかしな話ね……。
ましてや奴隷だなんて……。
私が女王になったら、そんなことは絶対にやめさせるわ。
そしてこの子達を女王の側近にすることで、獣人達も有能な存在だと、世界に広く知らしめたいわね……。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ……。
姫様、強い……刺激が強いぽん!」
あっ、気がついたらコロロが凄い声を上げていたわ。
夢中でやりすぎちゃった。
さて、コロロが終わったら、次は──、
「さあ、カーシャ、今度はあなたの番よ!」
「いや、あたしは院長にしてもらいたいんだけど……」
「ええっ!?」
まさかの拒絶。
……くっ、なにこの、友達を取られたような気分は……っ!
「そんなにアリゼのテクニックの方が、いいっていうの!?
私だって、結構なものなのよ!?」
「お前、本当に王女なのかよ……?」
「ぐっ!?」
カーシャに疑いの目で見られた。
まあ、マッサージ術を極めようとしている王女なんて、他にはいないのかもしれないけど……。
「でも、クラリスにされるのが嫌って訳じゃないんだぞ?
ただ、確かめたいことがあってさ……」
「え?
どういうこと?」
「院長の毛繕いって、毛が無いと効果が半減するっていうじゃん?」
ええ、確かに髪を洗われるだけでも、凄い快感がくるわね。
でもあなたはアリゼの本気を知らないから分からないのでしょうけど、本気のアリゼにされると、快感が上限に達しちゃって、もう場所とか関係なくなっちゃうからね?
「それで……最近髪が生えてきたから、違いが知りたくて……」
「「「えっ!?」」」
私は勿論だけど、アリゼ達もカーシャの発言に驚いていたわ。
「ちょっ、ちょっと見せてください……!
……本当だ……確かにチョロっと髪が生えていますね……。
ケシィー、トカゲ型獣人って、髪が生えるものなのですか?」
「私も詳しくはありませんが、見たことはありませんねぇ……」
「私も初めて見るぽん」
どうやらカーシャに生えた髪は、獣人族にとっても珍しい現象らしい。
え? なに? もしかしてアリゼに毛繕いをして欲しいという一心で、髪の毛を生やしたでもというの?
どれだけしてほしかったのよ……。
「ひょっとして、ただのトカゲ型ではなく、特殊な種族なのでしょうか……」
ああ、その可能性もあるのね。
だとしたら、普通のトカゲ型獣人よりも、今後の成長が期待できるのかしら?
凄く強くなってくれるのならば、それは楽しみだわ。
いえ、普通のトカゲ型獣人だったとしても、カーシャが私の大切な友達であることには変わらないけれどね。
「それではカーシャには、私が育毛効果のある、頭皮マッサージを施しましょうか」
「ありがとう、院長!」
カーシャが嬉しそうなのはいいんだけど、なんだか友達と同時に恋人も取られたような気分なんだけど……。
アリゼのマッサージは私が独り占めしたい……というのは、器が小さいわね。
我慢……我慢……。
その代わりに、城に帰って二人っきりになったら、アリゼと沢山イチャイチャするんだからね!
次回は閑話です。まあ、前回と今回も閑話みたいなものでしたが……。