39 そういえばしていなかった授業
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今回も微エロ……ではなく、前にもあったセンシティブな話題。
ベッドの上で、クラリスはぐったりとしていた。
呼吸は荒く、顔も赤く上気している。
ぶっちゃけ、ちょっとエロい。
「もう……お嫁に行けない……」
クラリスがそう嘆いたので、私はテンプレとして、
「その時は私が貰ってあげますよ」
と、冗談めかして答えた。
「言ったわね?
……言質を取ったわよ?」
あれ? 思いの外クラリスが乗り気だ。
どうしてこうなった?
時は少し遡る。
その日の朝、クラリスはなかなか起き出してこなかった。
だから私が起こしに寝室へ行くと、クラリスは既に目覚めていたが、まだ寝ぼけているような状態だった。
更に何処となく、気だるそうにもしている。
オーラの状態もちょっと悪いな……。
もしかして体調を崩している?
風邪でも引いたのかな?
異世界だと医学はあまり進歩していないから、病気は命取りなりかねないし心配だ。
実際、怪我に対しては非常に有効な回復魔法も、病気の種類によっては無力な場合もある。
「姫様、具合が悪いのですか?」
「だるい……。
あと、ちょっとお腹が痛い……」
ん?
……この症状はもしかして?
「姫様、失礼します」
私はクラリスの身体にかかっていたベッドカバーを、全部めくってみた。
するとやはり、クラリスの股間の辺りに赤い色が見える。
「あ~……やはり初潮ですね。
そういえば、まだでしたっけ……」
私がレイチェルの時は12才で来たから、13才のクラリスはほんの少しだけ遅いとも言える。
しかし初潮か……。
ダンジョン内でパンツを下ろして処置したのも、今や懐かしい思い出だ。
あの時はキエルにお世話になったが、今度は私が教える番なのだな。
そう思うと、ちょっと感慨深い。
「えっ、何?」
しかしクラリスは、自分がどのような状態になっていたのか気付いていなかったようで、自身の股間やその下のシーツが赤く汚れているのを見て──、
「にゃ────っ!?」
可愛らしい悲鳴を上げた。
「何? 何っ!? 血!?
私、怪我しているの!?
それとも、病気!?」
激しく動揺しているクラリス。
私の時もびっくりしたから気持ちは分かるが、それにしても驚きすぎな気がする。
「落ち着いてください、姫様。
初潮が来ただけです」
「しょ、初潮!?
なに、それ……っ!?」
「え……と、簡単に言うと、姫様の身体が赤ちゃんを作る為の、準備ができたというところでしょうか」
そんな私の説明を受けて、クラリスは私の正気を疑うような顔で、
「え……何を言ってるの、あなた?
赤ちゃんは神様にお願いしたら、天使が運んで来てくれるのよ……?」
そんなことを宣った。
マジか、おい。
確かに性教育はしてなかったけどさぁ……。
いや……異世界だし、本当に天使が……?
でも私、普通にレイチェルを生んでいるし、天使はレアケースだよな……?
というか王侯貴族の娘って、政略結婚するのがデフォだし、性的な知識は花嫁修業の一環として、小さい頃からある程度教え込まれているというイメージだったんだけどな……。
その教育も全くされていないとか、クラリスには政略結婚の道具としての役割すらも期待されていなかったということなのだろうか。
ともかくこれは、急遽性教育の授業を受けさせないといけないな……。
「姫様、よく聞いてくださいね。
これは──」
「そんな……嘘よ」
私の説明を一通り聞いても、クラリスは現実を受け止められないようだった。
性知識が一切無かったのだから、子供の作り方とかは衝撃的だったのだろう。
なんだかいけないことをしてしまったかのような気持ちになるが、同時に自分が彼女の認識を塗り替えていると思うと、ちょっとした背徳感のようなものがあるかもしれない。
「しかし、事実です。
そうでなければ、その血は何だというのですか?
私にだって、毎月来ています」
「アリゼにも……?」
「はい、私の最初は、ダンジョンで魔物と戦っている時に来て、大変でした」
「そう……それは確かに大変そうね……」
クラリスの顔が、少し哀れんだようなものになる。
「……ですから、対処の仕方はよく心得ています。
この生理用品を挿入して血を吸わせることによって、漏れ出ることを防ぐのですよ」
私はタンポンを空間収納から取り出して、クラリスに見せる。
例のスライム棒である。
一応生理用ナプキンの製造も試みているが、まだ安価で大量生産できるような状態にはなっていないので、未だに私もこれを愛用している。
ナプキンは現状では材料の質が悪く、しかも原価も高いという問題がクリアできていないのだ。
「え……これを挿入れるの?
私のあそこに……?」
「そうですよ。
慣れれば簡単ですよ」
「…………」
クラリスは沈黙して、何かを考え込んでいる。
やはり自分の身体に、異物を挿入れるのは怖いよね。
私もそうだったから分かる。
ちなみに前世の私は、「コンタクトレンズも無理」派だった。
そしてようやく覚悟が決まったのか、クラリスが出した答えは──、
「……じゃあ、あなたがまず、手本を見せてよ……」
「は────?」
おい、何言ってるんだ、このお姫さん!?
成年漫画の導入かな?




