37 本気洗い
ブックマーク・☆での評価・感想をありがとうございました!
今回は微エロ展開あり。……「微」の範疇でおさまっているはずだ……たぶん。
私は掌から洗髪液を作りだし、クラリスの髪にかけて泡立てる。
魔法で毒液を作れるのなら、他の液体だって作ることは可能だ。
勿論、質の良い物を作ろうとすると、高い技術レベルが必要だったり、時間がかかったりもするのだが、今の私の実力ならばそんなに難しくはない。
前世で実際に使っていた商品のイメージもあるので、簡単に再現出来るのだ。
「城の業務では余計な工程でしたのでしていませんでしたが、今回は特別サービスですよ。
元々は獣の毛繕い技術の応用ですが、人体にもそれなりのマッサージ効果があります」
「そ……そうなのね
って、背中に胸が当たっているんですけど?」
「当てているのですよ」
「嫌味なの!?」
「済みません。
密着するとどうしても、こうなってしまいますので……」
ふふ、ついに「あててんのよ」が使える立場になった。
貧乳だった頃には、コンプレックスの所為でネタにもできなかったが、今の胸のサイズならば違和感なくすることができる。
なんだか感慨深いなぁ。
これこそが、キエルが見ていた世界なんだな……。
ともかくまだ警戒しているクラリスに対して、まずは普通に洗髪をする。
しかしそれは最初の内だけだ。
私は彼女の頭皮を揉みほぐしつつも、徐々に指先から魔力を送り始めた。
「ふわっ……!
こ、これ、魔力……?
魔力を注がれているの?
でも、この前とは何か違う……?」
「そうですね。
この前は魔力を注入しただけですが、今回はある種の回復魔法の応用で、細胞を活性化させるように刺激しています。
これで血行も良くなっているはずですから、抜け毛なんかも減るんじゃないですかね」
「い、言っていることはよく分からないけど、ちょっと待ってっ!!
か、髪ってこんなに気持ちよくなるの!?
ひゃんっ!?」
正確には髪ではなく、髪を伝って毛穴から魔力が注がれているので、そのあたりが刺激になって反応しているんじゃないかなぁ。
まあどっちでもいいが。
「ま、待ってっ!
なんだか凄すぎて、怖いっ!!」
「大丈夫ですよー。
人体に害はありませんからぁ。
………………たぶん」
「そ、そんな……っ!!
あうっ!?」
クラリスの身体が、ビクンビクンと小刻みに震えている。
なんだかエッチなことをしているように見えるが、あくまで洗髪と頭皮マッサージです(ここ重要)。
それにいつもは生意気な態度のクラリスが、フニャフニャになっていくこの姿を見ていると、もっとイジメてあげたくなるという欲求が沸々と……。
あれ? おかしいなぁ……?
私はリチアと違って、ロリ系はそんなに好みじゃなかったはずなんだけど……。
いや、クラリスに対してドSだったのは、少し自覚はあったけどね?
でも、このおねロリ的な裸の付き合いのシチュエーションは、案外悪くない。
悪くないぞー!!
むう……これではあまりリチアのことを、強く言えないな……。
なんだか開いてはいけない扉を、開いてしまいそうだ。
でも、それは駄目だ。
そんなことは分かっている。
……分かっているが、何かが私を動かしている!!
ついつい興が乗って、マッサージをする指の動きが速くなるのを感じる。
ちょっと止まりそうにないかも。
「あっ、ちょっまっ、待ってっ!?
あっ、あぁ~~~っ!!」
温泉に、クラリスの嬌声が、響き渡っていく。
うむ……いい音色だ。
「それじゃあ、お湯をかけますよ」
「ハッ!?
私は一体……?」
洗髪が終わった後、あまりにも強い刺激でぐったりとしていたクラリスは、お湯を頭からかけられて覚醒した。
まだ終わりではないので、ここで脱落されても困る。
私は四次元なポケットから寝台を取り出し──、
「さあ、次は身体を洗いますよ。
ここに寝てください。
ここからが本番です」
クラリスに続行を促す。
「え……本番?
あ、あれよりも、更に凄いってこと……?」
クラリスは、未知なる感覚への恐怖と期待がこもった視線を私に向けた。
慣れない刺激に困惑しつつも、それに対する好奇心に抗えない感じだな。
うん、可愛いねぇ……。
そんな顔を見せられたら、お姉さん(経産婦)張り切っちゃうよ!
マッサージやあかすりのフルコースだ!
「そうですね、もっと凄いです」
私は生成したマッサージオイルを、掌に馴染ませつつ答える。
「~~~~っ!!」
その滴るオイルを見ながら、クラリスは顔を赤らめる。
結局彼女は、私からの施術を拒絶しなかった。
次回、クラリス視点。