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12 飲み込まれる気持ち

 ただ今、ヘビに睨まれたカエル状態です(そのまんま)。

 動けません。


 え? え? ヘビはどうする気だ!?

 なんか近づいてくるんですけど!?


 やめて! 私に乱暴する気でしょう?

 エロ同人誌みたいに!

 特殊なエロ同人誌みたいに!


 確かに性癖のジャンルの中には「丸呑み」ってのはあるらしいけど、自分自身でそれを経験したいとは思わないよっ! 

 つか、私には毒があるよ!?

 食べたら死ぬかもよ!?

 だから、そんな酷いことなんてしないよね!?


 しかしヘビは、「くぱぁ」と大口を開いた。

 やっぱり私を食べる気だぁ~っ!!

 まさか、毒蛇だから毒の耐性を持っているとか!?


 とにかく逃げなきゃ!

 ……と思っている間に、私はヘビに食いつかれて、下半身の方から飲み込まれようとしていた。

 必死で藻掻くけれど、どんどん飲み込まれてしまい、残すは頭のみ。


 も、もの凄い力です。

 いよいよ最期、さようなら皆さん。

 さようならー!!


 そして私は、完全にゴックンされてしまった。

 私は能力のおかけで普通のカエルよりは強いつもりだけど、それでもあと数分もかからずに、この命は終わってしまうだろう。

 胃液で消化される前に、圧死か窒息死するんじゃないかな……。

 その前にできる抵抗と言えば──。


 全力で皮膚から毒を分泌する!

 意識的にできるかどうかは分からないけど、可能なら身体が──本能が憶えているはずだ。

 まあ、ヘビに毒耐性があったり、遅効性の毒だったりすると無駄だけど、もうこれしかやれることが無い。

 

 お、皮膚からドッと液体が分泌された感覚があった。

 毒の分泌は成功しているはずだ。

 どうにか効いてくれーっ!!




 …………効いた!

 なんとかギリギリでヘビが死んで、乗っ取りが発動した。

 実は私の「運」のパラメータって、カンストしているんじゃないか?

 

 というかこのヘビ、毒耐性が無いのに、なんで毒ガエルを食べようとしたし?

 そんなに腹を空かせていたのだろうか?

 ……いや、身体に残された記憶を読むと、どうやら他の土地から外敵に追われて逃げてきたらしい。


 あ~……、今まで毒を持つカエルがいない土地で生きてきた種族だから、毒を警戒する本能が備わっていなかったってことなのかな?

 でも、おかげで助かった。

 しかもヘビの身体なら、カエルよりも獲物を狩りやすいし、一石二鳥だな。


 ただ、このヘビを故郷から追い出した存在については、ちょっと気になるな……。

 いつか戦うことになるのだろうか?

 それに備えて、もっと強くならなくてはならない。


 その為にも、乗っ取りを繰り返さなければ。

 さて……何を狩ろうかな。

 今ならウサギでも狩れそうだけど、もっと大物でも狙えるだろうか?


 いや……ちょっと待て。

 その前に能力の検証が必要だな。

 それは身体の乗っ取りの際に生命力とかだけではなく、スキルも吸収して引き継いでいるかどうか……ということだ。


 今までは引き継ぐようなスキルが無かったけど、カエルの毒はどうだろう。

 意識的に分泌できたのだから、あれも技のようなものだと考えても良いのではないだろうか?

 そして異世界物に出てくるスキルの中には、魔法で毒を生成するというのもあるよね?

 ここは異世界だから、同じことができる可能性もあると思うんだ。


 そもそも、このヘビは毒蛇(どくじゃ)ではないみたいだから、戦闘力強化の意味でも、毒は是非とも欲しい。

 これの有無で、戦闘力が天と地ほど違うだろうしね。


 でも……毒が出せるとして、どこから毒を出そうかな……。

 カエルの時のように、皮膚から出す方がイメージしやすいけど、ヘビならやっぱり牙からの方がいいかな?

 しかし、迂闊に毒が口の中に入ると、自分の毒で死ぬという間抜けな──あっ!?


 ……そういえば、前のカエルの身体はまだ腹の中にある……。

 毒を大量に分泌した身体が……。

 それでも平気ということは、カエルの持っていた毒耐性が、このヘビの身体にも引き継がれたということか?

 ということは、やっぱり毒を使うスキルも引き継がれている可能性が高いな。


 よし、試してみよう。

 牙から毒を出すイメージで……。

 あ……なんか(よだれ)みたいなのが出てくる。

 これ毒か? 毒なのか?


 うむ、実際に獲物の身体に注入してみないと、分からないな。

 じゃあ効果は後回しにして、他の検証をしてみようか。

 次は牙ではなく、外皮から毒を分泌してみる。


 お……おお……!!

 身体が湿っているような感じがする。

 毒の分泌ができているっぽい。


 じゃあ今度は、体外の任意の空間に……。

 うん……目の前の空中に毒を出そうとしたが、変化は無いようだな。

 無理なのか、それとも難易度が高くて、熟練度が足りないだけなのか……。

 もうちょっと練習してみよう。

 

 そして1時間が経過した頃──。


「シャーッ(できた)!」


 一滴だけだけど、水滴が目の前の空間に出現した。

 何も無い空間から水滴を発生させるって、完全に魔法だよな?

 やったー! ついに魔法が使えた!!


 ふふふふ……ようやく異世界らしくなってきたじゃん。

 しかも、スキルや魔法も引き継げるとなると、チートらしさも出てきたな。

 この乗っ取り能力を駆使すれば、魔王になることだって不可能じゃないかも……!?


 よーし、どんどん乗っ取りを繰り返して、強くなるぞー!!

 ……って、なんだか無茶苦茶疲れてきたんですけど……。

 もしかして、MPが尽きかけている!?


 あまり多用するのは、危険ってことか。

 このまま消耗すると気絶しかねないから、狩りをするのは眠ってMPを回復させてからだな。

 ちょっと出鼻をくじかれた……。

 今回は半世紀以上前の映画ネタが含まれています。


 なお、毎週土曜深夜(日曜0時頃)は更新をお休みします。

 また、月曜日にもちょっと用事があるかもしれないので、次回の更新時間が変わる可能性もあります。

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