22 競売王女様
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私とトカゲと、その他の捕まっていた人達は、転移魔法で一斉にオークション会場へと運ばれた。
ここで私達は、競売にかけられるという。
人を売り買いするなんて、ふざけた話ね!
私が女王になったら、こんなことは絶対にやめさせるわ!
……まあ、このままだと、女王にはなれないけれど……。
むしろある意味、人生が終わりそうよ……。
その後、少しでも私達の商品価値を上げる為なのか、浄化の魔法で全身を清められてから着替えさせられた。
セクシーな下着姿にさせられる者もいれば、セーラー服のような服を着せられた子供もいる。
あと、トカゲなんかは、全裸にさせられていたわ……。
確かに違和感は無いけど、全く人間扱いをされてないわよね……。
私が着せられたのは……これ、普段着と変わらないわね?
どうやら私は高貴な出自に見えるらしく、着飾った方が価値が上がると判断されたみたい。
まあ、王女だから当然の扱いなんだけど、私のような高貴な存在を汚すことが好きな殿方も多い……と、知りたくも無いことを聞かされたわ……。
そしてついにオークションが始まる。
まるで闘技場か何かのような円形の会場の中心には、ステージ台が備え付けられていて、そこで私達は競りにかけられることになるようだ。
まったく……人間に値段を付けるなんて、愚かな話ね。
そんなオークションに参加する客達は、目の部分だけを覆う仮面を付けて素顔を隠しているけれど、見えている口元だけでも醜悪に見えるわ。
そもそもあいつら、人の価値なんて分かっていないでしょ?
「さあ、次の商品はトカゲ型獣人の雌です。
まだ幼いですが、成長すれば戦闘力が高いことでも有名な種族ですね。
最低価格は銀貨5枚から!」
「銀貨10枚!」
「20枚!」
「金貨1枚!」
「……金貨1枚、これ以上を提示できる御方はいますか?
いませんね?
では、金貨1枚で落札です!」
ふん、あんないい子にそんなはした金なんて、やっぱりあいつらは価値が分かっていないわね!
私なら金貨1000枚払ったって惜しくな……いえ、値段をつけるのは良くないわね。
……そしてついに私の順番が来た。
「さあ、本日の目玉商品は、とある貴族のご落胤とされる美少女ですよ!
最低は金貨10枚から!!」
「30枚!」
「35枚!!」
「50!!」
……どんどん値がつり上がっていくわね。
だけど金貨100枚を超えたあたりから、殆ど伸びなくなってしまった。
たった数枚の金貨で競り合っているのよね……。
なんだかイライラするわ。
「ちょっと、あなた達!
この私の価値が分からないのなら、さっさと帰りなさいよっ!!
私は将来女王になるのよっ!!
そんなはした金で釣り合う訳がないでしょ!」
私は思わず叫んだ。
すると会場がざわめきだしたけど、そんなざわめきの中から、一際大きな声で──、
「金貨300枚!!」
一気に値が跳ね上げられた。
会場は驚愕の声で、更に騒然とする。
……ふん、私に煽られて気が変わった奴がいたようね。
まあ、私には本来値なんかつけられないのだけど、金貨300枚を提示した奴は、少しは見込みがあると言えるわ。
……そして折角大金をはたいて買うのだから、私のことを大切にしてくれるわよね!?
大丈夫よね!?
でも、私の挑発に乗ってくるような奴だし、後先考えないタイプである可能性もあるのかしら……。
「さあ、金貨300枚!!
これ以上はいませんか!?
いなければ、これで決まりますが!?」
司会が最終確認に入る。
ああ……これで私の運命が決まってしまうのか……。
これからの未来のことを考えると、不安で胸が押しつぶされそうになるわ……。
気を抜くと、涙が溢れそう……。
その時──、
「66兆2000億枚!」
すぐ近くで、そんな声が聞こえてきた。
あまりにも常識外れな額に、会場が怒号に包まれた。
「悪ふざけははやめてください!
支払い不可能な額は無効ですっ!!」
司会者が叫んでいる。
まあ、そうよね。
そんな国家予算を凌ぐような金額なんて、個人では払える訳がないんだし。
でも、私にそれだけの価値があるという判断は、正しいわね!
それにしても、あの声……どこかで聞き覚えが……。
そもそも何処から聞こえてきたの……?
「あら……私はそれだけの価値があると、思っているのですけどねぇ……」
また聞こえてきた。
これは……私の足下……?
私がそこを見ると、あるのは私の影だけだ。
しかし、その影が盛り上がってくる。
「ひいっ!?」
そしてその影は人の形になっていき、やがてそれはよく知っている人物の姿になった。
「ア、アリゼ……っ!!」
「さすがに社会科見学は、ここでお終いですね」
そう言って笑うアリゼの顔は、何故かとても懐かしく感じた……が──、
「化け物だわ!?」
という認識にもなった。
「66兆2000億」については元ネタがあります。元ネタが古すぎて分かりにくい場合も多いと思いますが、突然口調が変わるなどの違和感がある部分は、元ネタがある可能性が高いと思っていただければ幸いです。
勿論、単純にミスの場合もあるので、ご指摘はありがたいです。