表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/392

9 そいつ殺せない!

 ブックマーク・☆でのポイント、ありがとうございました。

 さてさて、最近の私はネズミキラーとして、この周辺のネズミを狩りまくっているよ。

 その狩りの過程で、私の乗っ取り能力について少し分かったことがある。

 それは、能力の発動条件だ。


 狩りに慣れてある程度余裕ができた私は、ネズミに致命傷を与えつつ、かつ即死しない程度に加減した攻撃を加えてみた。

 大体、死亡するのは数十分から数時間後かな。


 そしてそのネズミを観察した訳だが、数十分後にネズミが死んだ時、私の乗っ取り能力は発動しなかった。

 どうやら攻撃してから一定時間内に死亡しないと、能力は発動しないようだ。


 そして次に、数十秒後にネズミが死ぬような傷を与えてから、全速力でそのネズミから離れてみた。

 するとこの場合も、能力は発動しなかった。

 能力の有効射程距離というものがあるようだ。

 

 他にもまだ試してはいないが、間接的に相手を死に追いやった場合も、能力は発動しないと思われる。

 例えば、仲間を操って攻撃したり、食べ物に毒を混ぜて食べさせたりした場合だ。

 もしかしたら私が直接殺したとしても、過失致死のような殺意の伴わない事故なら、能力が発動しない可能性もあるな。


 ともかく、能力の発動に例外があることが分かっただけでもありがたい。

 この条件を上手く駆使すれば、不本意な形で今の身体を捨てるようなことが減らせることになる。


 それにこの能力については、もう1つ分かったことがある。

 たぶんだけど、乗っ取りの度に、前の身体の能力が引き継がれている?

 乗っ取りを繰り返すことで、明らかに身体能力が上がっているのだ。

 今はもう普通のネズミとなら、大人と子供くらいの力の差があると思う。


 おそらく乗っ取り後のダメージが全回復していることを考えると、前の身体から生命力を吸収していることは確実で、もしかしたら他にも「力」や「素早さ」などのパラメータも引き継いでいるのかもしれない。

 現時点では魔法が使えないから分からないけど、「魔力」だって増えている可能性もある。


 これは同じネズミの身体にばかりに乗り移って比較できたから気付けたが、他の動物に乗り移っていたら、まだ気付くことができなかっただろうな。

 生物としては弱すぎて他に乗り移る選択肢が無かったことが、逆に良い方向に働いたと言える。


 おやおやぁ?

 もしかしてこの能力は、かなりチートなんじゃね?

 乗っ取りを繰り返していたら、いずれは最強も狙える?


 ……まあ、引き継げる能力の上限が分からないから、あくまで可能性に過ぎないけど、上手くいけばこのネズミの身体のままでも、ウサギくらいなら倒せるようになる日も近いのかもしれない。


 この事実に、私のテンションはうなぎ登りだった。

 だけど、同時に死亡フラグも立っていたことに、気付くべきだった。

 浮かれていた私は、完全に油断してしまっていたんだ。




 数日後、それは唐突に来た。


(げふっ!?)


 背後からとんでもなく重い衝撃。

 何をするだーっ!?

 ……たぶん乗っ取りの繰り返しで、防御力のパラメータが底上げされていなかったら、内臓が口から出ていた。


 おそらく今のは、ネズミを捕食する肉食獣の攻撃だろう。

 警戒していなかった訳ではないけれど、相手の方が1枚上手だったということだろうか。

 あるいは、私の慢心が油断に繋がったのか。


 ともかく、私は慌てて振り返る。

 するとそこにいたのは、赤いキツネ。

 ……これは、最後に見た時よりも大きくなっているけど、妹ちゃん?


 あらあら……立派になって……。

 って、ヤバイ!

 いくら私が強化型ネズミだからって、さすがにキツネにはまだ勝てないぞ!?


 そんな動揺する私に対して妹ちゃんは、前足を上げて振り下ろしてきた。

 さっきのキツイ一撃は、これか!?

 でも、不意打ちではなければ、まだ回避はできる!


 私は妹ちゃんの攻撃を回避して、距離を取ろうとするが、妹ちゃんは追撃の手を弛めず、連続して前足を振り下ろしてくる。

 しかし、最大の武器であるはずの牙での攻撃は使わない。


 あ! 私の最初の身体が死んだ時の経験から、毒を警戒しているのか。

 だとするのなら、毒を持っているかもしれないネズミを餌にするとは考えにくく……。

 つまり今の妹ちゃんには、あえてネズミを狩らなければならない理由は無いはずだ。

 狩りって、本来は食料を得る為の行為だしな。


 それでも妹ちゃんが、ネズミ()に攻撃を仕掛けているのは……復讐の為!?

 姉を奪ったネズミを憎んでいるのか……?

 そして私の(かたき)討ちの為に、目に付いたネズミを殺しまわっている……!?


 馬鹿な……あの愛らしかった妹ちゃんが、ヤンデレに……?

目がハイライトオフ状態になっているじゃないか。

 一体誰だよ、彼女を闇堕ちさせた鬼畜な野郎は!?


 ……私だー!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これ身体的特徴まで引き継ぐから姉をころしたネズミそのものに見えてるんですかね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ