プロローグ 我は百合を嗜む者である
異世界転生に今更初挑戦です。更新は不定期で開始して、読者様の反応を見ながら更新ペースを決めていこうと思います。
諸君、私は百合が好きだ。
諸君、私は百合が大好きだ──(以下略)。
大事なことなので2回言いました。
……さすがに某漫画の有名なセリフパロを延々と諳んじるのは自粛しておこう。
私の名は……いや、名だけではなく年齢なども、この独白に必要な情報ではないので割愛する。
ただ、性別は「男」だったとだけ。
そんな私は、昔から「百合」と呼ばれるジャンルが好きで、その要素がある漫画やアニメ・ゲーム・小説などに、好んで触れてきた。
女の子同士がイチャイチャする姿に癒やされるのと同時に、何処か背徳感を抱かせる恋模様に、奇妙な興奮を覚えたものだ。
その所為なのか、それとも生まれ持った資質だったのか、性的嗜好も歪んでしまって、AVだって、男が出てくる物は観ないという有様だ。
そしていつしか私は、自分も美少女になって、美少女と百合百合したいと渇望するようになる。
我ながらキモイ。
だけど、願望くらいは好きにさせてくれよぉ。
そもそも、実現は不可能なことだから、妄想するしかない。
そりゃあ、その気になれば性転換手術で見た目だけなら女性になることはできるだろう。
でも、私がそのまま女になったって、可愛くない。
おそらく整形手術や化粧だけでは限界があり、自分の理想の美少女になることはできない。
勿論、かかる費用だって莫迦にならないだろう。
それに私は美少女になって百合百合したいけれど、本当に女性になりたい訳ではないんだよな。
あくまでメンタルは男のまま、百合を堪能したいのだ。
あと、今まで男として築き上げてきた立場や生活、そして人間関係を、女性になることで失いたくないとも思っていた。
私には全てを捨てて、新たな自分を始める勇気は無かった。
そんな中途半端な覚悟で性転換とか、本気でその道を選んだ先人達に対して失礼だろう。
というか、私の年齢では、少女というのが不可能だからな……。
そして私の年齢で美少女と交流を持つとか、完全に事案だよ……。
仮に若返ったって、人付き合いはそんなに得意ではないから、美少女と知り合いになるだけでもハードルが高い。
これはもう、人生をやり直すしかないな……。
いっそ異世界に美少女として転生して、百合ハーレムとか作りつつ無双してぇなぁ~。
……まあ、そんなことは無理だろうけれど、一応準備だけはしておくか……と、ある時思い立つ。
私は運動が苦手だから、たぶんバトルで立身出世は難しいと思う。
だから異世界で使えそうな知識を、貪欲に学んでいった。
科学知識は魔法に応用できそうだし、建築・料理・服飾・医療・農業・サバイバルなどの知識もあって損はないだろう。
それにこれらは、現実の世界でだって使える。
私は色々な資格を取得し、それらを仕事に反映した結果、なんだかんだで充実した人生を送ることができた。
ただ、百合好きをこじらせた所為か、普通に恋人を得て結婚するという願望を持つことはできず、一生涯独り身だった。
この、「美少女と百合百合したい」という願いが叶わなかった──この一点だけは、我が人生おいて唯一で最大の悔いとなる。
だから、思いのほか呆気なく人生が終わり、転生する機会を得られると知った時、私はついに野望が叶うのだと狂喜した。
……狂喜したのだが、なんだあの地獄のような難易度は……。
「キュっ、キュウゥ~ンっ!?」
あ、私の声可愛い……(遠い目)。
余裕があれば、今晩にもう一度更新したいと思います。たとえ無理でも、明日の内にはなんとか。