第50話
八階層は今までのダンジョンの雰囲気とは違い、だだっ広い空間となっていた。
奥の方に大きな扉が聳え立っていて、そこまでは円形に広がりのある場所となっている。
「下がっていたまえ」
円形の空間、その中心までやって来ると不意にレインハルトがオレとアレイに向けてそう口にする。
「……ダンジョンキーパーの登場かい?」
「ダンジョンキーパー?」
アレイの言葉にオレは疑問を返す。
「ああ。ダンジョンの奥にはそれぞれボスと言うか、最後の扉を守護するモンスターが居て、それを倒す事でようやくライトノベルが手に入るって事なんだよ」
ゲームで言うところのイベントバトルみたいなものか。
「っていやいや。ならレインハルト一人じゃどうにもならないんじゃないか? そう言うのって今までには比較にならないくらい強いんだろ?」
「大丈夫だ、テンドウ君。心配しないでくれたまえ。私はレインハルト・聖・エイレンルート。『聖』の文字を持つ者。それに私には従者のレイネも一緒だ。問題ない」
「いえ、私はもしもに備えてツバキ様達と共にここで観戦させて戴きます」
「ここに居るレイネは実際結構な実力者でね。この私と二人ならダンジョン主の一人や二人――――え?」
レイネの言葉に動揺するレインハルトだったが、しかしレイネは無表情のままに言った。
「大丈夫です、レインハルト様。本当にヤバければ私は応援に参りますし。それにレインハルト様の実力であれば何も問題は無いと思われます」
「え、その……」
「それともレインハルト様はまさか出来ないと仰いますか?」
「あ……、だ、大丈夫さ。うむ、この私が真の冒険者と言うものを見せてやろう」
そう言ってからおっかなびっくりと進むレインハルトの眼前へと空中から何かが降ってくる。
三メートルはあろうかという巨体に、四本の腕とそれぞれに武器を持った姿、骸骨の顔。
落ち窪んだ目が爛々と光を発すると猛然とレインハルトに向けて襲い掛かる。
「怪物よ、このレインハルト・聖・エイレンルートが相手だ――――あ、ちょっと待って、れ、レイネぇええええ! こいつは一人ではちょっとまず……あ、やば、ヤバイヤバイヤバイ! レイネ、レイネェエエエエエエエ!!」
「ああ……レインハルト様、今日もお美しい姿ですぅ……」
恍惚の表情でレインハルトと怪物の戦いを見守るレイネの姿にオレ達はこれ以上何も言う事は出来なかった。




