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「Q.異世界でラノベが読みたいのですが?」「A.ダンジョンへ行きなさい」  作者: toichi
エピローグ ラノベ読むからダンジョンへ!
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第49話


 塔型ダンジョン第一〇二三号、七階層にて。


「エクスキューショナルスパイダーが出たぞぉお!」


 ダンジョンに胴間声が響き渡る。


 その声と共に奥から姿を現したのは巨大な蜘蛛のモンスターだ。



 ……正直、今でも勝てる気がしないのだが。


 しかし、今ここに居るのはオレとアレイの二人だけではない。



「テンドウ君。無理はしないで良いよ。今はこの私も一緒なのだからね」


 前へと出るのはレインハルトとレイネの二人だ。


 今日、この塔型ダンジョン一〇二三号を攻略するべくレインハルトに声を掛けて攻略を手伝って貰っている。



 それだけではない。



「俺達も行くぞぉおおおお!!」


「怯むな、構わず突っ込めぇえええええ!!」


「ツバキちゃんを守る為に、その命を散らしてみせろぉおおお!!」


 等と口々に特攻するのは今日、手伝いで参加している冒険者の方々だ。



 レインハルトは伝手を辿って、他ギルドのメンバーなどにも声を掛けたとの事だ。


 さすがはレインハルト、人望も桁違いである。


 ……などと考えていたのだが、少しばかり様子が違うように見受けられる。



「ツバキにゃん! 俺に構わず先にウボァアアアア!!」


「俺、転生したらツバキちゃんの赤ちゃんとして生まれ変わるんだ……」


「あ、いつもお世話になっていま――――ぎゃああああああ!!」


 やたらとテンションの高い男性冒険者達が玉砕覚悟でエクスキューショナルスパイダーに突っ込んでは重い一撃を喰らって昏倒していく。



 どうやら命だけは無事のようだが、しかしどうも様子がおかしい。


 ……つうか、何か背筋に薄ら寒いものを感じている気がしてならない。



「なあ、アレイ。……なんかあいつら様子、おかしくないか?」


 他冒険者が頑張っている為に手持ち無沙汰のオレは同じく暇している様子のアレイへと尋ねた。



 すると、


「あ、ああ……。まあなんと言うか彼らも彼らで思うところがあるんじゃないか、ははは」

 アレイは乾いた笑いを浮かべていた。



 その明らかにおかしな様子にオレは彼女の頭を掴む。



「お前、なんか知ってやがるな。話せ」


「え、えっとね……あの、その剣あるじゃない?」


「ああ、この剣か」


 背中に差してある剣をオレは指差した。



「これ、実は結構高かったんだよね」


「あ、やっぱそうだったのか。つうか装飾とかすげぇ凝ってるし、この『断』って魔力文字のお陰で魔力毎斬れるって感じなんだろ? いずれちゃんと払うから悪いが貸しといてくれよ」


「いや、それは良いんだよ。良いだけどね……」


 おずおずとアレイは続きを口にした。



「ボクの小遣いではちょっと足りなくてね……、その、ツバキ君に協力して貰ったって言うか、そのね……」


「おい、ちょっと待て。協力って何だ? オレ、何か知らないところで大変な事にでも巻き込まれているのか?」


「いやさ、エイラから貰ったんだよ。…………写真を」


「写真!? それちょっと待って! 一体どういう写真!?」


 エイラと聞いて冷や汗が頬を伝う。



 まさか……そんな……。



「あのね、君がエイラに作って貰った鎧あっただろ、あのなんていうか……ちょっと、エッチな奴。その採寸をしている時の写真。エイラが足しにして良いって言って、まあ、うん」


「あの女ぁああああああああ!!」


 確かに採寸はしたし、あの鎧作ってくれたのには感謝してるけどさぁ!



 それと引き換えに何? オレ知らない間に街の冒険者の慰みモノになっているって事!?



 さっきの誰かさんが言ってた「お世話になっている」ってそういう事!?


 いや、待て! オレ男の子ですよ! そりゃあ採寸している時は魔力文字で『女』になってたりしたけどさ! 色々おかしいでしょ!?



「つうかお前は躊躇なくそれを売ったのか!」


「結構良い値段で売れたよ。……というか引くくらい高い値段で売れたよ」


「そんなの聞きたくねぇよ! 何で売っちゃうんだよって言ってんだよ!」


「だってだってそうしないと勝てないかもってエイラが言ってたから! ……ボクだって君がボクとパーティを組み続ける為に戦ってくれるって言ってくれてさ。嬉しくて、少しくらい力になりたかったんだよ」


「それでやった事がこれか! 結果お前、オレを売り飛ばしたって事だぞ!」


「でもでも! ボクの買った剣のお陰で買ったんだしさ! それに自分でビキニアーマー着るぐらい、女になっても良いってやった事だろ? むしろ感謝して貰いたいくらいのものさ」


「あ、お前開き直りやがったな! ふざけやがって! 畜生が、解散だ! テメェとのギルドなんて本日限りで解散だよ! 路頭に迷え、このポンコツが!」


「そんな事言って良いのかな。ボク知っているんだよ!」


「知ってる、何を!?」


「君、エイラからボクの着替えの写真貰ったんだろ!?」


「…………何の事でしょうか」


 あの女、喋りやがったのか!



 こう言うプライベート情報流出させたらやべぇだろうが、ネット炎上しちゃうよ!



「君だってボクのその、エッチな写真貰ったんだろ! 出してよ! すぐに破り捨てるから!」


「だったらテメェもオレのあられもない姿の写真を取り返して来いよ!」


「無理だよ! もう剣買っちゃったし、それにあの冒険者のテンションを見なよ! 君の為に命張ってるような連中から取り返せる筈ないだろ!」


 見れば冒険者達は出現した三体目の処刑蜘蛛を殺すべく凄まじい連携で以って彼らと相対している。



 ……あいつらのやる気の源がオレなのか。



 なんだろう、助かってはいるのだが、素直に喜べない。



「ツバキにゃん! 道は開けた! 次の階層へ向かえ!」


「俺達の事は気にせずいけぇええええええ!!」


「愛してる! 君の事を俺はずっと愛しているから!」


 次々に口走る冒険者の愛の言葉から耳を背けながらオレはレインハルト達と共に次の階層へと向かった。


 ……ヤバい。オレ、もしかしてもう男に戻れないのだろうか。



 い、いや大丈夫だよね。きっとだいじょうぶ……。

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